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2014年3月

〔コラム〕家族で旅行3日目 … タイに向けてクルーズの巻

操舵室


 インサイドの部屋のいいところは、窓がないので陽ざしがないということ。思いっきり眠ることができる。

 昨日の夜のうちに「朝は8時に部屋の前に集合して、朝食に行こう!」ということだけ決めてたので、その時刻に部屋の前に集まります。

 客船の部屋は、基本的に二人部屋。わが家は男組2人、女組2人に分かれて、となり合った部屋にいるのでした。

 3軒の無料レストランのうち、今日の朝食として選んだのは、船尾側最上階にあるインターナショナル・ビュッフェ「メディテラニアン」です。

 なにしろここはビュッフェスタイル(バイキング式)なので、自分の好きなものを、好きなだけ持ってこれるのがいいですよね。出張中のホテルの朝食と同じ感じです。

 乗客のみんなが朝食を終えるころになると、船も全速前進。

 夜、眠っている間は、「本当にこれが船の上か?」と思うほどだった静かさに対して、今はもう、目的地に向かってまっしぐらという感じで、とっても船らしい揺れ方(と言っても酔うほどではありません)でグイグイと進んでいきます。

 クルーズ客船のすばらしさは、こういうところにあるんですよね。

 貨物船は、とにかく効率優先で、最短航路をバリバリと走るのですが、客船は効率よりも快適さ優先。天候(海象)の悪いところは基本的に避けて通ります。

 で、今の時間のように、乗客のみんなが起きているであろう時間帯には、ちょっとがんばって目的地に向かうわけですね。

 シンガポールを出港した船は、マラッカ海峡をタイのプーケット島に向かって走っています。

 この航路の右にはマレー半島、左にはインドネシアのスマトラ島があるはずなんだけと、船から見える光景は、360度、見わたす限りの水平線が、すべて海。他には何も見えません。マラッカ海峡って、こんなに広いんですね。

 朝食を終えると、昨日の続きで船内見学。船の外は常夏の暑さなんだけど、船内はエアコンがギンギンに効いていて寒いほど。両極端で、春や秋の「ちょうどいい季候」っていうのがありません。ギンギンにエアコンが効いているということが、常夏の東南アジアでは最大の「おもてなし」なのかもしれませんね。

 船内では、その日に行われるイベントを紹介する船内新聞(各国語)が、毎日、部屋に届けられるほか、旅行会社からのイベントガイドも部屋に届きます。

「よろしければ船内見学に出かけませんか」

 というのが、今日の旅行会社のイベント。これにも、もちろん参加しますねえ!

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ビュッフェで朝食 / 朝から賑わうプール

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船首展望室 / ウイング展望室から後方を見る

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スロットマシン / レセプション前の大きなホール

 船内見学を終えたあとは昼食。クルーズ料金に含まれている3軒のレストランのうち、最後の1軒、中華料理の「パビリオン・ルーム」に行ってみることにします。

 とにかくこのレストランが、この船の中では、もっとも人気があるようで、いつも満席で、入口には待ち行列ができている。わが家は、ランチタイムのスタートと同時に行ったので、並ばずにスッと入ることができましたが、その後すぐに満席になりました。

 でも。なんて言ったらいいのかなあ。出てくるのが東南アジア風にアレンジされた中華料理で、香辛料の香りが独特。私自身は、ビールのつまみとして、けっこう美味しくいただくことができたのですが、他の家族の口には合わなかったようです。

 料理はコースなんだけど、何人で行こうが、同じ料理がドンッと一気に出てきます。気に入った料理は、何度でもおかわりできる仕組みです。

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ランチにタイガービール / 東南アジア風の中華料理

 小エビのサンバル炒めイカンビリス添え(Stir Fried Sambal Shrimp with Ikan Bilis)は、サンバルという辛子味噌がよく効いている。イカンビリスは東南アジアのイリコってところでしょうか。揚げピーナッツもピリッと辛くて、ビールが進みます。

 冬瓜と干ほたて貝柱入りスペアリブスープ(Double Boiled Pork Rib Soup with Winter Melon and Dried Scallop)には、よく煮込まれた鶏の足も入ってて、私は大喜び! 他の家族はドン引きです。

 魚の唐揚げオイスターソース(Deep Fried Fish with Oyster Sauce)やチキンカレー(Curry Chicken)、和風ソースのゆで野菜(Poached Vegetable with Soya Sauce)は、家族もなんとなく食べられたようですが、それでも「香辛料がちょっと独特!」と、あまり好みではない様子。

 おもしろかったのは、ごはんかと思って食べたら、そうではなかったナシレマ(Nasi Lemak)。お米にココナッツミルクや塩を加えて炊き上げる、マレーシアではとても一般的な家庭料理なんだそうです。

 乗客の中に、中国人やインド人、東南アジアの人たちが多いようなので、彼らにとっては、このレストランの味が、いちばん好みに合うのかもしれませんね。

 わが家は早々に退散して、今朝の朝食をいただいたインターナショナル・ビュッフェ「メディテラニアン」で、はしご酒ならぬ、はしごランチ。朝は船内のテーブル席でいただきましたが、今回は船尾側のテラス席でいただきます。

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後部テラス席から見える航跡 / そのテラス席でデザート

 東南アジア風中華料理もひとしきり食べてきたので、ここはパンやフルーツ、デザート類が中心の、おやつのような食事ですね。

 昼食が終わると、よく寝る息子は部屋で昼寝。母娘ふたりは、12階中央部にあるパルテノンプールを独占しての水泳。午前中はけっこう人が多かったのに、昼下がりの今の時間帯はガラガラなんですね。

 残念ながら、「強風のため」ということで、ウォータースライダーは使えませんでした。

 プールの周りにはジャグジー(泡風呂)もいくつかあって、温まることもできるようになっています。(ちなみに今日も気温は33℃以上あります!)

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午後は広いプールを二人占め / ジャグジーもゆったり

 泳ぎ終わった女性陣が、部屋に着替えに帰るタイミングで、昼寝をしていた息子が起き出してきて、今度は男性陣二人でカジノ見学です。

 カジノは写真撮影禁止なので画像はないのですが、スロットマシーンは、船内のゲームコーナーにあるスロットマシンと同じものにしか見えない。賭け事なのか、単なるゲームなのかの違いだけなんでしょうね。

 ルーレットなどもありますが、人が多いのはカードゲームのコーナー。一番単純なのは、1枚ずつ引いて、それが親のカードよりも上か下かというもの。親よりも上のカードなら、賭けたチップが倍になって戻ってきて、親よりも下なら賭けたチップは没収。

 これがブラックジャックになったり、ポーカーになったりすると、よりルールが複雑になって、戻ってくる額も倍だけではなくて、3倍になったり、5倍になったりと、より刺激が強くなるようになってるんですね。

 カジノが開いてるのは、船が沖合いにいるときだけで、陸地が近くなってくると閉店となるようでした。それぞれの国の法律とも関係があるんでしょうね。

 さあ、そろそろ夕食だ。今宵は先ほどのプールサイドでBBQ大会が開かれる予定。そのあと午後7時ごろに、いよいよタイのプーケット島に入港です。

本船の模型

(つづく)

《平成26(2014)年3月10日(月)の記録》

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〔コラム〕家族で旅行2日目 … 出航&初ディナーの巻

シンガポール港を出航


「初日なので、よろしければご一緒に夕食をとりませんか。そこで船内でのお食事の方法などもご説明したいと思います。ご希望される方は、午後7時までに、この7階のレセプションの前に集まってくださいね」

 クルーズ客船「スーパースター・ヴァーゴ」に乗船して、ウェルカムドリンクで一息ついたところで、ツアー客みんなにそう声をかけてくれたのは、添乗員のSさん。

 今回は、同じ旅行会社のツアー3組が、それぞれ別会社の飛行機で、羽田からここまでやってきました。

 我われの組は30人ほど。そのほとんどは中高年のご夫婦で、子供連れ(といっても子供たちは二人とも成人してますが…)の家族は、わが家だけです。

 船内の客を見ても、やはり中高年層が多い。クルーズ客船の、ゆったり、のんびりとした船旅だから、そうなのかもしれませんね。

 7時までの4時間ほどは、船内での自由時間。さっそく船室にこもって昨夜の寝不足を解消する人あり、ここぞとばかりに船内見学に出かける人あり。

 私はもちろん船内見学です。

 ざっくりと言うと、今いる7階が、この船の主甲板(メインデッキ)。これより下(5~6階)に下級船室があり、これより上(9~11階)に上級船室があります。

 4階より下は、エンジンルームなどがあって、我われ乗客は行くことができません。

 各階の船首・船尾側と、7階、8階、12階、13階(=ほぼ屋上)がパブリックスペース。レストランやプール、カジノ、ゲームセンター、シアター、免税店、さらには図書室(日本の本もある!)などが並んでいます。

