
ブラジルに単身赴任して半年。肉食大国ブラジルで暮らしてみて、再認識したのが、日本のもつ焼きや焼き鳥の繊細さです。
肉の仕入れ、仕込み、焼き、味付け。すべてが実に繊細にできあがっている。
1本1本の量にしてもそうです。熱々の肉が冷めない間に食べるのにもちょうどよく、食べ飽きることもない。なにしろすべてが「ちょうどいい」んですね。
そんな繊細な料理を提供してくれるもつ焼き屋、焼き鳥屋の中にあって、ていねいな仕事っぷりで人気が高いのが、「すっぴん酒場」です。
店主の徳宿克治(とくしゅく・かつじ)さんは、都内の高級もつ焼き店で修業をしたあと、平成18(2006)年の年末に、奥様と二人でこの店をオープンしました。
修業先と同じ仕入先から仕入れ、朝から5時間ほどかけて、ていねいに仕込みをしたこの店のもつ焼き。修業先ならば2本で500円近くするものが、ここでは1本100円から楽しめるのです。
店は立ち飲みで、キャッシュ・オン・デリバリ(品物と交換払い)の支払い形式。
まずは黒ホッピー(450円)をもらって、この店ならではの、ショウガミョウガ(200円)とハラミナンコツ(100円)を1本ずつ注文。
お通し(100円)のお新香を、箸(はし)代わりの串2本でつつきながら待つうちに、もつ焼きが焼き上がってきます。
ここのもつ焼きは、丼鍋に敷かれたキャベツの上に置かれます。
ちなみに、このキャベツは食べ放題ではないので、食べずにずっと置いておいて、いよいよ帰るというときに食べて、口の中をリフレッシュさせるのがいいですね。
さて、もつ焼き。
ショウガミョウガは、紅生姜と茗荷(みょうが)を豚肉で巻いて焼いたもの。この店から始まって、他の店のメニューにも載るようになりました。
ハラミナンコツは、串の先のほうにハツの弁の部分や動脈の部分が、まん中に喉頭(のどがしら)をたたいた軟骨部分が、そして根元にハラミが刺されていて、食べるにつれて味わいや食感が変わるという、これぞまさにこの店の繊細さの真骨頂ともいえる逸品。
これが1本100円というんだから、うれしいではありませんか。
この2本で1杯めの黒ホッピーを飲み干して、中身(ホッピーの焼酎おかわり、250円)をもらって、レバ(100円)、シロ(100円)を1本ずつ、タレで注文します。
『バーテンダーの力量を見たければジンフィズを注文しろ』
という言葉をよく効きます。ジンフィズはジンとレモン、砂糖をシェイクしたものを、氷入りのタンブラーに入れて、ソーダ水を加え、ステアして仕上げるカクテル。この1杯を作るにあたって、バーテンダーのいろんな技が見られるから、そう言われるんでしょうね。
それと同じように、もつ焼き屋の力量は、レバとシロを食べてみるとわかりやすい。
レバは仕入れの鮮度を、シロは仕込みのていねいさと、焼きのうまさを見ることができるからです。
もちろん、ここ「すっぴん酒場」も含めて、名が通ってる人気もつ焼き店であれば、そんなことを試してみる必要はありません。必ず美味しいレバとシロを食べることができます。(だからこそ、人気を保ち続けているんですね。)
特にシロ! 表面のカリッとした食感のあとに、ジュワッとシロの旨みが広がって、マジでうまい。
さらに中身(250円)をおかわりし、今度はそのシロ(100円)を塩焼きでもらいます。
そして最後の〆はレンコン(150円)です。
レンコンというのは、ただのレンコンじゃなくて、レンコンの穴の中に、きっちりとツクネが詰まっています。
ツクネの種類が多いのもこの店の特徴です。普通のツクネに、おやじツクネ、たたきツクネ、チーズツクネ、ピーマン肉詰、そしてレンコンと、実に6種類がそろっています。
黒ホッピー外1中3に、串焼き6本で、1時間半ほどの立ち飲みタイム。キャッシュ・オン・デリバリーの支払総額は1,800円でした。どうもごちそうさま。

黒ホッピー、お通し / しょうがみょうが / ハラミナンコツ

れば(タレ) / しろ(塩) / れんこん
・店情報 (前回)
《平成26(2014)年12月20日(土)の記録》
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