伝統的な味と新しい味 … 「鳥好(とりよし)」(横須賀中央)
横須賀の「鳥好」は、店主・野村宏さんが呉の「本家鳥好」で修業してから、この地にこの店を開店されたことや、今年4月に急逝された店主の奥様・野村美由紀さんが、「本家鳥好」の店主・上瀬弘和さんの妹さんということもあって、横須賀の地にありながらも、呉の『とり屋』の伝統をしっかりと受け継いだ正統派『とり屋』です。
メニューにも、『鶏皮のみそ煮』(3本1皿で180円)や、鶏正肉と白ネギの串にパン粉の衣をつけて揚げた『串カツ』(3本1皿で350円)、『ささみの天ぷら』(400円)、『スープドーフ』(450円)、『焼めし』(400円)といった、伝統的な呉の『とり屋』の料理がずらりと並んでいます。
そのいっぽう、ここ「鳥好」も、なにしろこの地で40年以上、商売を続けてきているので、この店ならではの独自の進化もしてきています。
呉の『とり屋』でよく見かける、生けすの魚はこの店にはない。というか、魚介系のメニューそのものがありません。
そのかわり、呉の『とり屋』にはない、『とりわさ』(400円)や、『とりぬた』(400円)、『すなぎもの唐揚』(400円)、『牛すじの煮込み』(400円)、『おじや』(500円)、『煮やっこ』(350円)などのメニューがあるのでした。
ホッピー(セットで350円)が飲めるのも、横須賀ならではですね。
そんなわけで、今日もまずはホッピーと、鶏皮のみそ煮(3本)からスタート。
今日もひとりで来たので、カウンター席に座ったのですが、後ろのテーブル席には、何年かぶりにこの店に来たという年配のご夫婦。
そのご夫婦も、最初の一品は鶏皮のみそ煮です。
「あぁ、これだ。懐かしいなあ。このみそ煮をよく食べたなあ」
「ほんとねえ。懐かしいわねえ」
お二人とも、とてもうれしそう。鶏皮のみそ煮は、横須賀でもみんなに愛されて、『懐かしい味』のひとつになってるんですね。
私は『ぬた』(400円)を注文。注文を受けてから、ささみをサッと湯引きして作ってくれます。これもいいですねえ。鶏肉が軟らかくて、うまいや。ん~、ホッピー、ホッピー。
このみそ煮とぬたで、1杯めのホッピーを飲み干して、ナカ(ホッピーの焼酎おかわり、300円)をもらうとともに、これまた呉の『とり屋』にはない『煮やっこ』(350円)を注文し、その煮やっこができるのを待つ間に、ホワイトボードに手書きされている『うりの鉄砲漬』(350円)をもらいます。
うりの鉄砲漬は、店主・野村宏さんの故郷である千葉県成田の名産品。
白うりの種の部分を取り除き、そこにシソで巻いた青唐辛子を入れて、醤油漬けにしたもの。これを5ミリ程度の厚みにスライスしたものをいただきます。これもまたいいつまみになりますねえ。
さあそして、煮やっこもできあがってきました。
鶏スープで作る『スープドーフ』ももちろんおいしいけれど、関東らしい、甘辛い醤油味の煮やっこも捨てがたい。その日の気分で選べますね。
うりの鉄砲漬と煮やっこは、それぞれがすばらしい酒の肴。これだけでさらにナカをもう1杯(3杯め)いただきます。
そしてラスト1杯、4杯め(今日はソト1ナカ4)となるナカをもらって、つまみには『焼めし』(400円)を注文です。
今日のメーンは、なんといってもこの焼きめし。
横須賀に向かって電車に乗るときから、「最後は焼きめしで!」と決めていたのです。
呉では、多くの酒場の〆のメニューとして、必ずと言っていいぐらい「焼きめし」があります。チャーハンでもなく、ピラフでもなく、焼きめしなんです。
もちろん「本家鳥好」にもあるし、ここ横須賀の「鳥好」にもある。
注文を受けて、フライパンでチャチャっと炒めて作ってくれるシンプルな焼きめし。
今日の4杯めのホッピーのつまみも、この焼きめしです。つまみにも〆の食事にもなるんですね。
その焼きめしを完食して、3杯めのホッピーもグイッと飲み干して、ごちそうさま。
2時間弱の滞在。今日のお勘定は2,930円でした。やあ、おいしかった。そしてよく飲んだ。
伝統的な呉の味と、横須賀ならではの新しい味。このバランスが横須賀「鳥好」の大きな特長ですね!
当店自慢・鶏皮のみそ煮 / 鶏ぬた / ホッピーのナカを氷入りで
うりの鉄砲漬 / 煮やっこ / 値段ごとに色分けされた札でお勘定
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コメント
森下健一氏死去
残念でした。もっと酒の飲み方教えて欲しかった
投稿: Kibarin | 2013.11.27 17:48