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呑ん兵衛好みの豆腐煮 … 「第二力酒蔵(だいにちからしゅぞう)」(中野)

豆腐煮


 新宿の「カブト」をあとに、本日の2軒目は中野の「第二力酒蔵」です。

 ここは旬の新鮮な魚介類が数多く(種類も多く)置かれていることと、早くから開いている(午後2時開店)ことで有名な老舗居酒屋。居酒屋巡りの大先達・太田和彦さんもときどきいらっしゃっているようです。

 太田さんはひとりで来られるときは、入口右手のカウンター席に座るそうです。このカウンター席からは、厨房で魚をさばいたり、調理したりする様子がよく見えるのです。

 私が一番好きなのは、そのカウンター席の背後にある、お酒の燗をつけたりするための、中の島のような小さなカウンター席です。ここは調理の様子は見えないけれど、テレビがよく見えるし、お燗番のおねえさんを介して、近くの常連さんたちと話をしたりすることもできる。なによりいいのは、この小さなカウンター席には常連客が多いということです。

 常連客は、店の空気にすっかり馴染みきった存在になっているので、違和感がない。そういう人たちに囲まれて過ごすと、本当に落ち着くのです。

「高いものは高く、安いものは安く、メリハリがきいている」

 太田さんが、そうご紹介されていることが多いこの酒場。

 たとえば東京の酒場の華(はな)、マグロひとつを取ってみても、大トロは時価、中トロは2,950円、中落ちは1,400円、刺身(たぶんこれが赤身)は1,100円、そしてマグロぶつ切りが800円に、マグロぬたが700円と、一番下でもあまり「安い」とは言えない価格ながら、6種類が選べます。

 マグロじゃなくても、真鯛刺身2,300円、しまあじ刺身1,900円、帆立貝刺身1,300円、赤貝刺身1,100円と、かなり立派なお値段です。

 こうなると、むしろ刺身盛合せ1,600円や、貝刺身盛合せ2,000円をもらって、何種類かをいっぺんに楽しんだほうがいいかもね。

 しかし、この中の島のカウンター席に座る常連客は、毎日のように通わないといけないということもあって、こんな高級なものはめったに注文しません。

 たいていの場合、げそわさ(450円)とか、もずく酢(420円)、お新香(270円)などを1~2品もらって、燗酒(350円)を2本ほどころがして帰るんですねえ。

 私も予定どおり、中の島のカウンターに座り、お燗番のおねえさんに小瓶のビール(480円)と豆腐煮(450円)を注文すると、すぐにビール(アサヒスーパードライ)と、お通し(200円)の小鉢が出されます。今日のお通しはキノコですね。

 今日はいきなり「カブト」の焼酎から飲み始めたもので、ここにきて冷たいビールをグィ~ッと一杯。こういうときに小瓶の量(350ml)がちょうどいいですねえ。

 豆腐煮もまた、中の島の常連客がよく注文する料理のひとつ。

 いろんな種類の魚を、店内で大量にさばくこの店では、魚のあらも大量に出てくる。それを安くおいしく食べられるのが「あら煮」(650円)です。

 ところがこのあら煮、あらもさることながら、実はあらと一緒に煮込まれて出てくる豆腐が爆発的にうまいのです。

 豆腐煮は、このあら煮の豆腐だけを、あら煮に添えられている豆腐の2倍の量で出してくれるというもの。呑ん兵衛にはたまらない逸品(いっぴん)なのです。

 その豆腐煮が出てきたところで、「キンシ正宗」の燗酒(小350円)を注文。この豆腐には、やっぱり燗酒が合いますね。

 今発売中の「東京人増刊『中野を楽しむ本』(2013年6月号)」で、太田和彦さんが、落語家の林家正蔵さんと対談しているのが、ここ「第二力酒蔵」。その中で太田さん、正蔵さんは、次のようなやりとりをしています。

太田: 僕は、中野の飲み屋街が好きでよく来ます。中野に来れば、今はなくなった往年の新宿の雰囲気がある。今の新宿はビルの中の大箱の店が増えちゃって人情味がない。

林家: 確かに、新宿の末広亭をはねたあとでね、軽く一杯いくお店はあるんですが、なるほどここに通いたいなと感心する店はみんな店終いしちゃいました。

太田: だから僕は新宿をスルーして中野まで来るんですよ。

 なるほどなあ。私自身は、古い新宿を知らないのですが、今の中野5丁目(=中野駅北口の飲み屋街)のような感じだったんですね。

 となりに座る常連さんご夫妻とも話が弾み、燗酒の小(350円)をおかわりして1時間半ほどの滞在。今日のお勘定は1,830円でした。どうもごちそうさま。

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「第二力酒蔵」 / お通しとビール / 豆腐煮と燗酒

店情報前回

《平成25(2013)年6月15日(土)の記録》

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コメント

中野の第二力酒蔵ですね。わたし、この店の名前を何と呼んだらよいものか、わかりませんでした。地元に息づき、とても良いお店のようですね。

そしてつかぬことをお聞きしますが、何かで見て覚えてないだけかもしれませんが、「第二」があるとすると「第一」も、どこかにあるのですかね?教えていただけると幸いです。

また、私わからなかったのですが、太田和彦さんはいつからか、BS放送の「BS11(ビーエスイレブン)」の火曜日、夜10時から番組を持っていたのですね。

昨日は鎌倉を歩いていたのですが、肝心のお店が出てくる前に寝落ちしてしまいました。すみません。

投稿: 仙台おおぽん | 2013.06.19 07:30

この問題については、酒友・にっきーさんが、ご自身のブログ「アル中ハイマー日記」の、2007年7月26日付けの記事で調べてくれています。
 「第一力酒蔵」 新井薬師前(閉店)
 「第二力酒蔵」 中野
 「第三力酒蔵」 中野(閉店)
 「第四力酒蔵」 (存在しない)
 「第五力酒蔵」 (不明)
 「第六力酒蔵」 三鷹
 「第七力酒蔵」 上板橋
ということで、現在は『第二』『第六』『第七』の『力酒蔵』が営業しているようです。

投稿: 浜田信郎 | 2013.06.19 20:34

ありがとうございました。お手数をおかけしました。「アル中ハイマー日記」発見しました。しかし「第七〜」までお店が存在していたとは、すごいですね。もしかして、チェーン居酒屋の元祖だったりして。

投稿: 仙台おおぽん | 2013.06.19 20:58

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