〔コラム〕 日本海の海の幸・ズワイガニ
京都府の日本海側に位置する舞鶴にやってきています。
冬の舞鶴といえば、やっぱりカニですね。
日本海の深海にすむこのカニは、標準的にはズワイガニという名称ですが、水揚げされる場所によって、オスは「松葉がに」「越前がに」などの地域ブランドで呼ばれています。
舞鶴でも昨・平成24(2012)年に、特許庁の地域団体商標を取得して、舞鶴漁港に水揚げされたズワイガニのことを、「舞鶴かに」という地域ブランドで呼ぶようになったんだそうです。
残念ながらタグ付き(地元ブランド)のカニは、通常のものと比べると倍ぐらい高いらしいので、今日はタグなしの、普通のズワイガニをいただきます。
「味はほとんど変わりませんので、ご安心ください」と地元っ子。
まずは土鍋に張られたダシに、殻が付いたままのカニの一部を投入して着火。この殻付きのカニから、いいダシが出るんだそうです。
鍋が沸くのを待つ間に、ズワイガニの刺身ですね。
身の先にワサビ醤油をちょいとつけたら、殻の部分をつまんで高~く持ち上げ、その下に口を持っていって、一気に食べる。
あっまぁ~っ!
カニの身の自然な甘みがすばらしい。燗酒、燗酒。
「カニ自身は、自分がこんなに美味しいことを知ってるのかなあ」
「いや、タコみたいに、自分で自分を食べないもんね。きっと知らないんだよ」
なんて、どうでもいいような会話もすごく楽しい。
続いてはメスガニ。ひとりに1匹ずつ出されます。
メスのズワイガニも、地域によってコッペガニ、コウバコガニ、セコガニ、セイコ(セイコガニ)など、いろんな呼び方をされるんだそうです。
オスの漁期は11月6日から、翌年3月20日まで、5ヶ月近くあるのですが、メスの漁期は開始は同じ11月6日でも、終了は翌年の1月10日までと、うんと短くて、2ヶ月ほどしかありません。これはもちろん資源保護のためです。
今はちょうどメスの漁期。このコッペガニを楽しみにやってきたのです。
コッペの大きな特長は、なんといってもその
外子は、甲羅の腹部に抱いている卵のこと。
卵の成熟度によって、解禁直後のオレンジ色から、年末に向かってだんだん黒い色に、色が変化していきます。今日の外子はその中間、茶色っぽい色合いです。
このプチプチとした食感が、外子の
そして、甲羅をパカッと開けると、その中にギッシリとつまっているのが、オレンジ色の内子、カニの卵巣です。こちらは濃厚で旨みがたっぷり。まわりのカニミソと一緒に食べると、燗酒が進んでしょうがないつまみになります。
さあ、カニ鍋の準備も整ったようです。
熱々のカニを、ポン酢醤油や三杯酢でホジホジモグモグといただく間、みんながすっかり無口になるのもおもしろい。
そして大きな甲羅で出されたのはカニミソです。
カニミソの上に、椎茸や三つ葉をのせて、茶碗蒸し風にダシ卵でとじています。
ん~。コッペの内子もおいしかったけど、こうしてあったかいカニミソもいいですね。
「すみませ~ん。お酒を、アチッ! ていうぐらい熱燗でお願いします」
と注文して出してもらった熱燗を、甲羅の中に注いで、甲羅にくっついたカニミソを混ぜ混ぜと酒に溶かしてグビリ。
っくぅ~っ、うまいもんじゃのぉ~!
最後に、カニ鍋のダシで作ったカニ雑炊が出されます。
水分が多めのこのカニ雑炊は、カニの味わいもさることながら、具材として投入された
ゆっくり、たっぷりと3時間ほどの宴会コース。ひとり1匹ずつのズワイガニがついて、飲み代も込みで、ひとり9,500円(コッペガニが要らない人は8,000円)というのはお値打ちでした。どうもごちそうさま。
そしてすばらしい場を設けてくれた幹事さん、どうもありがとうございました。
ズワイガニ(オス)のカニ鍋 / 刺身 / コッペガニ(メス)
甲羅酒(1杯め) / 甲羅酒(2杯めでも濃厚) / シメのカニ雑炊
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