殻付うずら、シャクッ … やきとり「大和鳥(やまとちょう)」(高円寺)
昨日の記事で、とろりととろける「一火」(鳥佳グループ)の半熟うずらのご紹介をしましたが、うずらの卵となると、この店もご紹介せずにはいられない。
中野区
こちらで出される「うずら串焼」(1串150円)は、なんと殻付き。
それを殻ごとシャクシャクといただきます。
通常、焼き鳥屋で出されるうずらの卵は、業者から仕入れたうずらのゆで卵(殻をむいたもの)を串に刺したものを、焼いて(というか温める程度で)出してくれることが多い。
ところが、昨日ご紹介した鳥佳グループでは、うずらの生卵を仕入れてきて、それを自分たちで半熟のゆで卵にして、さらに自分たちで殻をむく。その半熟状態のゆで卵を串に刺して焼いて出してくれました。パクッと噛んだ時に、口の中にトロリととろけ出てくる黄身のコクがいいんですね。
そしてここ「大和鳥」では、固ゆでにしたうずらのゆで卵を、殻をむかずにそのまま串に刺し、そのまま炭火で焼きます。出された瞬間は、その殻が猛烈に熱いので、すぐに食べると
普通の
うずらの卵だってそれとおんなじ。普通は殻が付いてたらうまくない、というかまずくて食べられない。
なのにっ! この店の殻付きうずらの卵は、シャクッと香ばしくて本当においしい。むしろ殻があるからこそおいしい。
前にこの店のことをご紹介した記事の中で、店主から、
「殻付きのうずらの卵は、ひらめきで、すぐに思いついた料理だけど、それからお店でちゃんとした形で出せるようになるまでが長かった。うちの料理の中で、完成するまで一番時間がかかった料理じゃないかなあ」
という話を聞かせてもらったことを書きましたが、殻付きのうずらの卵をゆでて、殻付きのまま焼き上げる過程の中に、なんらかの処理が入ってるようなんです。それが何かは企業秘密。
でもその処理を経てできあがった「うずら串焼」は、通常のうずらの卵と比べると、ちょっと殻が薄いような感じもするし、シャクッと噛んだときに醤油の風味がフッと広がって、それがまた香ばしさにつながっていく。
いずれにしても、この店でしか食べられない味ですよねえ。
今日は、「もつマニア」、「さかなマニア
」に続く、ホピオシリーズ第3弾、「とりマニア」(今秋発売予定)の取材のために、この店の常連さんである、『おっとこまえH氏』こと、酒友・H氏と、出版社のSさんとともに、ここ「大和鳥」にやってきました。
この店にはメニューはなくて、店主が順番に出してくれる料理をつまみながら、冷蔵庫に入っているビールを自分で出して飲んだり、焼酎の水割りを作って飲んだりする。何をどれだけ飲んだかは自己申告制。だから基本的に一見さんはお断り。この店のルールをある程度知っていないと、店主もお客さんも戸惑ってしまうからです。
今日もいろんな料理を出してくれる中で、殻付きのエビ(塩焼き)も出てきました。
「殻付きのまま、頭からガブッとやってみな、うまいから」
という店主の言葉に従って、エビの頭の先っぽにあるトゲっぽい部分も気にせず、そのままガブッとかじってみると、これがまたシャクシャクとしていてうまいっ!
きっと、殻付きのうずらの卵と同じような処理をしてるんだろうなあ。しかも、串を刺してないのに、エビが丸まってない。いずれもすごい技だよなあ。
この店のある、大和町中央通り商店街は、道路拡張のために8年後には、各店が立ち退かないといけないんだそうです。どうするかはまだ決めていないそうですが、この古い店の雰囲気がなくなってしまうのは残念なことですねえ。
ゆっくりと2時間半ほど飲みながら話をうかがって、今日のお勘定は3人で8,800円ほど(ひとり3千円弱)でした。どうもごちそうさま。
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