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変わらないことが魅力 … 「武蔵屋(むさしや)」(桜木町)

「武蔵屋」の酒肴


 『変わらない』ということが「武蔵屋」の大きな魅力。

 席に座って1杯めのお酒(『櫻正宗』燗酒)をもらうとすぐに、玉ねぎの酢漬けと、おからが出され、追いかけるように客の顔を見てから作りはじめたたら豆腐が出されます。

 2杯めのお酒をもらうと、それに合わせて納豆が出る。

 お酒を入れた土瓶を直火じかびで燗づけ。低い位置からツツゥ~ッと注ぎ始めた土瓶を、高く持ち上げていって、最後にまた低い位置に戻ってきて、ピシャリと表面張力で注ぎ終る。

 3杯めのつまみは、お新香の盛り合わせ。

 この3杯かぎりでお酒は終了。だから『三杯屋さんばいや』とも呼ばれています。

 最後にお勘定するときに、「これは、おばちゃん(=女将)からです」と、お猪口に1杯の燗酒を出してくれるので、正確には『3.3杯屋』ってところでしょうか。

 冒頭で『変わらない』と書きましたが、実際は昔はおばちゃん(姉の喜久代さん)しか注がなかったお酒は、アミちゃんが手伝っていたころ(2001年頃)から、手伝っている人が注いでくれるようになったり、小さいおばちゃん(妹の富久子さん)が足を悪くされて店に出なくなって、店を手伝う若い人の数も増えたりと、いろいろと変わっているところはあるのです。でも店全体の雰囲気というか、空気感は変わらない。

 逆に、おばちゃんの腕が上がりにくくなったことや、小さいおばちゃんが店に立てなくなったことによって店の雰囲気や空気感が変わるのを防ぐために、手伝ってくれる人がお酒を注いでくれたり、手伝ってくれる人の数を増やしたりしてきたという感じでしょうか。

 おばちゃんは大正11(1922)年生まれの92歳。

「浜田さんがブラジルから帰ってくるまで、私もがんばらなきゃね(笑)」

 本当に。いつまでもお元気でいてくださいね。必ずまた来ますから。

 どうもごちそうさま。

「なるべく真っすぐにお帰りくださいね」

 おばちゃんのいつもの言葉に見送られながら、店をあとにしたのでした。

141203g 141203h 141203i
「武蔵屋」 / まず出される玉ネギ、おから / 2杯め用の肴は納豆

店情報前回

《平成26(2014)年12月3日(水)の記録》

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コメント

ご存じかもしれませんが、野毛の武蔵屋が今月末で閉店とのことです。本日付(7/22)の神奈川新聞に掲載されています。
http://www.kanaloco.jp/article/110567
31日が最終営業日とのことです。

投稿: すずき | 2015.07.22 12:10

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» 〔コラム〕「武蔵屋」のおばちゃん、95歳のお誕生日会 [居酒屋礼賛]
 野毛「武蔵屋」の「おばちゃん」こと、木村喜久代(きむら・きくよ)さんが、95歳のお誕生日を迎えられました。  今日は、「武蔵屋」の常連客でもあり、舞台で「野毛武蔵屋~三杯屋の奇跡~」も演じられた、女優・五大路子(ごだい・みちこ)さんが音頭を取ってくださって、かつての常連客のみなさんが集まり、横浜中華街でお祝いの会が開かれました。  当然のことながら、居酒屋探訪家・太田和彦さんも出席されています。... [続きを読む]

受信: 2017.07.30 22:07

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