とりもつなべで菊正宗 … 「鍵屋(かぎや)」(鶯谷)
2年ぶりの「鍵屋」は満席に近い状態。しかしながら、カウンターの中央部にちょうどひとり分の空席があって、そこに入れてもらうことができました。
すぐに出されるお通し(サービス)は、小さな器のところてん。
「菊正宗(530円)と、とりもつなべ(690円)をお願いします」
と注文すると、奥の厨房に『とりもつなべ』の注文が通され、カウンター内の銅製の燗づけ器で、菊正宗の燗がつけられます。
酒問屋として江戸時代に創業、昭和24(1949)年に本格的な居酒屋になった「鍵屋」の料理はすべて、昔ながらの酒の肴(さかな)。
焼き物は、とり皮やき(2本520円)、とりもつやき(2本540円)、合鴨塩やき(2本580円)に、うなぎ くりからやき(1本490円)の4種。
豆腐料理は、冷奴(520円)、煮奴(580円)、湯どうふ(秋冬のみ、730円)の3種。
これに加えて小さなひとり用の鍋物は、とりもつなべ(690円)と、とり皮なべ(690円)。
この他に、味噌おでん(540円)、たたみいわし(640円)、大根おろし(440円)、ところてん(420円)、お新香(470円)、さらしくじら(740円)、もずく(540円)、かまぼこ(540円)、玉子焼(土曜日のみ、540円)、にこごり(秋冬のみ、620円)の、合計19品です。
燗酒(菊正宗)をちびちびとやりながら、待つことしばし。ひとり用のステンレス鍋で仕上げられた鶏もつ鍋が出てきました。
とりもつなべの具材は、とりもつ(心臓、肝臓、砂肝)のほか、豆腐、麩、玉ねぎ、玉ねぎと同じくらい細く切ったこんにゃく。
東京ならではの、甘辛い割り下で煮込まれた鶏もつ鍋は、レバのコクと、砂肝のコリッとした食感がいい。「鬼平犯科帳」(池波正太郎)で長谷川平蔵が食べている軍鶏鍋も、こんな料理だったのかなあ。
左どなりに座るおじさんは、この店に40年も通っているという常連さんで、お猪口(ちょこ)も、他のみんなの上に向かって広がった白い猪口とは違って、青いぐい飲みです。
「でもホントはその猪口のほうがいいんだよ。空気と一緒にすすりやすいようにできている。空気と一緒に飲むと、甘い酒も辛口に感じるんだ」
ということで、お茶やみそ汁をすするときと同じように、ズズズッとすすって飲んでみると、最初にむせるようなアルコールの香りが喉の奥までドーンと飛び込んできて、それから日本酒がやってくる。なるほどこれは、いつもより強烈さを感じるなあ。
太田さんがツィーーッという飲み方を表現されて以来、日本酒を飲むのはツィーーッが標準的だったけど、お茶やお吸い物の飲み方から類推すると、このズズズッのほうが昔ながらの飲み方なのかもしれないなあ。
「カウンターの中、上部に飾られている花は、いつも変わらずカサブランカなんだ」
とそのおじさん。鶏もつ鍋についても、
「具で2本、残った汁で1本いけるよね」
という話してくれました。
私ももう1本、菊正宗をいただいて1時間ほどの滞在は、1,750円。
店主とおかみさんの、「ありがとう存じます」の声に見送られながら店を後にしたのでした。
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コメント
汁で一杯って、粋なかんじでいいなあ。
(・∀・)
投稿: 博多の居酒屋 | 2013.03.24 10:58
由緒正しき居酒屋「鍵屋」。いつまでも残っていて欲しいものですね。
投稿: 仙台おおぽん | 2013.03.24 20:02