よく焼いたチョイ焼き … もつやき「ホルモン」(沼袋)
東京オリンピックの年、昭和39(1964)年に創業したもつ焼きの老舗、通称「沼袋ホルモン」にやってきた。
この店はもともと、阿佐ヶ谷駅北口の「阿佐ヶ谷ホルモン」を起点とする、「ホルモン」グループの沼袋店として創業した。
現在の店主は、二代目の菊池正彦(きくち・まさひこ)さん。
菊池さんのお父さん(初代)は、「阿佐ヶ谷ホルモン」で修業をした後、「高円寺ホルモン」に移り、その後、昭和39年に開店した「沼袋ホルモン」の店長として運営を任されるようになった。
それから14年後の昭和53(1978)年に、「有限会社 もつ焼き ホルモン」として、「ホルモン」グループから独立し、今に至っている。
「阿佐ヶ谷ホルモン」は、平成になってすぐぐらいに閉店し、「高円寺ホルモン」も今はない。
練馬の「金ちゃん」や、今はなき鷺ノ宮の「鳥芳」も、「ホルモン」グループで修業し独立したもつ焼き店だ。
中央線沿線、西武線沿線のもつ焼き、やきとんブームは今に始まったわけではなくて、昔からこういった数々の名店が下地を作ってきてくれたから成り立っているんだろうな。
さて「沼袋ホルモン」。
平行に向いあったカウンター12席(6席×2列)の一角に腰を下ろし、まずは小瓶のビール(サッポロ黒ラベル、350円)とお新香(120円)、そしてタン、ナンコツ、カシラ(各120円)を1本ずつ、塩焼きでお願いする。
こうして平行カウンターの間に焼き台があるのも、「ホルモン」グループの特徴の一つだ。
焼き手(=たいていは店主)は、焼き台でモツを焼き、この平行カウンターの間を移動して、それぞれの客に焼きあがったもつ焼きを提供してくれるのである。
ビールを飲みきったところで焼酎(250円)をもらい、サントリー角瓶に入れられた梅風味の調味料をちょいと足して、梅割りにする。
次なる焼きものは、コブクロとレバの『ちょい焼き』(各130円)を注文。
かつては本当にちょっとだけ焼いて出してくれた一品だが、今はそうはいかない。
素焼きでしっかりと焼き上げて皿に盛り、刻みネギと、おろしショウガをたっぷりと添える。これに醤油(しょうゆ)をかけたら完成だ。
素焼きのモツを、たっぷりの刻みネギと一緒にショウガ醤油でいただくという、この味わいだけが、本当に『ちょい焼き』が出されていた時代の名残(なごり)だ。
しっかりと焼いてても、この味つけは合うね!
焼酎(250円)をおかわりし、続いてはタレ焼きを食べようと、ヒモ、ヒラ、テッポウという、「腸」三兄弟を注文する。ヒモが小腸、ヒラが大腸、テッポウが直腸。それぞれ食感が違うのがおもしろい。
「ホルモン」グループのタレは、醤油がよく効いているのが特徴なんだけど、ここ「沼袋ホルモン」は、当代になってから、タレの味を少し甘め(=醤油を控えめ)にした。
練馬「金ちゃん」のタレが昔ながらで、沼袋「ホルモン」のタレが今風。どっちの風味もそれぞれにいいところがあって面白いのだ。
1時間半ほどの酒場浴。今日のお勘定は1,950円でした。どうもごちそうさま。
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