 ふと気がつくと、船は静かに桟橋を離れて、港を出ようとしているところ。エンジンの振動すら感じないのがすごいなあ。客船って、こんなに静かなんだ。

 となりの桟橋にとまっていたクルーズ客船「アムステルダム」が見る見る小さくなっていきます。

 船内はとても広くて、全体を見ることなんてほとんどできないまま、あっという間に午後7時。さあ、初ディナーだ。

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船内一周ウッドデッキ(7階) / 船首部にある建造所銘板(7階)

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船尾にある子供用プール(10階) / 船の後方が展望できるテラス席(11階)

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屋上のテラスカフェ(13階) / 船中央部にあるパルテノンプール(12階)

 この船には、軽食店も含めると11軒もの飲食店がそろっていて、しかもその内の3軒はクルーズ料金に含まれていて、料金は必要ないのです。ただし、残念ながらアルコール飲料などは別料金です。

 その3軒のうち1軒めは、船尾側最上階にあるインターナショナル・ビュッフェ「メディテラニアン・ビュッフェ&テラス」。ビュッフェというのは、日本でいうバイキング方式のことで、ずらりと並ぶ大皿料理から好きな料理を取り分けていただきます。インターナショナルという名のとおり、各国の料理があれこれと並んでいます。ベジタリアン・コーナーもあるので、ベジタリアンの人たちも大丈夫です。

 2軒めは、ちょうど船体中央部にある中華料理店「パビリオン・ルーム」。ここは朝・昼・夕ともに、日替りのセットメニュー(定食コース)が出されます。気に入った料理はおかわり自由なので、食べ足りないということはありません。

「旅&我が家の犬&そぞろ」ブログより 3軒めは、インターナショナル・ダイニング「ベラ・ビスタ」。このレストランは、6階のもっとも船尾側。左の写真で、飾り窓のように見える部分の内側にあって、3軒の中では、いちばん格調が高い。アジア料理や西洋料理を楽しむことができます。

 格調が高いといっても、そこは常夏の東南アジア方面をクルーズする客船のこと。プールに行くような格好でなければ、普段着のままで利用することができます。このカジュアルさも、このルートを航行するクルーズ客船の売りのようです。

 そしてこの船内での初ディナーも、ここ「ベラ・ビスタ」です。

「レストランの入口で、アクセスカードを提示して、一緒に食事をする人数を申告します。そうするとテーブル番号を教えてくれるので、そのテーブルで食事をとってください」

「『ジャパニーズメニュー、プリーズ』と言うと、日本語のメニューを出してくれます。このレストランは、前菜、主菜、デザートをメニューから選ぶようになっていますが、それぞれ何品選んでもかまいません」

「水や食後のコーヒーは無料ですが、ジュースやコーラ、アルコール飲料などは有料です。アクセスカードを提示して、レシートで金額を確認し、サインしてください。下船時に清算することになります」

 添乗員のSさんが、きめ細かい説明をしてくれるので、困ることはなにもありません。

 私は前菜:シーフードスープ、主菜:ラムチョップ、デザート:アイスクリームを選択し、タイガービールをもらいます。

 350ml缶で出されるタイガービールは9シンガポールドル(SGD)。1SGDが85円ほどなので、約750円ですね。他の飲み物も、アルコール飲料はほぼ9SGD。ジュースなどのソフトドリンクが4~5SGD(340~420円)といったところです。

 ほかの店でも、アルコール飲料はたいてい9SGD。乗船前のランチの店でも、ビールは9SGDだったので、これが標準的な値段なのかなあ。かなり高い感じがする。

 息子は主菜を何品ももらい、カミサンと娘はデザートを何品ももらっています。カミサンにいたっては、デザートは「エブリシング」という注文。すごいなあ!

 主菜のラムチョップが出てきたところで、オーストラリアはヤラバレー産の赤ワイン(これも9SGD)をもらいます。

 それにしてもこの船は、まったく揺れない。振動も感じない。

 船自体が大きかったり、フィンスタビライザー(減揺装置)が付いているということもあるけれど、天候(海象)がとてもいいというのが最大の理由でしょうね。

 1時間ちょっとで食事を終えて、夜は「ザ・リド」というシアターでのイリュージョンショーを見に行きます。

 このシアターは、最船尾の7~8階をぶち抜いて作られていて、NHKホールなどの、街なかにあるホールと少しも変わりません。船の中とは思えないなあ。

 開演前に「カメラやビデオでの撮影はお断りします」という案内があったのですが、これまたかなりアバウトなところで、場内ではスマートフォンで撮影している人も多い。iPadを頭上にかかげて、堂々と撮影している人までいる。それでもまったく注意もされないところも、アバウトですねえ(笑)。

 ショーが終わったあとは船室に戻り、シャワーを浴びて爆睡。

 部屋はインサイド・ステートルームという、この船ではもっとも安い、窓なしの部屋なのですが、部屋に戻るのは寝るときだけといってもいいので、これで十分な感じ。

 部屋の中はビジネスホテルのツインルームといったところで、さっきも書いたとおり、揺れも振動もないので、本当に地上のホテルの部屋にいるようでした。

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タイガービール / オーストラリアの赤ワイン

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わが家のメインディッシュ / 私はラムチョップを選択

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たのみ過ぎ?! デザート / 私はアイスクリーム1品だけ

クルーズ客船「アムステルダム」

(つづく)

《平成26(2014)年3月9日(日)の記録》

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〔コラム〕家族で旅行2日目 … シンガポールの巻

シンガポール中心街


 昨日の東京の気温は、最高10℃・最低2℃だったのに、シンガポールに到着すると朝から25℃を超えている!(この日の最高気温は33℃、最低気温は24℃でした。)

 なにしろ北緯1度に位置しているので、ほぼ赤道直下なんですよねえ。かろうじて北半球だ。

 マレー半島の先っぽにあるこの国は、面積が約700平方キロメートルと、東京23区と同じくらいしかない。

 その中心地は高層ビルが林立していて、大都会ですねえ!

マーライオン 冒頭の写真でいうと右下のあたり。海に向かって観光用のデッキ(桟橋)が突き出しているところにあるのが、マーライオン像があるマーライオン公園です。

 マーライオンの後ろ側の道路は、実は橋で、シンガポール川の河口にかかっています。

 シンガポールはかつて貿易港として繁栄し、このシンガポール川に沿って、たくさんの倉庫が並んでいたんだそうです。それが今は、その姿を残しながらレストラン街に改装され、観光客のみならず、地元の人たちにも人気のスポットになっています。(冒頭の写真の中央あたり。)

ボート・キー シンガポール川の川岸に、まるで闇市のような怪しげな建物(もちろん褒め言葉です!)がずらりと建ち並ぶ様子は、野毛の大岡川沿いの建物のようで、なんだかうれしい!

 時間があれば行ってみたいところですが、こちとら旅行会社が主催する海外ツアー御一行様の1メンバー。勝手に行動するわけにはいきません。

 午前中のうちに、シンガポールの観光をひとしきり終えたあと、港の中華レストランで飲茶のランチを食べたら、いよいよクルーズ客船「スーパースター・ヴァーゴ」に乗船です。

ファンネルマーク ちなみに「ヴァーゴ(Virgo)」というのは、「おとめ座」のことです。

 総トン数76,800トンのこの船は、客室が1,000室、乗客定員は2,000名、そして操船やサービスを担当する乗組員は1,100名。全長270m、幅32m、高さ(船底から船のてっぺんまで)50m、喫水(水下の深さ)8mという大きな客船です。

 戦艦大和の主要目が、全長263m、幅39m、高さ51m、喫水10.5mぐらいなので、ほぼ同じ大きさ。大和の乗員は約2,500名なので、船に乗っている人の数も同じぐらいですね。

 この客船で、これからタイやマレーシアに出かけるので、乗船するのは国際線の飛行機に乗るのと一緒。

 本来は船内に積み込む荷物を預けて、チェックイン(予約の確認とアクセスカードの発行)をして、という手順を踏むのですが、そこはツアーの素晴らしさ。ここまでの手続きは我われがシンガポール観光をしているうちに、旅行会社のほうでやってくれていました。

