春ならではの初カツオ … 活魚・うなぎ「鳥八(とりはち)」(都立家政)
4年ぶり。「鳥八」です。
店名に『鳥』という字が付いているけど、実は活魚が充実しているというところは呉の『とり屋』と呼ばれる焼き鳥屋と似てます。
呉の『とり屋』は、焼き鳥屋なのに店内に
ここ、都立家政の「鳥八」は、呉とは縁もゆかりもないけれど、呉の『とり屋』と同じような店名で、呉の『とり屋』と同じように活魚も焼き鳥も食べることができるんですねえ。店内に生簀はありませんが。
店内はL字カウンター8席と、小上がりに8人ほど座れる座卓。この店内を店主夫妻が二人で切り盛りします。
そのカウンター席の真ん中あたりに座り、まずは瓶ビール(アサヒスーパードライ中瓶、500円)を注文すると、お通しとして出されたのは、砂肝の小鉢。いきなり呑兵衛好みするお通しで、うれしいですねえ。
まずは1杯、ビールでのどを潤してから、おもむろに背後の壁にかけられている黒板メニューを確認します。
「初カツオのたたき(880円)と天まめ(600円)をください」
砂肝をつまみながらビールを飲んでいるとこへ出されたのは、ゆでたて熱々の天まめです。1個1個、豆の頭の固い部分を切り落としてくれてるのが、いかにも「鳥八」らしいですね。店主はとにかく仕事がていねいなのです。
あぁ、ホクホクとうまい。
この店に最初にやってきたのは今から12年前、平成13(2001)年の秋のことでした。うちの近所の、かかりつけ内科医の先生に、「とっておきの内緒のお店」と紹介していただいたのでした。
当時は我が家のすぐ近くの、まるであばら家のような(失礼!)店で営業していたのです。ガタピシと開けにくい引き戸を開けて店内に入ると、外観とはうって変わって
『こんな店が、うちのすぐ近くにあったんだ!』と驚いたものでした。
店主ご夫妻は、赤坂の飲食店で働いたあと、38年ほど前(昭和50年頃)に独立して「鳥八」を開店。店名のとおり、もともとは焼き鳥屋だったのですが、魚好きの店主(新潟出身)が魚を釣ってきたり、おかみさん(岡山出身)が田舎から野菜を送ってもらったりするうちに、自然と今のように、魚も野菜も出すようなお店になっていったのだそうです。
そして平成21(2009)年、現在の場所に移転して、ピッカピカの新築店舗としての営業を始めたのでした。
現在の店の看板や
うなぎは愛知産で、蒲焼(大)が2,400円、うな重(大)が肝吸い、お新香付きで2,800円。魚介類は日々の仕入れによりますが、生本まぐろ刺(1,000円)、ミンククジラ刺
1,000円)、活まだこ刺(850円)、赤貝刺(850円)といったところ。
さあ! 目の前で店主が造ってくれていた初カツオのたたき(880円)が出てきましたよ。
見事なカツオの上に、たっぷりとトッピングされているのは、おろしニンニクに、スライスした玉ねぎ、そして刻みネギです。
ど~れどれ。
っくぅ~~~っ。これはうまいっ!
ニンニクがよく効いていて、鮮烈ですねえ。
「すみません。燗酒(菊正宗、360円)をお願いします」
この初ガツオには、やっぱり燗酒ですよねえ。
「これも食べてみてください」
そう言いながら出してくれたのは「ニシンの木の芽漬け」。
そう! このニシンの木の芽漬けも、さっき黒板を見ていて気になっていた一品。初カツオのたたきを食べ終わったら注文しようかと思っていた品でした。
ああ。これもいいなあ。鼻の奥からフッと抜ける木の芽の香りがたまらない。
今日のニシンの木の芽漬けは、漬けてから二日目のもの。この季節によく作り、よく出る、自慢の一品なんだそうです。
これはもう、燗酒をおかわりするしかない。爆発的に日本酒に合う
1時間半ほどの滞在。今日のお勘定は3,000円でした。どうもごちそうさま。
(この訪問記は今年4月12日のものです。ご紹介のタイミングがすっかり遅れていて申しわけありません。「鳥八」を訪問される場合には、今の時季ならではの旬の肴をお楽しみください。)
初カツオたたき / ニシンの木の芽漬け / 燗酒(中身は菊正宗)
| 固定リンク | 0
コメント