倉嶋編集長と飲む千福 … 樽酒「路傍(ろぼう)」(中野)
昭和36(1961)年創業の老舗酒場、樽酒「路傍」にやってきました。
店名に『樽酒』という肩書が付いているとおり、この店は樽酒が売り。しかも呉は「千福」の樽酒で、1合升にきっちりと1杯が800円。すいすい飲めてしまうのが危ないんだなあ。
そんなことを考えているうちに、店の前に到着。
ここの引き戸は建てつけが悪くて、開けるのにコツがいる。開いたら開いたで、閉まらなくなっちゃったりするんですよねえ。
この戸を簡単に開けれるか、なかなか開けられずに入口で戸惑ってしまうかで、この店の常連度が計れてしまうほど。
その引き戸に手をかけて、フンッと力を込めて引っぱると、オロッ?!
拍子抜けするほど軽く引き戸が開きました。
「こんばんは。なんでこんなに軽くなったの?」
引き戸そのものは変わったように見えないので、そう聞いてみると、
「いや、ちょっとつついてたら軽くなったんですよ」と店主。
えぇ~っ? みんなが何年も苦労してきたのに……。あの苦労はなんだったんだ。
その入り口を入ると、すぐ目の前は土間になっていて、右にテーブル席、左に小上がりの席があるものの、いずれも荷物置き場。客が座る場所としては使われていません。(本格的に満席になったら使えるかもね。)
みんなが座る場は、店の奥にあるJ字で8席ほどのカウンター席です。
J字といっても、ぐるりと丸いわけではなくて、カク、カクと角になっている。その角の内側に、レンガ造りの小さな炉があって、冬場のこの時期はシュンシュンと鉄瓶の湯が沸いています。
J字のカウンターが途切れたところに、店主夫妻が立ち、バーでのバーテンダーと同じように、店全体を采配してくれるんですね。
カウンターがいっぱいになっても、店主も含めて10人以内というこの人数。みんなで共通の話題で盛り上がるのにちょうどいい。
一見さんであっても、店主夫妻が適度に会話のパスを出してくれるので、それに答えているうちに、知らぬ間に会話の仲間に入っていけるのでした。
今日はこの店から飲み始めなので、まずは瓶ビール(キリンラガー)をもらいます。
この店にある飲み物は、「千福」の樽酒(1合800円)と本醸造(たぶん1合500円)、大瓶ビール、そしてウイスキー水割りだけ。焼酎は置いていません。
女将の和栄さんが、カウンターの中で支度をして出してくれるお通しはインゲンの胡麻和えです。
店主夫妻の共通の趣味は渓流釣り。
お店が休みの週末(日祝定休)になると、お二人そろって渓流釣りに出かけていくんだそうです。
そんな自然好きの店主夫妻だから、カウンターの上にも季節ごとの野菜類などが並んでいて、それを料理して出してくれるのです。
とそこへ、「こんばんは」と入って来られたのは、「古典酒場」の倉嶋編集長です。
今日は
私もちょうど1本めのビールを飲み終えるところで、一緒に樽酒(800円)をもらって乾杯です。
っくぅ~っ。うまいっ。
樽酒を注文すると、小皿に塩を盛って出してくれるのですが、この塩と「千福」樽酒が絶妙に合うんですよねえ!
あっという間に1杯めの樽酒を飲み干して2杯めへ。ワイワイとみんなで楽しく話しながら飲んでいると、酒のペースもぐんぐん上がります。
つまみには、とんぶりやエリンギを注文。
とんぶりは、山芋をすりおろしたものにのせ、うずらの黄身をトッピング。これをグリグリとかき混ぜて、すすり込むようにいただきます。
エリンギは炉の炭火で丸ごと炙ったものを、細く裂いて、サッと醤油をかけて出してくれます。これもいいなあ。
樽酒も進んで2時間ちょっとの滞在。今日のお勘定は二人で5,800円(ひとりあたり2,900円)でした。どうもごちそうさま。
とんぶり / エリンギは丸ごと炙って / 裂いて出してくれる
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コメント
いつもありがとうございます、浜田信郎様。「千福」の樽酒、美味しそうです。
樽酒というと、銘柄はわかりませんが、いまは無くなってしまった、私のプロフィールの写真にもなっている『朝日屋』で、お正月に振舞い酒をいただいたことを思い出します。大変良いお酒でした。
投稿: 大越龍一郎 | 2013.12.10 07:07