 なので残るは手荷物検査(セキュリティチェック)と出国審査のみ。

 とは言うものの、乗組員も含めると3,000人ほどの人が出国するので、昼ごろから乗船手続きを開始しても、出航できるのは夕方5時ごろになっちゃうんですね。

 飛行機の場合は、搭乗手続きを済ませた後は、無機質な通路を通って搭乗しますが、クルーズ客船の場合は、船に乗るまでの通路の中だって、もうすっかりお祭り騒ぎ。

 大音量の音楽がズンチャカ、ズンチャカ流れて、サンバカーニバルのような衣装をまとった、スタイル抜群のおねえさんたちが、とびっきりの笑顔で出迎えてくれます。

 船に乗り込むと、そこが7階。12階までズド~ンと吹き抜けになっている、大きなホールが我われを出迎えてくれて、ウェルカムドリンクですね。

 本来は上級クラスの部屋の人しか、ウェルカムドリンクはもらえないらしいのですが、そこはまあ、かなりアバウトな仕切りで、我われもシャンパンなどをもらって船出に乾杯です。

 さあ、いよいよアジアンクルーズのスタートだ。

Photo by Jyi1693

(つづく)

《平成26(2014)年3月9日(日)の記録》

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〔コラム〕家族で旅行1日目 … 旅立ちの巻

出発前の豚汁うどん


 ついこのあいだ入社したように感じるのに、ふと気がつけばもう勤続30年。うちの会社は勤続30年になると、5日間の休暇と旅行招待券がもらえます。

 一方でわが家族はとみると、長女が大学4年生で、長男は大学2年生。長女は4月から社会人になる予定なので、今後はみんなで都合を合わせて一緒に旅行したりするのはむずかしいだろう。

 そんなわけで、子供たちの春休みに合わせて、家族4人で旅行することにしました。

 旅行招待券と一緒に、たくさん送ってもらった旅行パンフレットの中から、「海外に行きたい」けど、今般の情勢(主として安全上の観点)から「中国、韓国は避けたい」とう条件であれこれと検討。

 最終的に「ヴァーゴ・アジアンクルーズ6日間」(阪急トラピックス)という海外ツアーに参加することに決定。

 決め手になったのは、なんといっても76,800総トンのクルーズ客船「スーパースター・ヴァーゴ」での3泊4日クルーズが含まれていたこと。

 これまで30年間、一貫して船関係の仕事をしてきたので、記念の旅行も船旅にしたのでした。

 初日の今日は、夜9時半に羽田空港に集合して旅行会社の説明を受け、日付けが変わるちょっと前(午後11時30分~50分ごろ)に出発する飛行機に乗るだけ。

 海外に出ると、うどん、そば、ラーメンといった系統の、おいしい汁麺に出会える機会が少ないことが多いので、今日のうちに汁麺を食べておこう! ということで、旅立ち前の昼食に選んだのが、冒頭の写真にある「はまや食堂」の豚汁うどん(580円)だったのでした。

 次に「はまや食堂」に来れるのは、早くても5日後の木曜日。しばしの別れじゃのぉ。

 そして乗り込んだ飛行機はボーイング787。私にとって初めてのB787です!

 エコノミークラスの座席配置は窓際2列・中央4列・反対側の窓際2列という8列構成。わが家は家族4人で、中央4列に並んで座ります。

 離陸するとすぐに、水(ペットボトル)や、クラッカーなどの渇きものの袋が配られ、飲みものを出してくれるので、ここぞとばかりにビールを選択。

 家族全員での海外旅行は初めてなので、不測の事態に備えて、今日はビールすら飲んでいなかったのです。

 すでに日付けは変わっているものの、本日最初の、この1杯のビールがうまいこと!

 一息ついたところで、機内の映画・ビデオサービスで「永遠の0」を見る。この映画、見たかったんだ。ちょうど良かったなあ。ビールもおかわりをもらいます。

 映画の音声はダイナミックレンジが広いので、小さい音に合わせてボリュームを調整していると、急に大音量の音楽が流れたり、耳が痛いほどの大声が飛び込んで来てびっくりしたりする。

 午前2時を過ぎるころから、映画を見ながらウトウトすることが多くなる。突然の大音量で目覚めては、巻き戻し、巻き戻ししながら、感動のラストシーンまでたどりついた。

 続いて選んだのは、“本能寺の変”のあと、織田信長の後継者と領地分配を決定したとされる“清州会議”を、三谷幸喜ならではの視点でコミカルに描いた「清州会議」だ。

 すると午前4時過ぎに機内の照明が少し明るくなって、さっき軽食を食べたばかりなのに、もう朝食だって!

 和食と洋食が選べるので、和食を選択すると、鮭フレークや錦糸卵などがのったごはんに、冷しうどんである。「はまや食堂」で豚汁うどんを食べてきたのになあ。

 「清州会議」がいよいよ山場に入ってきたところで、午前6時半ごろ(現地時刻では午前5時半ごろ)、シンガポール空港に着陸。ああ、残念。続きは帰りの便だな。

 そんなこんなで、ほとんど眠らないまま、家族旅行の1日目を終えたのでした。

Boeing 787 Dreamliner

(つづく)

《平成26(2014)年3月8日(土)の記録》

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健康の有難みを再認識 … 「はまや食堂」(杉田)

■2月25日(火)

牛すき鍋定食 呉から戻った翌日の夕食は、「すき家」の牛すき鍋定食(580円)で休肝日とする。

 「吉野家」の牛すき鍋膳(580円)ともども、このところ大人気のようなので食べてみたのだが、牛肉の量がそれほど多くなくて、焼き豆腐も1切れだけ。全体の量も、うどんでカサ上げしている印象。出てくるのに時間がかかるのも気になるなあ。

 個人的には、牛皿定食(450円)でいいかも。

 奥歯の根っこ(歯ぐきの中)がちょっと痛むのが気になる。疲れがたまると、ときどきここが痛くなるんだな。


■2月26日(水)

中華そば 昼食(=「玉子屋」の弁当)を食べ終えたあと、奥歯の根っこの痛みが強くなってきた。もしかすると風邪の前兆なのかもなあ。

 そんなわけで、今日も休肝日にして、夕食は「日高屋」の中華そば(390円)。麺類であれば、あまり噛みしめることなく食べられるので、奥歯が痛くても大丈夫。サービス券で、麺を大盛にしてもらった。


■2月27日(木)

土鍋うどん 今日もやっぱり奥歯の根っこが痛むので、朝食は若布そば(250円)、昼食はチキンラーメンどんぶり(カップ麺、170円)と麺類が続く。

「このままじゃいかん! 呑んで治そう!」

 そう思い立って、会社帰りにいつもの「はまや食堂」へ。

 大瓶ビール(枝豆付き、480円)に冷奴(130円)、そして土鍋うどん(650円)を注文する。うどんができるまで、冷奴をつまみに、ビールを飲みながら待とうという寸法。

 土鍋うどんが出てきたところで、燗酒を大徳利(500円)でもらう。

 うどん以外の具材は、揚げたての野菜天ぷらや、半熟程度に煮えた玉子、ほうれん草、かまぼこなど。これらをつまみながら、美酒「爛漫」の燗酒をいただく。

 土鍋うどんを食べきっても、まだ燗酒が残っているし、お腹も7分目ほど。山芋とろろ(280円)を追加注文する。

 「呑んで治そう!」と気合いは入れているものの、歯ぐきはやっぱり痛いので、冷奴、うどん、とろろといった、ほとんど噛む必要がないものばかりをいただいた。

 お勘定は1,820円なり。これで良くなるかな。

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大瓶ビールとお通しの枝豆 / 冷ヤッコ / 燗酒と山芋とろろ


■2月28日(金)

 昨夜は気合いを入れて飲んだのに、奥歯の痛みはちっともよくならくて、かえって悪くなった(爆)。そろそろ歯医者に行ったほうがいいのかなあ。

 朝、若布そば。昼、チキンラーメンどんぶり。夜、レトルトの玉子がゆ、冷奴、ヨーグルトなどで休肝日。


■3月1日(土)

 遅めの朝食は、単身赴任社宅(横浜)でレトルトの梅がゆ、バナナ、牛乳など。都内の自宅に帰って、夜は鍋もの。がんもどきや豆腐、しいたけなどの軟らかいものを中心に。やっぱり自宅はありがたいなあ。

 今日は、蒲田「勘蔵」のイベント日で、ホッピー仙人の面々も参加してるのに、私はひとり自宅で休肝日(涙)。


■3月2日(日)

 昨日の鍋ものが「おじや」で登場。これは美味いなあ。いくらでも食べられる。そして今日も休肝日。


■3月3日(月)

