待ってもなおの満足感 … 大衆酒場「岸田屋(きしだや)」(月島)
木場「河本」、門前仲町「大坂屋」と、牛もつ煮込みを食べ歩き、今日の3軒めは、これまた牛もつ煮込みが名物の月島「岸田屋」を目指します。
このあたりは、ひと駅ごとに、東京を代表するもつ煮込みが食べられる酒場があるのがいいんです。
門前仲町の駅を起点に考えると、西にひと駅行くと木場、南にひと駅行くと月島、さらに北にひと駅行くと、これまた牛もつ煮込みの人気店「山利喜」がある森下ですもんね。
門前仲町から、となりの各駅にはトコトコと歩いても行ける距離。飲んだあと、酔いざましを兼ねて歩くのにちょうどいいぐらいです。
月島へもトコトコと歩いて、隅田川を渡って向かいます。
19時45分。「岸田屋」前に到着。店の前に7人ほどが行列しているものの、この店の行列は、店の外に置かれた椅子に座って待つことができるので、その後ろに並びます。
20時05分。20分たったけど、ひとりも進まない。しかしながら「河本」でホッピーを3杯、「大坂屋」で梅割り焼酎を2杯飲んだあとなので、このインターバルはあまり気にならない。ウツラウツラと待つのです。
そんなことを思っていたら、一気に先頭の3人ほどが店内に入って、前から4番目。そうか、行列の客にもグループ客が多いんだな。その人数分の席が空くまで、店内に案内してくれないから、行列の進み方が遅いんですね。
20時25分。行列に並び始めてから40分後に、私の前の3人連れが店内に案内され、店のおねえさんから「次の方は何人ですか?」と声がかかる。「ひとりです」と答えたらすぐ、「ではこちらにどうぞ」と、右手壁際に作りつけてあるカウンターの、一番奥に空いた1席に案内されました。
さっそくチューハイ(420円)と、名物の牛にこみ(480円)を注文したところ、「にこみは、半分もできます」とおねえさん。それはありがたいなあ。ということで、その半分にこみを注文すると、出された牛にこみは小鉢盛り。値段は350円のようです。
ごろんと大きめにカットされた牛もつがいいんですよねえ。
ひとしきり牛もつ煮込みを堪能したところで、メニューを眺めていて発見した、くさや(500円)を追加注文します。
しばらくすると、厨房のほうから漂ってくるくさやを焼く香り。
最初に食べたときは「うへっ」と思ったその臭いながら、今はこの香りが漂ってくるだけで、うまさへの期待がふくらみます。
くさやは、焼いた後、手で食べやすい大きさに引き裂いて出してくれるのが標準形。
口に含むと、いかにも干物という感じの塩っけを感じたあと、噛みしめるにつれて濃厚な旨みが口いっぱいに広がります。これが旨みということなのかと、最初に食べたときは驚いたものでした。
昭和4年に、酒屋として創業したこのお店。店内はコの字カウンター席と、右手壁際に作り付けの、今、私が座っているカウンター席の、合わせて24席ほど。開店前から閉店まで、行列が絶えない大人気店です。
牛にこみをはじめ、魚料理など、なにを食べてもはずれがない料理のうまさはもちろんのこと、人気の大きな理由は、この店を切り盛りする女性陣のホスピタリティあふれる接客にあります。
どのお客さんに対しても、一所懸命、真摯に、ていねいに、そしてにこやかに向かい合っている。この姿勢が、時代に左右されない酒場の基本なんだろうなあ。(客席担当のおねえさんが、美人で優しいことも人気の理由ですね!)
21時20分。その美人おねえさんにお勘定をお願いすると、今日は1,270円なり。
「ごちそうさん」と店を出ると、そろそろラストオーダーというこの時間にも関わらず、店の前にはまだ5~6人ほどの待ち行列。「岸田屋」人気のものすごさを、あらためて実感したような次第です。
もつ煮込み(半分) / くさや / 午後9時20分の「岸田屋」
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