いいね!刺身盛り合せ … 「みますや」(淡路町)
4年ぶり、「みますや」です。
明治38(1905)年に創業した「みますや」は、今年で創業108年。東京に現存する居酒屋の中で、最も古い居酒屋です。
地下鉄丸ノ内線・淡路町駅または都営新宿線・小川町駅が最寄りですが、JRや地下鉄の神田駅も十分に徒歩圏内。
店が近くなると、電信柱などにも「みますや」と書かれた案内看板と、矢印で方向が示されているので、それに従って進めば店までたどり着くことができます。
土曜日、午後7時前の店内は8割程度の入り。
ひとり客は通常の場合、入口すぐ左手の、8人掛けテーブルが縦に二つ並んでいるところに入れ込み(相席)で座ります。
今日もそのテーブルに座りますが、こんなに大勢の客が入っているのに、ひとり客の先客は1人だけ。私が二人めです。ほかの酒場と同じように、この店もグループ客が増えてるんですね。
すぐに出してくれる冷た~いおしぼりで、手も顔も拭いてから、各種銘柄が選べる大瓶ビール(600円)をアサヒでお願いし、つまみには刺身盛り合せ(1,500円)を注文します。
ビールと一緒に出してくれるお通し(サービス?)は「中華くらげ」。
さあ、そして来ましたねえ、刺身盛り合せ。
この店の名物料理のひとつです。ひとりだと多すぎるぐらいの刺身盛り合せは、ほぼ年中変わらぬ品ぞろえ。マグロのトロ、赤身、イカ、タコ、数の子、シャコ、ウニ、コハダ、エビの9点盛り。
それぞれ2切れずつといったボリュームながら、タコの下に、さらにマグロの赤身が2切れあるのがすばらしいですねえ!
さっきも書いたとおり、ひとりなら、この盛り合せだけで十分すぎる量と質。これプラス、「谺(こだま)」の酒(300円)を2本なら、ゆっくりと贅沢に、2,100円で楽しめます。
(これはうまいなあ。)
と、文字どおり
「刺身盛り合せはいいよねえ。これだけで2本も3本も酒がいける」
と声がかかります。この人が唯一の先客の、年配のひとり客。定年退職する前は商社に勤めていて、この店にもよく来ていたとのこと。現役を退いた今も、目黒区の自宅から、週に1回ぐらいのペースで、この店に飲みに来るのが最大の楽しみなんだそうです。
現在は悠々自適の生活を送っておられるそうなんですが、口をついて出てくる言葉は、今もなお熱い熱い。こういう先輩たちが、1960年代の日本の経済成長を支えてくれていたんですね。
自分の思いのたけを、どんどん語ってくれている間は、ふんふんと聞いていればいいのですが、ときどき「君はどう思うか!」と熱く問われるのがきびしいなあ。
都心の酒場で飲んでいると、こんなことも多いのです。
その先輩は、もうけっこう酔ってるのに、「白鷹」の大徳利(800円)をどんどん注文して、そら飲め、やれ飲めと、私にもすすめてくれる。とてもありがたいんですけど、そんなペースでは飲めません(苦笑)。
その先輩は、牛煮込み(600円)を注文して、出てきたところで取り皿をもらって私にも、その3分の1ほどを分けてくれて、さらに生卵を2個(ひとりに1個ずつ)注文してくれます。
「この店は、これだよ。牛煮込み! 牛煮込みには生卵がなくっちゃなあ!」
生卵をカシャカシャとかき混ぜて、牛煮込みを浸けながら食べるとおいしいこと! この食べ方は知らなかったなあ。今度から、絶対にこうして食べなきゃね。
「それじゃ、お先に!」
とお勘定を済ませ、スッと立ち去る先輩にお礼を言って、私はというと燗酒をおかわりするとともに、この店の名物のひとつ「どぜう丸煮」(600円)も追加注文します。
ここのどぜうは、どっちかというと細身で、骨もしっかりしているタイプ。
「駒形どぜう」のとろけるような軟らかさの「どぜう」も好きですが、骨がしっかりとしたこの「どぜう」も、呑兵衛好みしますよねえ。
3時間ほどの滞在。今夜のお勘定は3,700円でした。どうもごちそうさま!
「白鷹」1合 / 牛煮込み(取りわけ分)と生卵 / どぜう丸煮
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