 土・日と二日間、自宅でのんびりと過ごしたので、明らかに回復に向かっている。しかしながら、今週末から旅に出る予定なので無理はしない。先週と同じく、朝は若布そば、昼はチキンラーメン+牛乳、夜はバナナ・ヨーグルトとシーフードヌードルで休肝日。


■3月4日(火)

ニラレバ炒め定食 奥歯の根っこ(歯ぐきの中)が痛くなってから1週間が過ぎた。もうほとんど治ったな。でも、今日もすこし我慢しよう。朝は若布そば、昼は久々に「玉子屋」の弁当、そして夜は「日高屋」のニラレバ炒め定食(650円)で、連続5日目となる休肝日である。こんなにも連続で飲まなかったことなんて、今までにあったっけ? 記憶にないなあ。


■3月5日(水)

和風ハンバーグ よーし。そろそろ飲んでみるか。「はまや食堂」で、『大衆食堂のフルコース』である。

 大瓶ビール(枝豆付きキリンラガー、480円)を注文して、『特別定食(980円)をオール(3品から2品を選ぶ副菜を、すべてもらうこと、今日はプラス180円)で、ごはんは小(マイナス20円)で後から』と注文。

 今日の特別定食の主菜は和風ハンバーグ。副菜は小松菜おひたし、ブロッコリー、酢のものの3品である。

 奥歯の歯ぐきはやや痛いものの、もう大丈夫。おいしく食べることができる。

 燗酒小(280円)ももらって、今日のお勘定は1,900円。久しぶりのビールと燗酒がおいしかったなあ。デザートはイチゴだった。

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小松菜おひたし / ブロッコリー / 酢のもの


■3月6日(木)

サバ塩焼き よしっ。一夜明けても大丈夫だ。もうほとんど痛くない。

 そんなわけで、今日も「はまや食堂」で大瓶ビール(480円)をもらって、『大衆食堂のフルコース』にする。

 今日の特別定食の主菜はサバの塩焼き。副菜はグリーンアスパラ、小松菜おひたし、大根煮付けの3品から、グリーンアスパラと大根煮付けを選択。ごはんは小で後からである。

 昨夜は、「大丈夫かなあ?」と、ドキドキしながらいただいたけれど、今日は「もう大丈夫」という安心感があって、飲んでても楽しい。普通の生活が送れることのありがたさが改めて心にしみた。

 燗酒小を追加して、小ライスセットで〆。デザートはバナナ。今日のお勘定は1,720円でした。

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大根煮付け / グリーンアスパラ / 小ライスセット


■3月7日(金)

土鍋うどん 「呑んで治そう!」と気合いを入れた2月27日に立ち返って、今夜は再度、土鍋うどん(680円)で酒を飲んで、『ほぼ完治』を祝うことにする。

 とはいうものの、まずはやっぱり大瓶ビール(480円)に冷やっこ(130円)と、じゃが煮付け(200円)。

 そして土鍋うどん(680円)を注文しておいて、燗酒大(500円)をもらう。

 なんと! 今日の土鍋うどんの麺は、稲庭うどんだった。これはうれしい。

 土鍋うどんは、きのこの天ぷらなども含んで、野菜天ぷらがたっぷりと入ってるのがいいんだね。少し甘めの汁の中に、ひたひたと浸かった揚げたて天ぷらが、実にいい酒の肴になる。

 その土鍋うどんも食べ切って、今夜のお勘定は1,960円。「超」が付くほど満腹なり!

 身体の中では、ほんの一部分にすぎない奥歯の根っこ(歯ぐきの中)に、ここまで苦しめられるとは思わなかった。健康って、本当に大事なんですね。

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ビールと枝豆 / 冷やっこ / じゃが煮付け

店情報前回

《平成26(2014)年3月7日(金)の記録》

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早めの夕方のにぎわい … 「森田食堂(もりたしょくどう)」(呉)

月刊「くれえばん」より


 呉での仕事を終えて、横浜に向かう前に、駅前の「森田食堂」でちょいと一献。

 「森田食堂」の創業は大正2(1913)年。今年で創業101年となる、呉を代表する老舗の1軒です。

 おぉ~っ、早めの夕方なのに、すでに店内は大勢の常連さんたちでにぎわってますねえ。

 みなさん、歳のころなら70前後か。

 帰りのサラリーマンたちで混みあう前に、ゆっくりと「森田食堂」でくつろごう、ってことなんでしょうね。

「やあ。久しぶりですねえ。今日は呉でお仕事ですか」

 そのうちの、ひとりの常連さんから声がかかります。この店に来ると、よく一緒になったので、まだ覚えてくれている様子。こういうのがうれしいんですよねえ。

 すぐに女将さんも、「いらっしゃいませ。ビールでいいの? アサヒ? キリン?」と笑顔を見せてくれます。

「アサヒをお願いします」

 と注文しながら、入口から冷蔵陳列棚に直行して、この店の名物のひとつ、小イワシの生姜煮しょうがに(300円)を取ってきます。

 さあ来ました大瓶ビール(510円)。

 スパンッ!

 客の目の前で景気のいい音を立てて、ビールの栓を抜いてくれるのが森田食堂流。この音が聞きたくて、ここに来ると必ず大瓶ビールから飲み始めてるような気がしますねえ。

「小イワシは温めましょうね」

 と小鉢ごと電子レンジで温め直して出してくれます。

 刺身や天ぷらで食べる小イワシも美味しいけれど、生姜煮だって負けてない。小イワシはすぐに鮮度が落ちるので、とれて間もない新鮮なうちに、さっと煮てしまうのがいいんでしょうね。

 転勤で呉に来たごろ(2010年春)、大衆酒場を探し出すことができなかった。

「呉の人たちは、会社帰りにどこで飲むの?」と会社の同僚に聞いてみると、

「車で来とる人が多いけえ、会社帰りにはあんまり飲まんのお。だいたいの人は家に帰ってから飲むんじゃなあか。呉駅から電車で帰る人らは、『森田食堂』や『くわだ食堂』なんかの食堂で飲みよるみたいなで」

 と教えてもらって、「森田食堂」や「くわだ食堂」にやって来るようになったのでした。

 この2軒に、駅からは離れていますが、「寿食堂」を加えた3軒が、大衆酒場の代わりになる、呉の三大・大衆食堂です。

 首都圏の場合は、人口が多いので専業の『大衆酒場』というのも成り立つんだろうと思いますが、地方だとなかなか専業ではやっていけない。だから大衆食堂が、『大衆酒場』の役目も果たすんですね。

 ビールを飲み終えたところで、燗酒(白牡丹、300円)をもらって、つまみは陳列棚から、サヨリ刺身(500円)をとってきます。

 サヨリは春を告げる魚のひとつ。3月から5月ごろが旬です。

 こういう小魚がおいしいんですよねえ、瀬戸内海は。濃厚な旨みがたまらない。

 そしてグイッと燗酒です。

 ここの燗酒は、コップに注いでくれるので、文字どおり『グイッ』と飲むことができるんですね。

 「白牡丹」の創業は、江戸時代前半の延宝3(1675)年。第4代将軍・徳川家綱のときのこと。創業339年の、広島のお酒の中で、もっとも古い歴史を持つ超老舗です。

 そしてこのお酒は、広島を代表する甘口のお酒でもあります。

 これを熱めの燗でいただくと、瀬戸の魚にぴたりと合うのがいいねえ!

 店内の常連さんたちは、みなさん、人世のベテランだけあって、おいしそうに、楽しそうに酒を飲んでいるのがすばらしい。本当に幸せそうなひと時です。

 最後は、この店ならではのイリコ出汁の中華そば(400円)か、細うどん(300円)で〆て帰ろうと思っていたのですが、この常連さんたちに混ざって、もうちょっとお酒を飲んで帰りたい。

 そこでもう1杯、燗酒(300円)をいただいて、つまみは陳列棚から、大根、きゅうり、にんじん、イリコなどが入った、なます(200円)を持ってきます。このなますも、「森田食堂」定番の一品ですね。

「もう1日、呉に泊まっていけば!(笑)」

 と引き留めてくれる常連さんたちにごあいさつをして、席を立ちます。

 端数を切り捨ててくれて、今日のお勘定は2,000円。後ろ髪を引かれる思いで、「森田食堂」を後にしたのでした。

 行きたいお店はたくさんあるのに、3日間では、そのほんの一部にしか行くことができませんでした。また来なきゃね。

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小イワシ煮付け、大瓶ビール / サヨリ刺身、燗酒 / なます

店情報前回

《平成26(2014)年2月24日(月)の記録》

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がっつりと朝チャージ … 「くわだ食堂」(呉)

