しゃこつめで白扇燗酒 … 「白扇酒蔵(はくせんしゅぞう)」(大船)

「Gaily Amaha の 未熟な舌 過敏な腸」のサイト・マスター、GAさんとJR大船駅北改札で待ち合わせて、大船の酒場に繰り出します。
「まずはこの店をのぞいてみましょう。いつも満席なので、入れないかもしれないのですが…」
そう言いながら向かった1軒目は、駅からもほど近い距離にある「白扇酒蔵」です。
う~む。駅のすぐ近くに、こんなにも渋い酒場があろうとは。
のれんをくぐり、引き戸を少し開けて店内をのぞきこむGAさん。
「ちょうど2席空いてます。入りましょう」と店内へ。
うなぎの寝床のように奥に向かって長い店内は、L字カウンター16席(横4席+縦12席)ほど。年配の男性客がずらりと座っています。我われは、まさにたまたま空いていた、入口すぐ目の前の、L字の横の辺にそっと腰を下ろします。
L字カウンターの中にいるのは、店主とその息子さん。割り箸とお通しのイカ塩辛がすっと出されたので、我われに気づいていることは気づいているようなんだけど、特に「いらっしゃいませ」などの声掛けはありません。
「以前は店主と奥さんとでやってたらしいんですよ。奥さんが亡くなって息子さんが手伝うようになった」
と教えてくれるGAさん。テレビも音楽もない店内は、酒場にしては比較的静かで、我われの右どなりに座っている中年男性二人づれも、普通に会話する程度の音量で、静かに話をしています。
カウンターの奥のほうほど常連度が高いのか、奥ほど年配客が座っています。
「一番奥に座っている、熟れたザクロのような顔をしたおじいさんなんて、まるで置物のように、さっきからちっとも動きませんねえ。奥から4~5人は、ほとんど動かない」
ほんとだ。まるで座禅の修行をしているかのように、じっと間を見つめて黙って座っている。ごくたま~に、思い出したように、ちょっと酒を飲む。すごいなあ。
はじめての店なので「声がかかるまで待ちましょうね」と言いながら、二人でカウンター内の壁にかかるメニューを選びます。
ややあって、店主が注文を取りに来てくれたので、ビール(キリンラガー大瓶、600円)と、鳥もつ煮込み(600円)、とこぶし(600円)、しゃこつめ(600円)を注文。
まず出された鳥もつ煮込みの具材は、皮つきの鶏肉と、それぞれ大きくカットされた玉ねぎ、里芋、そして豆腐です。鳥もつ煮込みと言いつつも、『もつ』は入っていない様子。鍋の中には肉も『もつ』もあるんだけど、たまたま我われの小鉢には『もつ』が入らなかったということなのかなあ?
とこぶしは、照り焼き風に調理されていて、わさびをちょいとつけていただきます。そして、しゃこつめ。こんもりとその量がすばらしい。
2本目のビールの途中で、私は燗酒(300円)に移行します。燗酒の銘柄は、店名のとおり清酒「白扇」。1合の銘柄入りガラス瓶のまま燗がつけられて、そのまま出されます。うぅ~。しゃこつめによく合うこと。
そこへ入ってきたのは、これまた常連さんと思しき中年女性ひとり客。L字長辺の後ろの壁際に置かれている椅子に腰をおろし、カウンターの常連さんたちと話し始めました。その常連さんたちのうちのひとりが、お勘定を済ませて席を立ち、その女性客に席を譲ります。なるほど、こういう空席待ちのシステムになっているんですね。知らない人には、空席待ちもできないなあ。
右の男性ふたり連れも席を立ち、入れ替わるように入ってきたのは、一見(いちげん)さんらしき中年男性客。その人のところへ見事なマグロの刺身が出されます。
「マグロ、すごいですね!」と思わず声をかけると、
「ほんとうに! これがマグロブツとは思えない」
と笑う男性客。なんと、これ、マグロ刺身(700円)じゃなくて、マグロブツ(500円)なんですね! どう見ても立派なマグロ刺しだ。
多くの常連さんたちが、「白扇」のにごり酒(350円)を飲んでいるようなので、我われ二人もそのにごり酒をもらいます。
我われの左側、カウンター長辺の一番手前に座っていた男性客が席を立ち、入れ代わるように、比較的わかめ(三十代後半ぐらいか)の男性ふたり連れが、
「ふたりなんですけど入れますか」
と元気な声で入ってきます。
「我われがひとつずれましょう」
とその二人にGAさんが声をかけ、右へと1個ずれて、二つ並んだ空席を作ります。
「ありがとうございます。この店はいつも満席で入れなかったんですけど、ちょうどお客さんが出てきたんで、もしかしたらと思ってのぞいてみたんです」
なるほど。そういう思いでいる人も多い酒場なのかもしれませんね。
にごり酒を飲み干したところで、我われも席を立ちます。お勘定はふたりで4,400円(ひとりあたり2,200円)でした。
おそらく以前は店主が料理を作って、奥さんが接客をするという役割分担だったんだろうと思います。息子さんは接客はあまり得意ではないようなので、慣れない客にとっては注文などがしづらいかもしれません。でも、常連さんたちには愛され続けている老舗酒場であることを感じることができる酒場でした。どうもごちそうさま。
・店情報
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コメント
お久しぶり、お元気そうでなによりです。
シャコツメ、渋いですね。
30年以上前、呉の阿賀という町の路地裏にある寿司店主から聞いた話。
蝦蛄の爪は、すし屋の見習修業の食材。
見過ごせば棄ててしまいそうな爪を、大量に集め、
あとはただ、根気良く爪楊枝でホジホジする。
成果はほんの一皿分ほどにしかならない。
「美味いけど、ほとんどが手間賃じゃね」
その店は代替わりし、でも、阿賀駅前で続いています。
時期には、ワサワサ動くのがスーパーで当たり前に売られていたけれど、
ここ数年、とんと見なくなりました。
生きたのを塩茹でし、足をむしり、際を料理バサミでカットして、
身をほじくりながら、日本酒をクーッと…
妄想だけでも、たまらんですね。
投稿: 遊星ギアのカズ | 2013.04.18 22:01