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千福でひとり酒まつり … 通人の酒席「ふくべ」(日本橋)

生ウニで千福


 本来ならば、今夜は呉で、『第6回 呉酒まつり』に参加している予定だったのに……。

 台風27号の接近で、予定されていた出張が延期になり、その出張のついでに呉に立ち寄ることもできなくなってしまったのでした。残念なり。

 そんなわけで今宵は、八重洲の「ふくべ」で、「千福」(特選)の燗酒を飲み、ひとりで『呉酒まつり』です。

 つまみは、女将さんが「今日のオススメです」とすすめてくれた生ウニ(700円)。

 ウニと「千福」を合わせたのは、はじめてだけど、ウニの濃厚なコクにもよく合います。

 呉の「千福」をはじめとする、広島県のお酒は、軟水で造られていることもあってか、飲み口がやさしい。

 物足りなさを感じるほどのやさしさ、やわらかさの日本酒が多いのです。

 ところが、呉に赴任して、呉で飲む呉の酒は、ぜんぜん違う。物足りないなんてことはまったくなくて、とてもおいしい。

 その原因は、どうやら酒のさかなにあるようです。

 小イワシなどの瀬戸の小魚も、広島名産の牡蠣かきも、うま味が濃厚。この濃厚なうま味に、やわからい広島の地酒がよく合うんですね。

 「千福」は、広島の酒の中では辛口ですが、広島の酒は、どっちかというと甘みの強いものが多い。その代表格が「白牡丹はくぼたん」です。

 呉に住んでいる、年配の呑ん兵衛たちは、この甘い酒を熱燗あつかんにして、お茶やお吸い物をすするように飲みながら、小魚の刺身やカキをつまみます。

 冷たい肴に、熱い酒という対比。旨みの肴に、甘みの酒という相乗効果。これがいいんですね。

 今いただいている生ウニと「千福」燗酒も、それに近いおいしさを感じます。

 今日は、「ロックフィッシュ」から、「三州屋」と、銀座の名店2軒を飲み歩いて、酒食ともに満ち足りた状態。

 でもまだ午後7時過ぎなので、これで切り上げるというのも、なんだかもったいない。

 (酔い覚ましと、腹ごなしを兼ねて、少し歩くか!)

 ということで、銀座から八重洲まで、トコトコと15分ほど歩いて、ここ「ふくべ」にやってきたのでした。

 「ふくべ」は、全国各地の日本酒が飲めることで、つとに知られた老舗酒場。

 全国各地の日本酒といっても、地酒ブーム以降に、世に知られるようになった『隠れた地酒』みたいなお酒ではなくて、わりと昔から世間にも知られているような、準ナショナルブランド的な日本酒がそろっています。

 たとえば広島県なら、「千福」の他に、「酔心」「賀茂鶴」「賀茂泉」。兵庫県は「菊正宗」「櫻正宗」「剣菱」「白鶴」「白鷹」といったラインナップで、全体では22県41銘柄。

 自分の出身地や、それに近い県のお酒を飲むことができるので人気が高く、いつもほぼ満席状態が続きます。

 そんな41銘柄の中でも、一番人気はなんといっても、カウンターの一番奥に鎮座している「菊正宗」の樽酒ですね。常温はもとより、この樽酒も燗酒として楽しめます。というか、樽酒燗がうまいっ!

 私も、この店での1本めは、その「菊正宗」の燗酒をいただきました。

 いっぽう、つまみはというと、人気のおでん(650円)や、くさや(600円)など43種の定番メニューに、壁に2~3品、日替りの短冊メニューが掲げられます。

 今いただいている生ウニ(700円)は、その短冊メニューの一品です。

 そして2本めとして、「千福」の燗酒をいただいたのでした。

 1時間ちょっとの滞在。今日のお勘定は1,840円でした。どうもごちそうさま。

 あ、そうだ。ここ「ふくべ」は、明日11月9日、午後9時放送の「出没!アド街ック天国 東京駅八重洲口」に登場予定だそうです。何位でしょうね。楽しみです。

店情報前回

《平成25(2013)年10月26日(土)の記録》

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