今日の朝食


 呉での日々はあっという間に過ぎて、もう三日めの月曜日。

 今日は呉市内(一昨年までの職場)で、朝から仕事なので、いつもの平日と同じように6時ごろ起床。この仕事のための出張なので、遅れるわけにはいきませんもんね。

 身支度を済ませたらチェックアウトして、呉駅近くの「くわだ食堂」へと向かいます。

 今回泊まったホテルにも、有料で朝食が付いているのですが、どうせお金を払うのであれば、「くわだ食堂」で食べるほうがいい。そう思って、ホテルは『素泊まり』として、「くわだ食堂」にやってきたのでした。

 「くわだ食堂」は定休日の日曜・祝日以外は、朝6時から、中休みなしで夜8時までの営業。

 さらに言えば、「朝6時から」というのは公称で、実際には毎日5時半ごろに朝食を食べにくる常連さんがいるというから驚きます。

 今朝の「くわだ食堂」は、若店主夫妻がお二人で切り盛り中。若店主の奥さんが、店主の娘で、若店主は娘婿むすめむこ。勤めていた会社を何年か前に辞めて、本格的に「くわだ食堂」の経営を手伝うようになったのでした。

 ここ「くわだ食堂」は、戦後すぐの創業。呉の老舗食堂の多くがそうであるように、ここも冷蔵陳列ケースに並んだおかずの中から、自分の好きなものを選んで取ってきて、それにごはんとみそ汁を付けて、独自の定食を組み立てるタイプの大衆食堂です。

 今朝は目玉焼きサラダ(200円)と、ぬか漬け(100円)を取ってきて、それに小ごはん(140円)と、冬場だけメニューに加わる豚汁(290円)を注文します。

 目玉焼きサラダは、キャベツの千切りの上に、ポテトサラダ、ハム、そして目玉焼き(玉子1個分)が盛り合わされた、呑兵衛好みの一品。

 ぬか漬けは自家製で、なす、きゅうり、白菜の盛り合わせです。ぬか床に、生ビールがちょっと入っているのが、この店のぬか漬けのポイントですね。

 酒に合うものは、ごはんにも合う。

 だいたい、朝食のおかずになるものは、燗酒との相性も抜群です。

 納豆、豆腐、おから、玉子焼き、あじ開き、塩鮭、海苔、漬物、佃煮などもそうですね。

 豚汁は酒粕入りで、具には大根、にんじん、ごぼうといった根菜類がたっぷりと入っています。

 みそ汁が100円なのに対して、豚汁は290円と、ぐんと高級になりますが人気は高い。夜の部では、酒の肴として、この豚汁を注文する人も多いのです。

 夏場に出される、あさりの貝汁(180円)もいいんですよね。

 がっつりと朝のエネルギー・チャージを終えて、今日のお勘定は730円でした。どうもごちそうさま。

 さあ! 働くか!

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目玉焼きサラダ / 自家製ぬか漬け / 酒粕入りの豚汁

店情報前回

《平成26(2014)年2月24日(月)の記録》

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呉に来たら『とり屋』 … 「鳥晃(とりこう)」(呉)

鳥晃


 呉に来たら、やっぱり『とり屋』にも行かなきゃね。

 『とり屋』というのは、焼き鳥屋なんだけど、地元でとれた活魚も食べられるというタイプの居酒屋さん。「鳥好」や「鳥八」、「三とり」など、店名に『鳥』や『とり』の字が付いている店が多いので、総称して『とり屋』と呼ばれるようになったのでした。

 地元に根付いた居酒屋なので、『地元の人たちが好む料理がそろってる』というのがいいところなんですね。

 呉で何人かで一緒に飲むときの定番は、『とり屋』で飲んで食べて、2軒目に『スタンド』と呼ばれる小ぶりのスナックで、店のおねえさんと話したり歌ったりしたあと、最後に堺川沿いの『屋台』で締めるというハシゴ酒コース。

 ある年齢以上の呉の呑兵衛たちはみんな、それぞれがいきつけとしている『とり屋』、『スタンド』、『屋台』があって、そこに飲み仲間を連れて行くんですね。

 今宵は「オオムラ亜」で生ビールを3~4杯ほどやっつけたあと、その「オオムラ亜」の店主・亜矢さん、スタッフのノンちゃん、大常連のO先生、「月刊くれえばん」の木戸編集長と私の5人で、「オオムラ亜」からもほど近い『とり屋』の1軒、「鳥晃」にやってきました。

 店内はカウンター席、テーブル席、そして小上がりの座敷とそろっていて、一人客でもグループ客でも大丈夫。ほとんどの『とり屋』がそういう造りになっています。

 奥の小上がりの1卓を5人で囲み、「酔心」の燗酒を飲みながら、『とり屋』らしい品々を注文します。

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しゃこ
レモンの輪切りと比べてください。大きいでしょう! プリッと肉厚のシャコが燗酒とよく合います。
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あじ刺身
生け簀で泳いでいる地もののアジを、注文を受けてからさばいてくれます。ごく普通のアジやサバが、呉のは、ものすごくおいしいんですよ!
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ささみ天ぷら
これも呉の『とり屋』の定番の品。ものすごく好きなんだけど、なぜか他所では見かけないんですよねえ。横須賀の「鳥好」にもあります。
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小いか煮
瀬戸内海の海の幸は、「小」が付くものがうまい。小イワシしかり、小エビしかり。この小イカもそうですね。小イカの正式名称がなんていうのかは知りませんが、あれば必ず食べたい一品です。
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串かつ
『とり屋』の串カツは、焼き鳥のネギマ串に衣をつけてカツにしたもの。ウスターソースをたっぷりとかけていただきます。ネギマ串を天ぷらにしてくれる店もありますよ。
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たちうお
呉近海では太刀魚たちうおもまたよくとれる。プックリと肉厚の太刀魚は、あまり手をかけずに塩焼きにするのがベストですね。燗酒が進みます。
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かき天ぷら
広島の牡蠣かきは、広島湾の海水温が1年中で最も低い2月が一番おいしい。天ぷらにできるのは新鮮な牡蠣ならでは。長いこと塩水に浸けたような水っぽい牡蠣だと、弾けてしまって天ぷらにはなりません。
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小ふぐ唐揚
これもまた「小」が付いてますねえ。だからやっぱりうまいです。身がプリッと引きしまってるのがいいんですね。紅葉おろしを入れたポン酢醤油でいただきます。
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くらげ酢
さっぱりとしたものが食べたい。「ナマコ酢はないの?」と聞いてみたんだけど、今日はなし。代わりにもらったのがこのクラゲ酢でした。これもいいねえ。
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スープ豆腐
さあそして、これまた『とり屋』の名物料理のひとつ、スープ豆腐です。鶏ガラからとったスープで作る湯豆腐は、汁までうまいっ! つまみにも、〆にもなる一品です。
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潮汁うしおじる
呉の『とり屋』で飲んでると、よくサービスで出されるのが潮汁。魚介類はどんどん注文が入るので、アラもたくさんとれます。そのアラがある程度たまったところで潮汁を作って、みんなに出してくれるんですね。

 たっぷりと2時間ほどのちょっと楽しんで、お勘定は、知らない間にO先生が支払ってくれてました。どうもありがとうございます。

店情報

《平成26(2014)年2月23日(日)の記録》

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店情報: 「鳥晃(とりこう)」(呉)

    鳥晃
  • 店名: 鳥晃
  • 電話: 0823-25-4926
  • 住所: 737-0046 広島県呉市中通4-1-20
  • 営業: 11:30-23:30、水休
  • 場所: 呉れんが通りを北上し(=山側に進み)、左手のローソンを左折した先、右手。
  • メモ: ある日の「本日のおすすめ」(ホワイトボードの手書きメニュー): 小フグ唐、鶏タタキ、ホタテ串焼、ガンス、小エビ、ウインナー、ウナギ、カニ酢、明太子、鶏のさっぱり煮、小イカ煮、カレイ煮、枝豆、タチウオ、カキフライ・天、酢ガキ、塩サバ、豚巻もち。そのほか、とり屋の定番メニューがそろっている。(2014年2月調べ)

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カエリを肴に生ビール … ビヤハウス「オオムラ亜(おおむら・あ)」(呉)

