« やきとん屋“だけど” … やきとん「たつや」(鷺ノ宮) | トップページ | 働くオトナの晩ごはん … 「はまや食堂(はまやしょくどう)」(杉田) »

薩摩無双をお湯割りで … 「兵六(ひょうろく)」(神保町)

薩摩無双をお湯割りで


 ここに来るといつも、「薩摩無双」(芋焼酎、680円)のお湯割りをもらいます。

 大きなヤカンで少しだけ温めた焼酎を、独特な丸っこい形状の徳利に注いでくれ、それとは別にアルミの小さな急須きゅうすでお湯が出されます。

 一緒に出される小さな猪口で、お湯割りを作るのです。

 まずは急須のお湯を猪口に半分くらい入れて、その上に徳利の焼酎を注ぐとできあがり。

 ほわんと立ちのぼる、芋焼酎の独特の香り。いいねえ!

 私がお酒を覚えたのは、今から35年ほど前の福岡。

 当時、貧乏学生が飲むものは、「薩摩白波」のお湯割りのみ。とにかくこれが一番安かった。一升瓶の「白波」は、小売価格で950円。酒場でキープしても1,500円ほどだったのです。

 屋台などで飲むと、コップ1杯の「白波」が120円ほどで、それとは別に、空のコップがもう1個出されます。この空のコップに、焼酎を半分移して、ポットのお湯を注ぐと、2杯分のお湯割りができるのでした。つまり、1杯あたり60円で、焼酎のお湯割りが飲めたってことですね。

 そのころ、焼き鳥が1本30~40円。焼き鳥を2本もらって、焼酎お湯割りを2杯飲んでも、200円ぐらいしかかかりませんでした。

 で最後にラーメン(250円)を、生ニンニクをたっぷりと入れて食べて、替え玉(麺のおかわり、50円)もする。

 これで〆て500円ほどというんだから、安かったですよねえ。

 でもまあ、学食の定食が250~300円という時代でしたから、いろんなものが安かったんですね。

 ここ「兵六」で「薩摩無双」のお湯割りを飲んでいると、いつもそのころのことを思い出すんです。芋焼酎のお湯割りは、わが青春の味と香りなんですね。

 「兵六」の店内は、店主・柴山真人(しばやま・まさと)さんが座る場所を、コの字カウンターが取り囲み、その背後に4人掛けのテーブルが2卓。

 カウンターには15人ほど座れるのかなあ。

 カウンター席の椅子は、丸太を2本渡しただけの長椅子形式なので、ギュっと詰めればたくさん入る。『定員何名』と断言するのは難しいのです。

 最初にもらったつまみは、「三つ葉とシメサバのぬた」(530円)。

 料理は別室の厨房で作られて、店主の席の背後にある小さな窓から店主に渡され、それが客に出されます。

 店主は、この定位置にデンと鎮座して、客たちと談笑しながらも、目は常に店全体を見渡している。だから注文なんかも、とてもしやすいのです。

 このシメサバ! いいですねえ。

 シメサバって、ぬたで食べてもおいしいんですね。新たな発見です。

 つけあげ(530円)もいただきましょう。

 つけあげは、さつま揚げのこと。鹿児島では、つけあげというんだそうです。

 初代店主(現店主の伯父さん)が鹿児島出身で、長らく上海でも暮らしていたため、創業から65年たった今もなお、「兵六」のメニューには、鹿児島色、上海色が、色濃く残っているのです。

 3種のつけあげが、それぞれ1個ずつ。おろし生姜が添えられます。これに醤油をサッとかけていただきます。甘みがあるのが鹿児島風ですね。

 「薩摩無双」のお湯割り(680円)もおかわりして、つまみには「自家製ぬかづけ七種盛」(530円)も追加。“七種”と言いながら、いつもそれ以上(9種ぐらい)の野菜が入っているのがうれしいところ。この店に来ると、よく注文する一品です。

 ゆっくりと2時間ほどの滞在。今日のお勘定は3,610円でした。どうもごちそうさま。

131009a 131009b 131009c
三つ葉とシメサバのぬた / つけあげ / 自家製ぬかづけ七種盛

店情報前回

《平成25(2013)年10月9日(水)の記録》

| |

« やきとん屋“だけど” … やきとん「たつや」(鷺ノ宮) | トップページ | 働くオトナの晩ごはん … 「はまや食堂(はまやしょくどう)」(杉田) »

コメント

こんばんは。
私も焼酎は学生時代に覚えた薩摩白波が最初でした。もちろんお湯割りでしたので、匂いになれるまで少しかかりました。今より匂いがきつかったんじゃあないですかね?箱崎の定食屋に一升瓶のキープをして、クラブの帰りに飲んだ覚えがあります。確かに安かったですね。

投稿: 流星人 | 2013.10.21 22:33

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 薩摩無双をお湯割りで … 「兵六(ひょうろく)」(神保町):

» 豆腐と油の相性が抜群 … 「兵六(ひょうろく)」(神保町) [居酒屋礼賛]
 2年半ぶりの「兵六」である。  ブラジルに赴任していた1年半を差っ引いても、その前後、それぞれ半年ずつの間、来ることができてなかったってことだよなあ。  あちこちの酒場に不義理をしてしまっていて、本当に申しわけないことこの上ない。  店主に「こちらにどうぞ」と指示されるままに、店主を囲むように作られたコの字型のカウンター席の一角に腰をおろす。  この店では、座る場所を、店主がきちんと采配してくれ... [続きを読む]

受信: 2016.05.29 15:48

« やきとん屋“だけど” … やきとん「たつや」(鷺ノ宮) | トップページ | 働くオトナの晩ごはん … 「はまや食堂(はまやしょくどう)」(杉田) »