ニンニクみそ発祥の店 … 焼鳥「若竹(わかたけ)」(桜木町)ほか
おっ。「若竹」のカウンター中央部に2席分ほどの空席があるのが見える。
えぇ~いっ、入っちゃえ!
まさに
「ひとりです」
と自己申告しながら、お店の人の返事も聞かず、空いてる席のひとつに、勝手に座っちゃいました。
ちょうど目の前が焼き台。
寡黙な店主は、今日も黙々と焼き鳥を焼き続けていて、目の前に私が座ったのもほとんど意識の外のような感じ。
「あるものだけでいいですか?」
と声をかけてくれたのは、カウンター内、奥にいる女将さんです。
「はい。それで大丈夫です。ビールください」
カウンターの外で、お運びなどを担当している女性店員さんが、おしぼりと大瓶ビール(キリンラガー)を出してくれます。
現在の時刻は午後8時50分。
この店は午後10時までの営業なので、あと1時間ちょっと。
だからもうネタも「あるものだけ」しか残ってない状態なんですね。
今日の1軒めは「武蔵屋」。
小上がり一番手前の、小さな座卓で、いつものように小瓶のビール(500円)と、櫻正宗3杯のセット(2,500円)をいただいてきました。
飲んでる途中で、女優の五大路子(ごだい・みちこ)さんも入ってこられて、おばちゃんと抱き合いながら「武蔵屋」の再開を喜んでましたねえ。うれしい光景です。
「最後に、おばちゃんから」
とサービスで注いでくれた、お猪口の1杯を飲んでいるところへ入って来たのが、「野毛ハイボール」の店主・ハルさんです。
そのハルさんに小さな座卓をバトンタッチして店を出て、2軒めとして「福田フライ」方面にやって来たところ、「福田フライ」にはおばちゃん(=女将)の姿はなく、向かいの「若竹」には空席が見えたので、思わず「若竹」に飛び込んだのでした。
「武蔵屋」の料理でけっこうお腹もいっぱいなので、「あるものだけ」しかない状態ぐらいがちょうどいい。
そんなことを考えているところへ、小さな
この店にはメニューはなくて、飲み物以外は、基本的におまかせ。
だから、飲み物だけ注文して、あとは黙ってても大丈夫。
鶏皮は塩焼きですが、そのままだと薄味。これに秘伝のニンニク味噌をつけながらいただくんですねえ。
ん~~。秘伝の味噌、うましっ!
横浜では、焼き鳥にニンニク味噌をぬって食べるお店が多いのですが、その食べ方の発祥の店が、ここ「若竹」と言われています。
なにしろ昭和27(1952)年創業の老舗ですからねえ。「武蔵屋」(昭和21年創業)とともに、野毛界隈の多くの酒場に影響を与え続けてきたんでしょうね。
2本めは手羽。これまた軽く塩焼きしたものに、ニンニク味噌をぬりながらいただきます。
いい焼き加減だなあ。骨の部分を手づかみにして、骨ぎわの肉までしゃぶりつくします。
「2本出ましたね? どういたしましょう?」
と女将。焼き台の店主は無口です。
「もうちょっとください」
とお願いすると、すぐにお新香の盛り合わせ(なす、きゅうり、大根など)が出されます。この漬物がまたいい。老舗酒場は、いい漬物を出してくれるところが多いですね。
3本めは鶏ハツ。これまた、ニンニク味噌がよく合うなあ。
ビールはもちろんなんだけど、この焼き鳥(ニンニク味噌付き)だったら、燗酒も合いそう。
今日は「武蔵屋」のあとだから
4本目は、ねぎま。焼き鳥の定番中の定番ですね。
奇をてらわず、直球勝負で、王道の焼き鳥だけがズバッ、ズバッと出されるのがとてもうれしい。
4本とも、出されるや
「どうされますか?」と女将さん。2本ごとに聞いてくれるのかな?
「今日はこれで。今度また、ネタがそろってる時間帯に来ます!」
と答えると、最後に鶏スープが出されます。
熱々で濃厚な鶏スープが、たくさん飲んだ後の
あっ、うずらの卵が入ってる!
「この、うずらの生卵が煮えるように、熱々のスープにしてるんですよ」
と女性店員さんが教えてくれました。
今日のお勘定は1,700円。1時間弱の滞在でした。
店を出ると、目の前の「福田フライ」に見知った人影が……。
「ハルさん!」
「ああ、浜田さん。どこで飲んでたんですか?」
「目の前の『若竹』で。『福田フライ』のフライヤーはどうなっちゃったんですか?」
「福田フライ」のトレードマークでもあった、店頭のフライヤーが撤去されています。
「店の奥に移したみたいですよ。今はフライもノブさん(息子さん)が揚げていて、おばちゃんは座って見てるんです」
「そうなんだ。ほんのちょっと来ない間にそんなことになってたんですね」
「炒め物もなくなったんですよ。かわりに『もつ揚げ』が加わりました」
というハルさんの情報を受けて、さっそく酎ハイ(400円)と、そのもつ揚げ(350円)を注文すると、
「もつ揚げは、辛いソースですか?」
と確認が入ります。
おぉ、そうか。フライと同じようにどっちかのソースが選べるんですね。
まだ火曜日なので、ニンニクの香りたっぷりの辛いソースは遠慮しておきます。
出てきたもつ揚げは、かつて白もつ炒め(380円)として出してくれていた白もつを揚げたもの。
なるほど、これはこれで美味しいけれど、白もつ炒めがなくなったのは、ちょっと悲しいかな。
か~るく30分ほどの滞在。「福田フライ」のお勘定は750円でした。どうもごちそうさま。
・「若竹」の店情報(前回) / 「武蔵屋」の店情報(前回) / 「福田フライ」の店情報(前回)
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