カエリ


 呉に来て二日目の今日も、夜はやっぱり「オオムラ亜」の生ビール(500円)から。

 そしてつまみはカエリ(300円)です。

 カエリというのは、カタクチイワシの小さいもののこと。

 カタクチイワシは成長するにつれて、その大きさによって、チリメン→カエリ→イリコと呼ばれるようになります。

 チリメンは、すごく小さいので、ごはんや豆腐、大根おろしなどにのせて、一緒に食べることが多い。イリコは出汁だしとして使われることが多い。

 その両者のちょうど中間的な大きさのカエリは、そのまま、あるいは佃煮などにして食べるのにぴったり。とてもいいつまみになるのです。

 イリコよりも大きく育って成魚になると、脂がのり過ぎていて出汁にも向かず、昔は捨てるしかなかったんだそうです。

 成魚といってもカタクチイワシのこと。10センチそこそこの大きさしかありません。

 これをなんとか捨てずに食べることができないかと考えだされたのが、小イワシの刺身、小イワシの天ぷらなんですね。

 『100回洗えば鯛の味』なんて言われていたのも、その脂ののりからだと思います。

 マグロも、昔はトロの部分は捨てられてたなんて言いますが、イワシも同じようなもんだったんですね。

 脂っこい料理が多いし、好まれもする現代では、小イワシの刺身や天ぷらは、むしろ美味。洗ったりせずに、脂っこいままいただくのほうが良かったりします。

 昨夜は「オオムラ亜」おでん「魚菜や」バー「アンカー」、そして屋台「一二三」と、4軒の呉酒場をハシゴして、呉駅近くのホテルに戻ったのは午前1時ごろ。

 それから朝8時ごろまでゆっくりと眠り、朝食は、呉駅の1階にある立ち食いうどん屋、「味庵あじあん」の天ぷらうどん定食(520円)です。

 天ぷらうどん定食というのは、天ぷらうどん(単品360円)に、いなり寿司2個(単品190円)が付いたセットメニュー。単品で注文するよりもちょっと安くなるのがうれしいですね。

 呉のうどんは、イリコでとった出汁に、冷麦よりちょっと太い程度の「ほそうどん」という茹で麺が使われているのが大きな特徴です。ゆで時間が短くて、出汁がよく絡みます。

 いなり寿司は、三角のお揚げに、具だくさんのちらし寿司をつめたもの。

 うどんと寿司は、私が知る限り、広島や松山では定番の組み合わせ。寿司はいなり寿司だったり、巻き寿司だったり、ちらし寿司だったり。これがよく合うんだなあ。

 昼食は、いまだにお世話になっている、独身寮時代の寮長さんと会食。呉の牡蠣や、広島の牛肉でいただく呉のお酒(雨後の月)がおいしいこと!

 ホテルに戻って、酔い覚ましの昼寝。幸せな日曜日の午後です。

 そして夕方。満を持して「オオムラ亜」にやってきたのでした。

 右どなりに座っているのは、「オオムラ」時代からのこの店の大常連でもあるO先生。左どなりは「月刊くれえばん」の木戸編集長という、ものすごい面々に挟まれて、グッと1杯、思わず2杯では止まらず、3杯、4杯と生ビールが進む進む。

 さあ、今夜も繰り出すぞ!

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「味庵」天ぷらうどん定食 / 「オオムラ亜」 / 生ビール

店情報前回

《平成26(2014)年2月23日(日)の記録》

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大好きな隅っこの席で … 屋台「一二三(いちにいさん)」(呉)

豚足を作る女将さん


 バー「アンカー」でイチゴのカクテルをいただいたあと、再び屋台の「一二三」へ。

 今度は空いてました。しかも、大好きな隅っこの席が!

 この席の奥側が、ご主人の定位置なので、ここに座ると女将さんとも、ご主人とも、話をすることができるのです。

 「一二三」は、一昨年(2012年)の夏ごろからずっと休業されていて、同じ年の年末に、私が横浜に転勤することが決まったことについても、ご報告、ごあいさつすることができていなかったのです。

 その「一二三」が再開するという話を聞いたのは、昨年秋のこと。ぜひ伺わなければ、と思いながらも、なかなかその機会がなくて、今日になってしまったのでした。

 さっそく焼酎(いいちこ、400円)を水割りで注文し、つまみには、おでんの玉子(100円)と、じゃがいも(100円)を取ってもらいます。

 呉の屋台の大きな特徴は、上下水道や電気が完備されていて、屋台なのに普通の店舗並みに清潔なこと。呉の屋台は、呉市が管理しているのです。

 呉市が、屋台用の上下水道や電源の設置工事が行ったのは、今から27年ほど前(1987年頃)のこと。そのときの応募条件が、中華そば、おでん、豚足が必ずメニューに載っていることと、それらの値段を屋台の外にも明示することだったんだそうです。

 だから今でも「一二三」をはじめとする、呉の老舗屋台に共通するつまみは、中華そば、おでん、そして豚足の3種類なんですね。

 さらに食品の取扱いに関する注意事項として、2つの規定があります。

 1つめは、『提供する食品は,提供の直前に加熱調理する(焼く,煮る,炒める,揚げる,蒸す等)ものとする』ということ。そしてもう1つは『下処理,調理,盛り付け,食器洗浄等の作業は,屋台内で行う』ということです。

 このために、ごはんなどの、作って置いておく食品は提供できないんですね。このルールは、いまも有効です。

 屋台の営業時間に関する規定もあります。『設置・撤去も含めて、午後4時半から、翌日の午前5時までとする』というもの。このため、朝になると、まるで何もなかったかのように、きれいさっぱりといつもの道路に戻っているのでした。

 上下水道等の整備当時には20軒ほどあった屋台ですが、『現営業者一代限り』というルールだったために、減っていく一方。途中で『一等親間の権利譲渡を認める』と緩和されたものの、状況が著しく好転することはなくて、2000年ごろには8軒まで減少。

 2002年に新たな公募が行われ、合計15軒まで増加しました。

 このときの公募条件には、『提供食品、屋台デザイン等、特色ある屋台づくりに努める』という項目が加えられたため、イタリアンや、お好み焼き、焼き鳥などといった、それぞれ個性的な屋台が登場したのでした。

 私のとなりに座っている、この店の常連で、かつ会社の先輩でもあるTさんは、メザシ(9尾450円)を注文。これもまた、「一二三」の名物のひとつなんですよね。さっと炙って出してくれるものを、私にも分けてくれました。久しぶりに来たのに、すみません。ありがとうございます。

 「一二三」のメニューは、おでん(各種100円、きんちゃく150円)、ホルモン(炒め750円)、豚足(1足600円)、豚耳(1耳600円)、メザシ(9尾450円)、ナスビ(塩もみ350円)、中華そば(500円)、ビール(中瓶550円)、焼酎(いいちこ400円)、酒一級(白牡丹400円)と少数精鋭。でもこれだけで、場合によっては何時間も飲めちゃうんですねえ。

 私自身も、久しぶりの「一二三」なので、豚足も中華そばも、どっちも食べたいんだけど、さすがにハシゴ酒の4軒めなので、今は食べられそうにない。

 幸い、明日は日曜日で、特になんの予定もないので、だらだらと飲みながら、そのうちにお腹が空いてきたら、半ラーメンでも食べて〆にしようかな。

 そんなことを思いながら、焼酎の水割り(400円)をおかわりして、おでんも、ごぼう天(100円)と厚揚げ(100円)をもらいます。

 ここの焼酎の水割りは、とにかく濃い。ほとんどが焼酎で、グラスの上のほうに、ちょろっと水が入る程度。ほとんどロックです。ご主人みずからが焼酎が好きで、「これくらい濃くないと美味しくない」というのが持論なのです。我われ呑兵衛にとっては嬉しい限りですね。

 そうこうしているうちに、ちょうど日付けが変わるころ、10人ほどの若い男女が屋台に入ってきて、それはもう、あちこちから飲み物はたのむは、おでんはたのむは、ラーメンはたのむはと、その注文の仕方がとにかくバラバラで、あっちやこっちやから同時に声が上がる。さらには「私もやっぱりおでんはやめて、ラーメン!」と注文は切り替えるはで、屋台の中は、もう大騒ぎの状態。

「よっしゃ、よっしゃ。ちょっと待ってよ。いま確認するけえの」

 それでも笑顔を絶やさず応対する女将さん。これだけ満員になると、このまま居座るのも悪いので、半ラーメンはあきらめて、私はボチボチと退散することにします。

 お勘定は1,200円。近いうちに、必ずまた来ますね! これからもお元気で。

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「一二三」 / じゃがいも、玉子、焼酎 / ごぼう天、厚揚げ、焼酎

店情報前回

《平成26(2014)年2月22日(土)の記録》

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イチゴのジントニック … バー「アンカー(BAR ANCHOR)」(呉)

