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私の『もつ焼き』原点 … やきとり「たつや」(恵比寿)

辛子ミミガーでホッピー


 10月21日に放送された「吉田類の酒場放浪記」で、恵比寿の「たつや」が紹介されました。

 放送開始から今年で10周年となるこの番組。恵比寿の「たつや」ほどの有名店が、まだ紹介されてなかったんですねえ。驚きました。

 それと同時に、自分自身も、4年ぐらいごぶさたしていることに気がついた。

 幸いなことに「たつや」は、年中無休で営業中なので、思い立ったが吉日。さっそく行ってみることにしました。

 店に着いたのは午後7時前。

 日曜日ということもあってか、入口のガラス戸越しに見える店内は、『ガラ~ンとしてる』といっていいほど客が少ない。

 (「酒場放浪記」の放送直後なのに、どうしたのかな?)

 と思いながら、入口引き戸を開けて店内に入ると、

 「すみません。今日はもうツクネとフランクしか残ってないんですよ。それでもかまいませんか?」

 と焼き台のおにいさん。なるほど、そういうことだったのか。

 まあしかし、4年ぶりでもあるので、ちょいと1杯でも飲んでいきましょうか。

 「ええ、いいですよ。ホッピー(450円)をお願いします」

 「はいよっ」

 すぐに出されるホッピーは、正しき3冷ホッピー。それをまずグッとひと口飲んでから、

 「ツクネをタレでお願いします」

 ツクネは1本170円。注文は2本からなので、この注文で2本340円となります。

 注文した2本のツクネが焼き台にのったところで、これが焼きあがるまでのつなぎのつまみを探します。

 「ガツ刺し(360円)もないんですよね?」

 「ガツ刺しも売り切れたんですよ。辛子ミミガー(400円)はあります」

 「じゃ、それ。ミミガーをください」

 「はい」と返事したおにいさん、冷蔵庫の中からミミガーの入ったお皿を取り出しながら後ろを振り返り、他のスタッフたちに「ミミガー出ます。これでヤマです」と伝えます。

 おぉ。ミミガーもこれで売り切れましたか。まだ7時なのに、すごいなあ。

 「週末は市場が開いてないんで、金曜日に仕入れた分で、土・日もやっていかないといけないんですよ。この週末はお客さんが多くて、いつもより早く品切れになってしまいました」とおにいさん。

 なるほど。これほどの有名店でも、やっぱり「酒場放浪記」効果が出てくるんですね。

 私の後からも、続々と新たなお客さんが入ってきますが、「ツクネとフランクしかありません」ということを聞いて、7~8割ぐらいのお客さんは残念そうに帰っていきます。でも、残る2~3割は、「それでもいいですよ」と入ってきて、次々にツクネやフランクを注文します。

 ここ「たつや」や、近くの「縄のれん」(現在改装工事中)や「徳ちゃん」などと共に、私にとって『もつ焼きの原点』とも言える店のひとつ。

 特に「たつや」は、いわゆる『やきとん』(豚モツの串焼き)に目覚めた最初の店でもあるのです。

 「たつや」に最初に入ったのは、たしか平成8(1996)年のこと。

 仕事の関係で、学生時代の同級生・K君とばったりと出会い、その帰り道にK君に連れてきてもらったのが、ここ「たつや」だったのです。

 学生時代から、焼き鳥と日本酒が大好きだったK君。そのK君が、

 「この店の焼き鳥がうまいっちゃ!」

 と自信を持って連れてきてくれた「たつや」。品書きを見ても、何が何やらわからないので、

 「おすすめのを注文してよ」

 とK君に完全に下駄を預けたところ、K君がまず最初に注文してくれたのが、ガツ刺しと、ハラミとタンの焼き鳥だったのです。

 私はもちろんのこと、K君自身も、ガツや、ハラミ、タンが、豚モツであることは、当時は全く知らなかったんだそうです。

 「ガツ刺しは絶対におすすめ。この店に来たら、これは必ずたのまないかんばい!」

 と教えられて、その後、この店に来るたびに、必ずガツ刺しを注文したものでした。

 K君にはじめて連れられてきた14年後に、まさか「もつマニア」(2010年2月、メディアパル)を監修できるほど『もつ好き』、『もつ焼き好き』になろうとは、当時の私たちには知る由もありませんでした。K君には大感謝です。

 それはそうと、なかなかツクネが焼けてきませんねえ。どうしたのかな?

 そう思いながら、ミミガーをつまみにホッピーを飲んでいると、焼き台の上のツクネは、すべて注文したお客さんのところに出て行って、すっかりなくなっていまいました。

 ありゃ、こりゃ忘れられたに違いない。

 なにしろ、みんなツクネかフランクしか注文できないので、焼き台の上にはその2種類が、それぞれずらりと並んでいて、どれがだれのかよくわかんない状態だったですもんねえ。

 ま、そんなときもあらあな。今日はここまでにしときましょう。残りわずかなミミガーとホッピーを、グイッと空けてお勘定。

「ツクネは来なかったんですよ」

 この店では、注文した時点で、伝票にその品が書き込まれるので、ツクネの分ははずしてお勘定をしてもらいます。

「あ…! それはどうもすみませんでした」とおにいさん。

 いやいや、今度また、ネタがたくさんありそうなときに改めて来ますね。

 今日のお勘定は850円。25分ほどのサク飲みでした。どうもごちそうさま。

131027f 131027g 131027h
やきとり「たつや」 / 辛子ミミガー / ぐりぐりとかき混ぜていただく

店情報前回

《平成25(2013)年10月27日(日)の記録》

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コメント

どうもです~ぅ!

ホッピーのカテゴリーで1位・・・

っうんで・・・

覗いてみました・・・

素晴らしいデータ量です・・・

わたしも横浜在沖です・・・

拝見したところ・・・

車橋「もつ肉店」は行かれてませんか・・・

石川町からちょっと川沿いを歩きますが・・・

前の出口です・・・

親父が偏屈でわたしは大好きなお店です・・・

余談ですけど・・・

また、お邪魔します・・・

投稿: 高山 雅彦 | 2013.11.09 17:38

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 「もつ煮どうふ」(470円)は、恵比寿「たつや」の名物のひとつ。  注文を受けてから、豆腐を煮込み鍋に入れて仕上げるらしく、出てくるまでにちょっと時間がかかる。  出てきた「もつ煮どうふ」はボリュームたっぷり!  直径が丼なみで、深さは小鉢ほどの、深い丸皿にドーンと盛られてくる。  てっぽう、しろなどの豚もつと豆腐の他に、大根、ニンジン、コンニャク(黒っぽいのと白っぽいのと2種類)などが一緒に煮... [続きを読む]

受信: 2016.06.10 23:43

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