脈々と継承される歴史 … 牛にこみ「大坂屋(おおさかや)」(門前仲町)
最近、老舗の酒場での~んびりと飲むことが多いからか、写真を撮り忘れたりすることが多い。ついついボォ~ッと過ごすことに没入してしまうんですねえ。
土曜日の今日は、東京の下町・門前仲町の「大坂屋」で、牛にこみを食べようとやってきたのですが、なんと、カメラそのものを忘れてくるという始末。とりあえず、携帯電話で店の外観だけ撮影いたしました。
しかしながら、ブログが始まるより前の、ホームページ時代(2003年12月31日まで)は、写真がないほうがむしろ普通だったので、その頃に戻ったようなものですね。
とはいうものの、今はカメラが重要な外部記憶装置。私自身が忘れてしまっていることも、画像に記録されていたりするので、カメラに頼りっきりの状態。その外部記憶装置なしで、どれだけのことを覚えていられるか。自分でも不安だ。
(いつからかは知りませんが、今のところ「大坂屋」は店内での写真撮影が禁止のようです。なので、もし忘れずにカメラを持ってきていたとしても、実は状況はあまり変わらないんですけどね……。)
「大坂屋」に到着したのは午後5時前。入口引き戸を開けてのぞいた店内は、ラッキーにも、三日月のメインカウンターの中央部2席が空いています。
さっそくその2席のうちの1席に腰を降ろして、サッポロラガー(赤星)の大瓶(650円)を注文します。
なぜこの席がラッキーかというと、ここはカウンター中央にでんと据えられた煮込み鍋の真ん前。煮込みの様子がよく観察できるポジションなのです。
今日の「大坂屋」は、女将さんと娘さんの2人体制。
開店(午後4時)と同時に入ってくるお客さんが多かったのか、店の奥にある小上がりの座卓でも、常連さんが二人飲んでいます。奥の小上がりは、カウンター席が満席の場合のみ使われて、しかも「大」が付くほどの常連さんじゃない限り入れないのです。
さて牛にこみ(1串130円)。この店の牛にこみは、フワ(肺)、シロ(腸)、ナンコツ(のど)の3種類。まずはその3種類を1本ずつお願いし、あわせて玉子入りスープ(330円)も注文しておきます。
玉子入りスープは、注文を受けてから生卵の状態からゆで始め、半熟になったところで出してくれるので、できあがるのに10分ほどかかるのです。
前回も書いたとおり、私はこの玉子入りスープに、串からはずした牛にこみ(特にシロ)を絡めて食べるのが大好きなので、玉子入りスープができあがってくるまでは、なるべくゆっくりと食べ進みます。
牛にこみを一切れ食べて、ビールをちびり。お通し(100円)の大根2切れとキュウリ2切れをフォークでつついては、ビールをちびり。
この店の牛にこみは、串に刺してゆで冷ました状態で冷蔵庫に保存されていて、大鍋の中の牛にこみが減っていくのに合わせて、順次、追加投入されていきます。
鍋の中では、女将さんに近い側が投入したてのもの、女将さんから遠い側(=お客に近い側)がよく煮えたものという、ざっとした区分けはあるものの、どれがどのくらい煮えているのかは、女将さんが菜箸でつまみ上げて、目で見て判断します。
私なぞは、まだまだフワ、シロ、ナンコツの品名を指定する程度ですが、常連さんになるとその品名に加えて、『硬め』とか『軟らかめ』といった煮え具合まで指定して、好みの牛にこみを取り分けてもらっています。
さらに大常連さんになると、自ら鍋に菜箸をつっこんで、自分で串を取ったりしているのがすごいっ。串刺しの煮込みは、つかみようが悪いと、具が串から抜け落ちたりして大変。かなりの習熟が必要そうです。
(ちなみにお勘定は串の本数で計算するので、女将さんに取ってもらっても、自分で取っても1本は1本です。)
おっ。半熟のゆで玉子ができたようです。熱々のところを殻を剥いで小鉢に入れ、包丁で×の字に切れ目を入れてから、牛にこみの汁をひとすくい入れたら、玉子入りスープのできあがり。
「玉子(半熟)をつぶして、スープと一緒にお召し上がりくださいね」と出してくれます。
ちょうど玉子入りスープが出たところで、ビールも飲み終わり、焼酎梅割り(400円)と氷を注文すると、まず普通のコップに焼酎の梅割りを作ってから、それとは別に氷の入ったロックグラスを出してくれます。このロックグラスに、自分で梅割り焼酎を移しながらいただくのです。
さあそして、いよいよ満を持して、玉子入りスープに投入するためのシロを2本、取ってもらいます。
『玉子入りスープ』という名称のとおり、この料理の主役はあくまでも『スープ』(=煮込み汁)。このスープの具材として、半熟玉子が加わってるんですね。
その半熟玉子を添えられたスプーンでグチャグチャっとつぶしてスープと混ぜ、そこにお通し用のフォークを使って串から外したシロを投入。それを玉子の混ざったスープと一緒に、スプーンですくっていただくと、スープのコクが加わって美味しいこと。
となりの常連さんっぽい男性ひとり客から、「通な食べ方ですねえ」と声がかかります。
「いや、前に常連さんから、こうやって食べると美味しいよと教えていただきまして」
そのとき教えてくれた常連さんが、実は吉田類さんだったのでした。
さらにフワとシロを1本ずつ追加。
「今は新玉ねぎです」という注釈が書かれたオニオンスライス(300円)を注文して、焼酎(400円)もおかわりします。
大事に大事にちょっとずつ食べてきた玉子入りスープも、最後にナンコツとシロを追加したところでなくなってしまいました。
午後6時ごろまで、1時間ちょっとの滞在。今日のお勘定は3,350円でした。どうもごちそうさま。
そうそう。そういえば、店の上部に飾られている先代店主の写真(煮込み鍋にタバコの灰が落ちそうな写真)。この写真の男性が、女将さんのお父さんで、この店の2代目店主なんだそうです。で、女将さんが3代目で、その娘さんが4代目。「大坂屋」の歴史は、こうして脈々と継承されていくのでした。
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コメント
GWの後ずうっと休業のようです。大阪屋さんどうしたのでしょうか
6/11も休み張り紙なし
投稿: 伊東弘一 | 2013.06.12 08:15