イチゴのジントニック


 「魚菜や」を出たところで午後8時前。

 呉に来たら行きたい店はたくさんあるんだけれど、すっかり酔ってしまわないうちに、屋台の「一二三」に行っておかないと。

 「魚菜や」と「一二三」とは、徒歩2~3分の距離。

 ありゃりゃ。その「一二三」は、外から見てもわかるほど満席です。

 ビニールシートを分けて、「こんばんは」と屋台の中をのぞきこむと、

「おぉ~っ、びっくりしたのぉ。元気じゃったんか?」

 と満面の笑みで迎えてくれる女将さんとご主人。あぁ、お元気そうで安心した。

 この笑顔が見られただけで、呉に来てよかった。

「いっぱいみたいなんで、ひと回りして、また来ますね」

「そうしてくれるか。すまんの。ありがとのぉ」

 ということで、先にもう1軒。

 「一二三」と言えば、バー「アンカー」。「アンカー」に行ってみましょう。

 なぜ「一二三」言えばなのかというと、「アンカー」のオーナーバーテンダー・森貞さんは、「一二三」の大ファン。

 「アンカー」を開店する前に、東広島のバーで店長をやっているときも、店が終わると、わざわざ「一二三」までラーメンを食べに来ていたほどなのです。

 私が呉にいるときも、「一二三」が臨時休業したりするときの情報は、ほぼ森貞さんから教えてもらってました。

 やぁ、「アンカー」も相変わらず盛況ですねえ。

 街のはずれの、小さなビルの2階にあるバー「アンカー」。立地条件は決して良くはないんだけど、バーという業態だと、少し立地条件が悪いぐらいのほうが、隠れ家風になっていいのかもしれません。いつも行っても、何人かのお客さんが入っています。

 久しぶりのごあいさつをしたあと、まずは今月のウイスキーの「エドラダワ10年」を水割りでいただきます。

 今月のウイスキーは、ウイスキーの1本を、サービス品として、ひとり1ショット分だけ500円で出してくれるもの。その1本がなくなると、次のウイスキーに代わります。

 今日いただいた「エドラダワ10年」は、通常は1ショット850円の品なので、40%以上の値引きということですね。

 呉にいるときも、いつもこの今月のウイスキーをいただいていたものでした。

 この制度があるから、あまり馴染みのないウイスキーも試してみることができる。この制度がなかったら、自分が知ってる銘柄しか注文しませんもんね。とてもありあがたい取り組みだと思います。

 「エドラダワ」は、スコットランドでも最小の蒸留所。少人数で、少量生産で造られているスコッチウイスキーなんですね。

 そのウイスキーと一緒に出されるチャーム(お通し、チャージと合わせて500円)は、ディップ&クラッカーです。

 カウンター奥のお客さんが、生ハムを注文したタイミングで、私も同じく生ハム(ハモンイベリコ、1,000円)をもらいます。

 ここは、料理もおいしいんですよねえ。

 続いては、これまたこの店の名物である、『季節のフルーツカクテル』(1,000円)をもらいます。

 今の時季のフルーツはイチゴ。

 ジンを使って、イチゴのジントニックにするか。あるいはラムを使って、イチゴのダイキリにするか。二つのカクテルが選べるところを、ジンでお願いします。

 目の前でイチゴをカットするところから作ってくれるのがうれしい。

 イチゴのカクテルを飲み干して、1時間半ほどの酒場浴。今日のお勘定は3,000円でした。どうもごちそうさま。

 さあて、そろそろ「一二三」も空いたかな。

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ビルの2階に / 「BAR ANCHOR」 / EDRADOUR 10年

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チャーム / ハモンイベリコ / 生のイチゴでフルーツカクテル

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《平成26(2014)年2月22日(土)の記録》

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名物の貝汁をつまみに … おでん「魚菜や(ぎょさいや)」(呉)

名物の貝汁


 おぉ~っ、今日は貝汁かいじるがある。

 これは絶対にいただかないとなあ。

 「魚菜や」は、もとは呉の屋台街の1軒として開店。現在の女将さんが、創業店主です。

 その後、店舗を構えたときに「魚菜や」という名前になり、2回ほどの引っ越しを経て、現在の場所に定着しました。

 近くでとれるアサリをたっぷりと使った貝汁は、その「魚菜や」の、昔からの名物料理。

 「魚菜や」という名前を聞くと、今でも「あぁ。あの貝汁のお店でしょう?」という人も多いほどです。

 ところが今は、女将さんのお眼鏡にかなうアサリが、なかなか手に入らないんだそうです。

 だから貝汁も、いいアサリが手に入ったときだけに登場する、スペシャルメニューとなってしまったのでした。

 久しぶりに呉に来て、「オオムラ亜」の生ビールでのどを潤したあと、2軒めとしてやってきたのは「魚菜や」です。

 「魚菜や」は午後5時開店なので、たった今、開店したばかり。私が第1号のお客となりました。

 女将ひとりで切り盛りする「魚菜や」。看板には、『おでん 魚菜や』とあるんだけど、実際にはおでんだけじゃなくて、おふくろの味といった感じのお惣菜もそろった、小料理屋のようなお店でもあります。

 日本酒は、呉の地酒5種類。仁方にがたの「雨後の月 櫂歌ふなうた 特別本醸造」、同じく仁方の「宝剣ほうけん 限定超辛口 純米酒」、安浦の「白鴻はくこう 特別本醸造酒」、音戸の「生もと華鳩はなはと 純米」、そして呉市本通の「千福せんぷく 特選黒松」というラインナップ。

 最初は「宝剣」を冷酒でいただくと、今日のお通しは小鉢の白和えです。

 この店のお品書きには値段は書かれていませんが、普通のサラリーマンがびっくりしない程度の値段。

 たとえば今日は、イカ刺身、タコ刺身、小イワシ天ぷら、タコ天ぷら、ふきのとう天ぷら、まいたけ天ぷら、れんこん天ぷら、カキフライ、ぎんなん、菜の花のからし和え、鯛のあら煮、煮さば、鶏の唐揚げ、わけぎぬた、ふきの煮物、貝汁といったお惣菜が並んでいます。

 小イワシ天ぷらや、タコ天ぷらは、瀬戸内海沿岸の町々では当たり前の料理なのですが、よそに出ると、あまり見かけないんですよねえ。鯛のあら煮や、煮さばにも引かれるなあ。

 呉のアジやサバは、丸々と太っていて、おいしいのです。

 チビチビと飲んでいると、呉市民が必ず(!?)読んでる月刊タウン情報誌、「くれえばん」の木戸編集長も、高校時代の同窓会に向かう前に立ち寄ってくれて乾杯です。

 ここ「魚菜や」のことを紹介してくれたのが木戸編集長。その木戸編集長と初めてお会いしたのも、ここ「魚菜や」だったのです。(そのときのブログ記事は→こちら

 木戸編集長が同窓会に向かわれたところで、「宝剣」も飲み切って、次なるお酒として、「白鴻」を燗酒でいただきます。

 つまみは、看板メニューの「おでん」にしようかな。

 おでんの具材は、牛すじ、がんす、がんもどき、ロールキャベツ、大根、じゃが芋、こんにゃく、厚あげ、こんぶ、玉子、ごぼう天、きんちゃく、ウィンナー、はんぺんなど。

 二つ並んだおでん鍋は、ひとつは関西風の透明な汁。もうひとつは関東風の濃い汁です。こして2種類の汁が用意されているのも、この店の大きな特長です。

 呉ならではの「がんす」と、東京の「はんぺん」が、同じ鍋の中に同居してるのも面白いですね。

 そんな中から今日は、牛すじ、がんす、しいたけをもらいます。

 ここ「魚菜や」。私が呉にいるころは、土・日・祝日が定休日で、平日の5時から10時という営業時間でした。ところが、去年(2013年)の4月から、日・月が定休日で、それ以外の曜日は4時から9時半の営業になったのです。

 だから、今日のように土曜日でも、ここで飲めるようになったんですね。

 午後4時に開店しているというのは、まだあまり浸透していないらしく、早めにやってくる人は(今は)少ないそうです。早い時間帯、ねらい目ですよ!

 「白鴻」に続いては、「千福」の燗酒を注文して、いよいよ貝汁です。

 大きなお椀にたっぷりの貝汁は、アサリもたっぷり。アサリも、汁も、それぞれがとてもいいつまみになります。

 あぁ~あ、うまいっ。貝汁もうまい、日本酒もうまい。

 ゆっくりと3時間弱の酒場浴。今日のお勘定は3,000円でした。どうもごちそうさま。

 店を出る間際に、スナック「Aki」のアキさんもいらっしゃって、お久しぶりのごあいさつができたのも良かったなあ。

 さあ! 今夜は、まだまだ飲むぞ!

