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今が旬!みずおひたし … 「はまや食堂(はやましょくどう)」(杉田)

今が旬!みずおひたし


 木曜日は、会社帰りに「はまや食堂」に行くことが多い。日替わりの特別定食(980円)に、ビールやお酒を付けてもらって、『大衆食堂のフルコース』を楽しむのです。

 今日の特別定食は、主菜がサンマの塩焼き。副菜は長芋スライス、茄子生姜なすしょうが、カボチャ煮の3品から2品をチョイス。さらに中ライス、お新香、みそ汁、そしてデザートのフルーツが付きます。

「大瓶のビール(480円)と、特別定食(980円)をオール(+200円)で。ライスは小(-20円)で、あとからお願いします」

 注文の言葉も毎週ほぼ決まっています。

 『オールで』という注文は、本来なら3品から2品をチョイスしなければならない副菜を、『3品とも全部ください』というもの。3品の中で、単価がいちばん安いものが追加料金となります。

 今日だと、長芋スライスと茄子生姜が250円、カボチャ煮が200円なので、追加料金は、カボチャ煮の200円ということですね。

 お通し(サービス)の枝豆をつまみながらビールを飲んでいるところへ、まず出されたのは長芋スライスです。スライスと言いつつも、実際には細い細い千切りにされているので、グリグリっとかき混ぜると、山芋とろろのようにドロリとした状態になります。これをズズズッとすすり込むように食べると、口に入った瞬間こそ、とろろの感覚ですが、噛みしめると細切りにされた長芋のシャキシャキ感が残っている。この食感がいいね!

 そしてカボチャ煮。煮物はこの店の名物のひとつ。毎日必ずメニューに並んでいて、主たる食材(今日だとカボチャ)は日替わりながら、副食材はいつもほぼ一緒。いんげん、にんじん、がんもどき、さつまあげ、ちくわ、そしてコンニャクです。

 店主夫妻の言葉づかいがとっても上品なのですが、煮物などの味付けも上品。熱々の状態で出してくれる上に、具材が多いこともあって、まるでおでんのように楽しめます。

 お通しの枝豆と、これら2品の副菜をつまみに、ゆるゆると飲み進めます。

 大衆酒場と違って、大衆食堂の場合は客同士で話をするということは、ほとんどありません。

 食堂によっては、お店のおねえさんが物を運んだりするついでに、ひと言ふた言、呑ん兵衛のんべえに声をかけてくれたりします。ここ「はまや食堂」では、そういうことはなくて、こちらから声をかけるときちんと答えてくれますが、そうでない限り、いい意味でほっといてくれるのです。

 だから、店内は非常に静か。テレビの音(今日は巨人対阪神の野球中継)がBGM代わりです。

 2品の副菜も、大瓶のビールもなくなりかけてきたところで、主菜であるサンマ塩焼きの登場です。それに合わせて大徳利(500円)をぬる燗で注文します。

 まずは内臓から。この苦味が燗酒によく合うこと!

 特別定食をオールで注文した場合、3つの副菜のうち1つを、最後に出されるライスセットのために取っておいてくれるのです。今日の場合は茄子生姜を、ごはん用のおかずに取っておいて、先にサンマ塩焼きを出してくれたんですね。

 そろそろサンマも食べ終わるかという頃合いで、あらためて店内の短冊メニューを見渡してみると、そのなかに、

『秋田直送! 旬! 山菜(みず)おひたし 200円』

 というのがあるのを発見。『みず』がどんな山菜かは、とんと記憶にないけれど、『秋田直送!』とか『旬!』という文字を見ると、ちょっと試してみずにはいられない。

「すみません。ライスセットの前に、みずのおひたしをお願いします」

 すぐに出されたみずのおひたしは、いかにも初夏の山菜らしく、浅緑色(ライトグリーン)が美しいですねえ。

 少量の醤油をさっとかけていただくと、ほとんどクセのない味わい。見た目はフキのようにも見えるんだけど、フキよりはずっとやわらかくて、ちょっと粘りっけもあります。

「もとはフキのような感じの山菜なんですか?」と聞いてみると、

「そうです。今の季節にしか食べられないんですよ」

 と女将さん。秋田をはじめとする東北地方では、わりとポピュラーな山菜のようです。秋田直送のみずに、秋田の酒「爛漫らんまん」のぬる燗。いい組み合わせですねえ。

 最後にライスセットをお願いすると、本当は残る1品の副菜として茄子生姜が出されるところを、同じ食材を使った茄子味噌なすみそに変更してくれていました。

 茄子生姜のほうは、炒めた茄子におろし生姜を添えて、醤油をかけていただく一品。それに対して茄子味噌は、炒めた茄子に味噌ダレが添えられます。さっきの、みずおひたしが醤油をかけていただく一品だったので、味が重ならないように味噌に変えてくれたんですね。

 料理の味がおいしいということはもちろんですが、この気配り、目配りと、仕事のていねいさ、店内の清潔さが、「はまや食堂」の大きな特長だと思っています。

 ゆっくりと2時間ほどの『大衆酒場のフルコース』。今日のお勘定は2,340円でした。どうもごちそうさま。

 店内が禁煙なのも、料理屋として、居心地がいい理由のひとつかな。

130704a 130704b 130704c
枝豆と大瓶ビール / 長芋スライス / カボチャ煮

130704d 130704e 130704f
サンマ塩焼き / みずおひたし / 小ライスセットと茄子味噌

店情報前回

《平成25(2013)年7月4日(木)の記録》

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コメント

秋田名物の「みず」、名前でしか知らなかったです。もっと別なものかと思いました。

投稿: 仙台おおぽん | 2013.07.12 03:09

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3月14日(木)、さんま塩焼きに引かれて特別定食(小ライス、960円)で、3品から2品が選べる副菜はマカロニサラダと、ごぼうピリ辛煮を選択(もう1品は、ほうれん草おひたし)。大瓶ビール(480円)と大徳利(500円)で、合計1,940円。 4月1日(月)、新年度が始まった。月曜日の今日は休肝日。お酒抜きでのC定食(680円)は、さんま塩焼きと冷奴。なにしろさんまの塩焼きが好きなんだなあ。ちなみに今... [続きを読む]

受信: 2013.08.11 23:00

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