イカ大根の季節が到来 … 立呑み「やきや」(荻窪)
冬場の大きな楽しみの一つが、荻窪「やきや」のイカ大根(170円)です。
イカワタやイカゲソと一緒に大根を煮込んだシンプルな料理なのですが、イカの味がよく染み込んで、黒々と半透明になった大根が、イカよりもなおイカらしい。
ックゥ~~ッ。こりゃ、燗酒をやるしかないだろう!
家を出るのが遅くなり、「やきや」に着いたのは午後7時前。
土曜日の店内はほぼ満員状態ですが、店のおねえさんに「奥へどうぞ」とうながされた先には、まだ2人分ほどの立ち位置が残ってました。
さて注文をと思ったところへ、すぐ横のテーブル席から「浜田さんっ!」と声がかかります。
ん? と思ってそっちを見ると、平日は「やきや」の手伝いをしているユリちゃんとその友人、そして男前H氏とキクちゃんが、4人でテーブルを囲んでいます。
「やきや」の店内は、入口から奥に向かって、L字の立ち飲みカウンターが伸び、一番奥のところに、立ち飲みテーブルがくっついたような造り。奥の立ち飲みテーブルの壁際だけに、2~3人掛けられるベンチが作りつけられています。
H氏以外の3人は女性という、女性比率が高いテーブルに、一瞬、合流をためらったのですが、せっかくなのでご一緒させていただいて、燗酒(北の誉、250円)とイカ大根(170円)を注文したのでした。
そのイカ大根。冒頭の写真の、徳利や猪口との大きさの対比でわかっていただけるでしょうか?
ものすごく大根がでかいのです。
おでんの専門店で出してもらうと、1個300円ぐらいする、ごろりと大きい大根が、たった170円のイカ大根には2個も入っています。
これだけで燗酒の3本ぐらいは軽く飲めてしまいます。
いや、今日は実際に、このイカ大根だけで燗酒を3本飲んでしまいました。
なにしろイカワタのコクが濃厚に出た煮汁までもが、とてもいい酒の肴になりますもんねえ!
この店のイカ大根を食べたら、ヘタなおでん屋で大根を食べることなんてできなくなってしまいます。
すでに『超』が付くぐらい有名店になった「やきや」ですが、改めて店の概要をご紹介いたします。
「やきや」の創業は意外に新しくて、平成11(1999)年7月。最初は荻窪駅北口の、闇市の風情がそのまま残る古い商店街の一角にありました。
私が最初にその店に入ったのは、今から12年前、2001年5月のこと。
まだ開店して2年も経っていないころだったのですが、古い酒場をそのまま居抜きで使った店内は、うまい具合に古びていて、老舗の貫録すら漂っているような印象を受けたのでした。
その当時はホッピーが300円で、ナカ(焼酎のおかわり)は150円。八戸直送のイカを中心とした料理は、そのほとんどが150円均一で、〆サバだけが200円でした。
その安さと美味しさに、ものすごく衝撃を受け、今も通い続けているのです。
2011年1月に、建物の老朽化で立ち退きを余儀なくされ、「やきや」ファンをやきもきさせたのですが、同年7月、現在の場所で営業を再開したのでした。
最初に行ったころ、ほぼ150円均一だった料理は、今はほぼ170円均一。170円じゃないのは、イカしょうが棒(200円)と〆サバ(330円)ぐらいでしょうか。
ホッピーも320円(ナカは160円)に値上がりしましたが、それでもまだまだ都内では安いほうだろうと思います。
今の店舗も、スナックから、焼き鳥屋を経て、「やきや」になったという居抜きの店。随所にスナックっぽいところや、焼き鳥屋っぽいところが残っているのがおもしろいところです。
1時間ほどの滞在。イカ大根と燗酒3本で、お勘定は920円でした。どうもごちそうさま。
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