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おでん「魚菜や」 / 白和えと宝剣 / 牛すじ、がんす、しいたけ

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錫(すず)のチロリで燗酒 / 店内の様子 / 店を出ると夜だった

店情報前回

《平成26(2014)年2月22日(土)の記録》

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8ヶ月ぶりに呉で飲む … ビヤハウス「オオムラ亜(おおむら・あ)」(呉)

生ビール


 グッと一杯! 思わず二杯!!

 久しぶりに来た「オオムラ亜」の生ビール(500円)がうまいっ!

 去年(2014年)の1月に横浜に転勤して以来、はや14ヶ月。やっと2度目の呉訪問です。

 前回来たのが、去年の6月末のことだから、8ヶ月ぶりですねえ。

 それでも何も変わらないのがうれしい。

 店に入るなり、あっという間に、呉にいたころと同じ気分に戻れます。

 つまみには、のりチーズ(200円)と、ポールウインナー(200円)をもらいます。

 ポールウインナーは、伊藤ハム製の畜肉(豚肉、マトン、牛肉)ソーセージ。西日本エリアでは当たり前の商品なんだけど、首都圏ではほとんど見かけません。

 おいしいんだけどなあ。

 魚肉ソーセージと比べると値段が高いので、首都圏ではあまり売れないんでしょうか。

 横浜から呉に向かうときは、新横浜駅の在来線ホームにある、立ち食いそばの「濱そば」で、かき揚げ天玉そば(440円)を食べてから、新幹線に乗り込むのが定番。

 「濱そば」のつゆもそうですが、首都圏の立ち食いそばの汁は、砂糖と醤油で甘辛い味付けになっていることが多い。

 すき焼きの割り下と似た感じの味付けなんですね。

 だから生卵によく合う。

 黄身をプツンとつついて、とろりと流れ出たところに、そばをからめながら食べるのがいいんですね。

 新幹線の中では、パソコンをつついたり、うとうと寝たりしながら過ごしながら、新神戸を過ぎたあたりで、新横浜駅で買い込んできた崎陽軒の「横濱チャーハン」(580円)をいただきます。

 ビールは飲みません。『今日の1杯めのビールは、呉に着いてから、「オオムラ亜」で飲む!』と決めているからです。

 新幹線も、JR西日本エリア(山陽新幹線)に入ると、通信がブツブツと途切れて、パソコンを使う作業は難しい。社内のラジオ放送も、感度が悪くなって聞きにくい。

 なので、このエリアに入ると、パソコン作業をするのはやめて、お弁当を食べたり、本を読んだりしながら過ごすことにしてるのでした。

 いつまでたっても、ちっとも改善されないのが残念ですねえ。

 広島駅で、呉線に乗り換えるついでに、在来線1番ホームの「駅うどん」で、天ぷらうどん(340円)を食べるのも定番のコースながら、「オオムラ亜」での1杯めのビールをよりおいしく飲むために、今日はやめておきます。

 呉駅に到着したのは、午後3時過ぎ。駅前のホテルにチェックインして荷物を置き、すぐに「オオムラ亜」に出かけてきたのでした。

 っくぅ~っ。この生ビールがおいしいこと!

「ビール、おいしくなりましたよねえ。なにか変えた?」

「いいや。変わっとらんよ。私の腕が上がったんかねえ」

 と笑う店主の亜矢さん。店を手伝っているのんちゃんや、常連のお客さんたちと、まるで毎日、会っているかのようにワイワイと過ごし、午後5時になったところで席を立ちます。

 久しぶりの「オオムラ亜」。生ビールを3杯いただいて、今日のお勘定は1,900円でした。どうもごちそうさま。

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「濱そば」かき揚げ天玉そば / 横濱チャーハン / 広島駅の「駅うどん」

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「オオムラ亜」 / 生ビール / のりチーズとポールウインナー

店情報前回

《平成26(2014)年2月22日(土)の記録》

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混んでるときの注文法 … 「はまや食堂」(杉田)

ポテトサラダ


 おぉ~っ。今日の「はまや食堂」は人口密度が高い。

 1、2、3、…、なんと先客が9人。私も含めると10人になります。

 これまで1年2か月ほど通ってきた中で、おそらく最も多いですねえ。

 「はまや食堂」の店内は、入口を入ってすぐ右手に、壁際に向かうカウンター席が4席。その奥に4人卓。入口の左手側には、2人卓が3つ並んでいて、その奥に、お店用の備品置き場も兼ねた変形卓があって、ここにも2人座れます。

 これらをすべて足すと、16席になるのですが、席の間隔が狭かったり、カバンやコートなどを置く専用の場所がなかったりすることなどから、実際に使えるのは、右手カウンターが2~3人、右手奥テーブルも2~3人。左手の2人卓×3には4~5人、左手奥は2人といったところ。

 つまり、いま入っている人数(10人)ぐらいで、いっぱい、いっぱいなんですね。

 もうひとり、誰かが入ってきたら、もう座れる場所はなさそうです。

 通常はというと、5~6人ぐらいのことがほとんどで、たまに8人ぐらい入っていると「多いなあ」と感じます。こうして10人も入っていると、見るからにギッシリと詰まった圧迫感がありますね。

 注文が入った順に、一所懸命、料理を作ってくれるのですが、なにしろ調理はご主人ひとりが担当しているので、お客が多くなると、やっぱり時間がかかるんですね。

 こういう状況は、同じように料理を店主ひとりが作ってくれる、都立家政の「竹よし」でも発生します。いっぺんに大量の注文が入ると、どうしても料理の出が遅くなってしまう。

 これはもう、いたしかたないというか、最初から「そういう状況もありうるかな」という想定のもとに、その店に行っているので、私自身はあまり気になりません。

 こういう時の対応方法は、ただひとつ。

 あまり調理の必要がない料理も一緒に注文しておいて、それをつまみにゆっくりと飲みながら主たる料理のできあがりを待つ。

 「竹よし」の場合だと、イカ塩辛や、もずく酢なんかがそうですね。

 「はまや食堂」だと、ポテトサラダ(200円)やマカロニサラダ(200円)、冷やっこ(130円)に納豆(100円)、大根おろし(100円)などが、あまり調理の必要がない料理です。

 これらの品は、混んでるときでも、割りと速く出てきます。

「大瓶のビール(480円)とポテトサラダ(200円)。それとB定食(580円)を、ごはんは小(20円引き)で、あとからお願いします」

 これが今日の私の注文です。今日のB定食は、ハムエッグと納豆、海苔のり、そしてライスセットという組み合わせ。

 ハムエッグ以外は、あまり調理の手間がかからないので、今日のような状況でも、それほど遅くならないのではないかと考えての注文です。

 お通し(サービス)の枝豆でビールを飲んでいるところへ、ほとんど待つこともなくポテトサラダが出てきます。予想どおりですね。

 次は納豆と海苔かな。と思いながら飲んでいると、意外にもハムエッグが先にできてきました。

 おぉ~っ、これはうれしい。

 ポテトサラダとハムエッグは、お酒にも合うんだけど、ビールにはもっと合う。『できればビールのときに出てきてくれればいいなあ』と思っていたのでした。

 10人いるお客さんのうち、7~8人はお酒やビールを飲んでいる。そして今日は、ハムエッグ単品や、ハムエッグが付いたB定食の注文が多い様子。私以外のところにも、どんどんハムエッグが出ています。

 呑兵衛のんべえはみんな、ハムエッグは好きだもんね。だからハムエッグの出が速かったんですね。

 ハムエッグのトロトロの黄身に、ハムをからめていただきながらビール。箸で切り取った白身にも黄身をからめながらビール。そして下に敷かれたキャベツの千切りも、とろりと流れ出た濃厚な黄身をソースがわりにしていただきます。

 ビールがなくなったころで、燗酒の小(280円)を追加注文すると、納豆と海苔も出てきました。

 納豆と海苔には燗酒がぴったりです。

 食事だけの人は食べ終えるのも速くて、ひとり、またひとりとお勘定をして店を出ていきます。その代わりに新しいお客さんも入ってくるのですが、店内はいつもの5~6人という状態。このくらいがいちばん落ち着いているようで、とてもくつろげる時間が流れます。

 最後に小ライスセットを出してもらってしめ

 お客さんが多くて、いつもよりも料理の出に時間がかかった分、ゆっくりと2時間近くも酒場浴を楽しむことができました。

 今日のお勘定は1,520円。どうもごちそうさま。

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「はまや食堂」 / お通しの枝豆と大瓶ビール / ハムエッグ

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美酒「爛漫」燗酒(小) / 納豆 / 小ライスセットで〆

店情報前回

《平成26(2014)年2月19日(水)の記録》

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