たつみ横丁の中に移転 … おでん「かわすじ」(新広@呉市)
私が人生で初めて経験した大衆酒場、それが
このすぐ近くに、新入社員として入社した会社の独身寮があり、先輩に連れられて行ったのが始まりでした。
つまみはおでんしかなくて、飲みものも、ほとんどの人が
しかも、ほとんどの客がひとり客で、おでんを数本食べて、泡盛を2~3杯飲んだら、千円ぐらいのお勘定を払って、スッと帰っていく。
それまでの学生時代の酒場といえば、大勢で行って、飲んで騒ぐか、結論が出ない議論を繰り返すか。
たった一人で、こんなに静かに飲んで、こんなに静かに帰っていくところなんか見たことがない。
それはもう驚くとともに、「これが大人の世界なのか」と思ったものでした。
そんな「あわもり」が惜しまれながら閉店したのが、ちょうど私が2度目めに呉に赴任していた平成23(2011)年の3月末のこと。
そのとき、昭和28(1953)年創業の広の名店の火を消してはならじ、と立ち上がったのが、「あわもり」の常連でもあった、現「かわすじ」の
「あわもり」を居抜きのまま、メニューもそのまま継承し、閉店直後の4月から、「かわすじ」として再スタートを切ったのでした。
今日は、私自身、2年半ぶりとなる「かわすじ」です。
広交差点のすぐ近くにあった店は平成26(2014)年4月に閉め、同年7月から、その裏手の『たつみ横丁』の中で営業中。
いや実は私自身は、そんなことすら知らずに広に向かっていたわけですが、たまたま電車内で、「あわもり」「かわすじ」ともに常連の、会社の先輩に出会ったのでした。
「あんたあ、どこに行きよんな?」
「今日は『かわすじ』に行こうかと思って」
「『かわすじ』は、はあ、4月ごろに裏の路地に移転したで」
という話になったのでした。
その先輩も、今日は新しい「かわすじ」に一緒に行ってくれることになりました。急な話なのに、ありがとうございます。
新しい「かわすじ」の店内は、直線カウンター12席程度のみ。おでん用の鍋は前の店から持ってきたものが1台。バックバーにあたる壁がガラス張りになっていて、中庭が見えるのが風流です。
この空間を、女将さんひとりが切り盛りしています。
女将さんの話では、「あわもり」のときから比べると、「かわすじ」の客もだんだん減ってきて、以前の店舗の大きさを維持し続けるのはむずかしくなてきた。そこでこの新しい店舗に移ったとのこと。
おでんは1本が110円になっています。
まずは、瓶ビール(キリンラガー中瓶、440円)をもらって、おでんは、『かわ』、『きも』、『すじ』からスタート。『きも』は注文を受けてから鍋に入れるので、少し遅れて出されます。
「あわもり」時代は、鍋の中いっぱいにおでんが入っていて、ほとんどのものは注文と同時に、鍋から取ってくれました。注文を受けて鍋に入れられるのは、『ネギマ』と『玉ネギ』の2品だけ。
「かわすじ」の女将さんは、ごった煮状態のおでんは好きじゃないようで、なるべく注文を受けてから、具材を投入しようとしてくれます。
それなので、「あわもり」のおでんは、いろんな具材の味が入り混じったような味わいになり、「かわすじ」のほうは、より単品の味わいが際立つことになります。
どっちもいいところはあるんだけれど、「あわもり」の『ごった煮風おでん』のほうが、コクが強くて、より大衆酒場っぽいのかな。たのんだものがすぐに出てくるところも呑兵衛向きかも。屋台のおでんなんかも同じ感じ(=ごった煮風)ですよね。
続いては『鶏つくね』と『厚揚げ』。そして、注文してから鍋に入れられる『ねぎ』と『玉ねぎ』をもらいます。
ビールを飲み切ったところで、『泡盛』(220円)と氷をもらって、『みみ』(=豚耳)も追加。
『みみ』もまた、「あわもり」時代にはなくて、「かわすじ」になってから登場した品です。コリッとした軟骨の食感がいいですね。
『泡盛』をおかわりして『平天』。
そして最後に、『かわ』のやわらかいの(=よく煮込んであるもの)をもらって〆。
おでんが10本に、瓶ビールと泡盛2杯で、合計1,980円のところ、お勘定はまだこの店に残って飲んでいくという先輩が支払ってくれることになりました。どうもありがとうございます。ごちそうさんでした。
呉では、いろんな人にお世話になってばっかりだ。
瓶ビール(キリンラガー中瓶) / きも(牛肺) / 鶏つくね、あつあげ
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