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でっかい真鯛は愛媛産 … 魚料理「竹よし(たけよし)」(都立家政)

でっかい真鯛は愛媛産


 金曜、午後10時の「竹よし」は、仕事帰りのグループ客が多くて大にぎわい。

 店主は先客たちの料理の準備に大忙しの様子なので、ひとまず「菊正宗」の燗酒(350円)と、チクちゃんが準備することができる、うど酢みそ(350円)を注文します。

 チクちゃんは、金曜日に「竹よし」を手伝っている女性で、ブログ「竹よし便り。」の管理人でもあります。

 ここ「竹よし」は魚料理が自慢のお店。その魚料理は店主が一人で準備するので、大量に注文が入っているときは、けっこう時間がかかったりします。

 そこで常連さんたちは、手伝いの女性が準備できる料理を注文して、それをチビチビとつまみながら店主の手が空くのをゆっくりと待つのでした。

 自家製しおから(350円)や、山いも千切り(350円)、もずく(300円)、酒盗しゅとうとクリームチーズ(450円)なんかが、手伝っている女性に出してもらえる品々です。

 燗酒をおかわりして、まだ忙しそうなので、酒盗とクリームチーズ(450円)も追加注文。酒盗だけでも、クリームチーズだけでも、十分につまみとしておいしいんだけど、両者が組み合わさると、さらにすばらしいつまみになります。家でも簡単にできるつまみなので、ぜひお試しあれ。

「今日は大きい真鯛が入ってるよ」

 ということで、チクちゃんが持ち上げて見せてくれたのが冒頭の写真。チクちゃんの幅よりも大きい真鯛は、愛媛県産(愛南漁協のもの)。

 愛媛もそうですが、瀬戸内海沿岸では真鯛はとても好まれます。

 呉にいたときに、真鯛の刺身がものすごく好きなおじいさんがいた。このおじいさんとは、酒場でしか出会わないんだけれど、いつも必ず真鯛の刺身と、「白牡丹はくぼたん」の熱燗を注文するのです。

 「白牡丹」は、あま口が多い広島の酒の中でも、群を抜いて甘いお酒。それをチンチンの熱燗にして、お茶やお吸物をすするように飲むのが、呉の呑ん兵衛たちの好み。私も呉にいる間にすっかりこの飲み方にはまりました。

 そしてその「白牡丹」のいい相方あいかたになるのが、キリッとよく冷えた真鯛の刺身や真ダコの刺身といった、瀬戸内の淡白な魚介類。

 淡白と言っても、味がないという意味ではない。パッと口に含んだ瞬間の食感が淡白なだけで、噛むにつれ、そこはかとない旨みが広がってくる。これが瀬戸内海の白身系の魚(タコも含む)のすばらしさなんですね。

 で、そのおじいさん。真鯛の刺身をつまみに、とてもうまそうに燗酒をすすります。

 ものすごく甘い「白牡丹」なのに、刺身との相性は抜群。むしろその甘さがいいのです。(これは、醤油との組み合わせにもよるようです。)

 ときどき思い出したようにヨヨヨヨ、ヨヨヨと箸先を震わせながら箸をのばし、ヨッと刺身をひと切れつまみ、わさび醤油につけて、またヨヨヨ、ヨヨヨヨと震わせながら口まで持ってくる。

 そのひと切れを、いとおしそうに、美味しそうに、ゆっくりと味わいながら食べるのです。

 そしてまた、思い出したようにゆっくりと燗酒をすする。

 このおじいさんの周りだけ、みんなの4分の1ぐらいの時間の流れ方です。

 最終的にはこの真鯛の刺身1人前(8切れほど)だけで、「白牡丹」の燗酒を2本(2合)ほど空けて、「ごちそうさん」と幸せそうに帰っていく。

 『自分がもうちょっと年を取って、ほんの少ししかお酒が飲めなくなったとしたら、こんな飲み方をしたいなあ』

 と思えるような豊かな飲み方に、こっちまで笑顔になったものでした。

 さあ、店主の手も空いたようだ。

「燗酒のおかわりと、刺身盛り合わせを小(650円)でお願いします」

 満を持して刺身の小盛りを注文。

 でもねえ。鮮度あふれる、つややかな刺身が出てくると、くだんのおじいさんのようにめておくことはできず、すぐにバクバクと食べちゃうんですよねえ。まだまだ修行が足りません。

 最後はすぐ近くにある、博多ラーメンの「ばりこて」で、味噌ずり(280円)をもらってお茶ハイ(350円)を飲んだあと、ばりかたの博多ラーメン(600円)で〆。

 あぁ。今週もまた、とっても幸せな金曜日だ。

130412g 130412h 130412i
うど酢味噌 / 酒盗とクリームチーズ / 刺身(小)盛り合わせ

130412j 130412k 130412l
大きなボラ / 小さなノドグロ / 「ばりこて」の博多ラーメン

店情報前回記事

《平成25(2013)年4月12日(金)の記録》

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 さる8月9日(金)、「竹よし」のカウンターに、お寿司屋さんのような冷蔵ショーケースが設置されました。  その二日前、8月7日(水)は、店主・岩崎正志さんの75歳の誕生日。さらに「竹よし」がオープンしたのが平成5(1993)年3月11日なので、今年で創業20年。店主(マスター)自らが設置したショーケースながら、生誕75年&創業20年を祝う、すばらしい記念品にもなりました。  今日は早い時間から、『... [続きを読む]

受信: 2013.08.17 23:09

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