大雪でも集う常連さん … 国民酒場「じぃえんとるまん新杉田店」(新杉田)
『強い寒気と低気圧の影響で、関東甲信では8日未明から雪が降り始め、東京23区でも20センチの降雪が予想されるなど、首都圏では1998年以来16年ぶりの大雪となる可能性があります』
こんなニュースが繰り返されるなか、昨日(金曜日)は会社帰りに、横須賀に飲みに出かけたわけですが、土曜日の朝、目覚めてみると、その予報のとおり雪が降り始めていました。しかもすでにうっすらと積もっている。
都内の自宅に帰ると、明日(日曜日)までに横浜に戻ってこれないかもしれないので、この週末は単身赴任社宅に籠城しようと決めて、
ちょっと外の様子を見てみようと、玄関の扉を開けたところ、その玄関のすぐ目の前に30~40センチほどの雪が積もっているではありませんか!
『えっ? なんで?』
単身赴任社宅の部屋は、2階建ての1階部分ながら、入口は階段用のでっぱりの下にあるので、雨が降っても濡れることがありません。それなのになぜ??
そんな思いで、しばらく雪の具合を観察してみると、ふわふわと軽い雪が、低気圧の強風にあおられて、うちの入り口近くに吹き溜まってくるようです。
『雪が固まってしまわないうちに、通路だけは確保しておこう』
段ボールをスコップ代わりにしてヨイショと押してみると、空気を含んでふんわりと積もった雪は、軽く移動することができて、いつもの通路が現れます。その作業を繰り返して、なんとか入り口付近の雪は取り除くことができました。
『着替えて外に出たついでに、近くの酒場に出かけてみるか』
部屋にこもっているときは、外に出ようという気も起らなかったのですが、いったん外に出てしまうと、逆に、もうちょっと出かけてみようという気持ちがわいてきました。
今の時刻は午後4時前。さすがにこの雪の中を、電車やバスなどの交通機関を使って出かけていくのは避けたい。この時間に、歩いて行ける範囲内で開いている酒場というと「愛知屋酒店」(午後3時開店)か「じぃえんとるまん新杉田店」(土日は午後1時開店)。JR新杉田駅近くの、「養老乃瀧」も午後4時開店だなあ。
よしっ。その方面に向かえば、なんとかなりそうだ。
新雪をサクサクと踏みしめて……
なんて思っていたら、新雪の積もっている量があまりにも多すぎて、1歩ごとにズボッ、ズボッと、ひざぐらいまで埋もれてしまう。ひゃ~っ。これはすごいなあ。
テレビで何度も繰り返されていた、『不要な外出は控えましょう』というフレーズを思い出したけど、ここまで来たら行っちゃえ!
車も通る道まで来ると、車が通った後のわだちの部分は雪が踏み固められていて、ちょっと滑るけど歩きやすい。
いつもなら5分ほどで行ける「愛知屋酒店」ながら、今日は10分以上かかって到着すると、シャッターが閉まっていて休業。さすがにこの雪じゃ、お客も来ないと予想しての休業なんでしょうねえ。
ちょっと不安になりながら、その先の大通りまで出てみると…。
やった! 「じぃえんとるまん新杉田店」の赤提灯に灯がともっている。
吹雪のような大雪の中、まるで灯台のようだ。この赤い光はうれしいなあ。
さっそくその店内に飛び込むと、この大雪の中でも、先客がひとりいる!
入り口の横で、コートについた雪を払って、傘を巻いていると、ホールや飲み物を担当されている女性店員さんが、
「このあたりがエアコンがよく効いて暖かいですよ。どうぞどうぞ」と、奥のテーブル席に案内してくれます。
これだけ寒くても最初はやっぱりビールがほしいですね。
「瓶ビール(370円)と、まぐろぶつ(200円)。あとホタルイカ(250円)もください」
ここの瓶ビールは、アサヒスーパードライの大瓶。これが370円なんだから驚くではありませんか。角打ち(酒屋での立飲み)でも、これより高い店は多いぞ!
まぐろぶつはこの店の名物。遅い時間に来ると売り切れてることが多いのですが、今日はありますねえ。
先客の男性ひとり客は、この店の常連さんらしく、ときどき店の外に出て、入口付近の雪かきをしています。入口付近が、ちょっとしたスロープになってるので、雪が積もってると滑って危ないんですね。
この雪かきを、お店の人に頼まれてやるんじゃなくて、自主的にやっているところに、お店への愛を感じますねえ。
まぐろぶつとホタルイカを食べ終えたところで、温かい料理をもらおうということで、コロッケ(2種150円)を注文すると、揚げたての熱々で出されるコロッケは、普通のコロッケと、カレーコロッケの2種類です。
値段の安い立ち飲み屋ながら、料理の多くは、注文を受けてから調理してくれる。これもまた、この店の人気の理由のひとつなんでしょうね。
ビールを飲み干したところでホッピー(350円)をもらって、「ふぐのバターしょうゆ焼」(300円)を注文します。
この「ふぐのバターしょうゆ焼」。おそらく安いサバフグだろうと思うのですが、3枚におろした両側の身はバター醤油でソテーし、中骨はカリカリに揚げて、きれいに盛り付けて出してくれるんですね。これもいいなあ。
骨まですべていただきましたよぉ!
京浜東北・根岸線も運転を取りやめてしまったので、もうこれ以上はお客さんは来ないかと思いきや、5時を過ぎると、ひとり、またひとりと、それぞれ常連さんらしき男性ひとり客が次々とやってきます。
「振替輸送で京急線に乗ったら、京急も徐行、徐行でさあ。いつもの3倍ぐらい時間がかかっちゃったよ。あ、生ビール(中370円)2杯ちょうだい。え? いいんだよ、最初から2杯で。1杯めはすぐに飲み干しちゃうからさ」
その言葉どおり、1杯めは息もつがずにキューッと飲み干して、すぐに2杯めのジョッキに手を伸ばします。電車の中で、長いこと缶詰めになってたので、のどが渇いていたのかな。
この店には昔ながらの、片手では持ち上げにくいぐらいの大ジョッキ(570円)もあるのですが、それにしないで中ジョッキを2つにしたところが、なにやら
私もホッピーのナカ(焼酎おかわり、180円)をもらって、かまぼこ(100円)を追加注文すると、出されたかまぼこは紅白合わせて8切れ。見ためもいいね。
その後も客は増えてきて、午後6時前の段階で7~8人ほど。
いつもギューギュー詰めの「じぃえんとるまん新杉田店」から考えると、ガランガランと言ってもいい状況ですが、この大雪の中ですからねえ。
「いやあ、寒い寒い。よく降るねえ!」
と飛び込んできたお客さんに、店長も女性店員さんも、
「えっ! 電車、止まってるんじゃないの?!」と驚き顔。
「止まってるから、磯子(=となり駅)からここまで歩いてきたんだよ。遠かったなあ」
こんな天候でも、電車が止まっていても、常連さんたちはやってくるんですねえ。この店で飲まないと1日が終わらないんでしょう。だから店の側も、こんな雪でも、臨時休業にしないでやってるんですね。
お客、お店、双方の深い信頼関係を感じます。
「じぃえんとるまん新杉田店」が開店したのは、平成20(2008)年12月5日。開店から5年で、そこまで信頼されるお店になったのは、素晴らしいことだと思います。
2時間弱の立ち飲みタイム。キャッシュ・オン・デリバリーでの支払総額は1,900円でした。どうもごちそうさま。
来たときよりも、ますます降り積もり、さらに激しさを増す吹雪の中を社宅へと向かったのでした。
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