年に2回の誕生日秘話 … 「武蔵屋(むさしや)」(桜木町)
高~いところに持ち上げた土瓶から、ドドドドドッと勢いよく注がれる燗酒。
これぞ「武蔵屋」ですねえ!
注ぎ手は、アルバイトのみなさんの中でも、もっともベテランの人がやることになっているようです。現在の注ぎ手はマリエさん。
この注ぎ方が、代々受け継がれてきているのも素晴らしいことですよねえ。
今日はあまりの暑さに、小瓶のビールのあとの、1杯めと2杯めの「櫻正宗」は、『
「冷やでください」
とお願いすると、一升瓶の栓をポンッと開けて、その一升瓶から直接注いでくれるのです。
入口の引き戸や、店内の窓という窓はすべて開けっ放し。天井では扇風機もまわっているのですが、あまりの猛暑に、扇風機の風までぬるい。
「おばちゃん(=女将)のお誕生日は7月7日なんですか?」
お客が少なくなって、おばちゃんが客席側に話をしに出てきてくれたところで、近くの席にいる「野毛ハイボール」の店主・佐野晴彦さん(=ハルさん)と一緒に、そんな質問を投げかけてみます。
実は先日ハルさんと飲んでるときに、
「おばちゃんの誕生日は7月7日ってことになってるんだけど、実は3月生まれという説もある。7月にお祝いしている常連さんと、3月にお祝いしている常連さんがいるんですよ。本当のところ、どっちなんでしょうね」
なんて話のなったのでした。今日はその真相を解明してみようと、店に入ったときから
「本当は7月7日生まれなのよ」とおばちゃん。
「それを届け出たときに、役場が間違えたらしくて、戸籍上は3月7日生まれということになっちゃったの。小学校のときなんか大変だったわよ。同級生たちの中に、ひとりだけ小さい子供が混ざっているような感じでねえ」
そうかあ。小学校も低学年のころは、普通の早生まれ(1~3月生まれ)の子でも、同学年の中では幼く感じることが多い。それが本当はそれより4か月もあとの、7月生まれですもんねえ。本来であれば1学年上だったはずのクラスの中に、おばちゃんはポツンとひとりで混ぜられちゃったんですね。
そんなわけで、今回の疑問に対する正しい答えは、戸籍上の誕生日は大正11(1922)年3月7日、実際の誕生日は同年7月7日、でした。
「だから1年に2回、お祝いしてもらえるのよ(笑)」
なるほど! 役場が間違えたおかげで、いいこともあるんですね。
おばちゃんが生まれた翌年(1923年)の9月1日、正午前に関東地区一帯を大地震が襲います。関東大震災です。
そのときおばちゃんは1才とちょっと。全然覚えていないかと思いきや、このときの地震の記憶(身体にしみ込んだ記憶)は、女学校を出るころまで、トラウマとなって残っていたんだそうです。
小さいおばちゃん(妹さん)は、関東大震災の翌年に生まれたので、当然のことながら、地震の記憶はまったくないんだそうです。
そしていよいよ3杯め。今日最後の「櫻正宗」は、暑くても燗酒で
2時間弱の滞在。小瓶のビール(500円)と、3杯のセット(2,200円)で、今週もお勘定は2,700円でした。どうもごちそうさま。
(注:「武蔵屋」は8月いっぱい夏休みの予定です。)
おから、ピーナッツと塩豆、玉ねぎ、小瓶ビール / コハダ酢 / たら豆腐
1杯めと2杯めは「櫻正宗」を『冷や』でいただく / 納豆 / お新香
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