おまかせ料理で超満腹 … ミルクワンタン「鳥藤(とりふじ)」(有楽町)
7年ぶりにやってきたのは、有楽町ガード下にあるミルクワンタンの「鳥藤」である。
入口の引き戸を開けて、「3人です」と声をかけると、フロア担当のおじさんから、「予約の方?」という声が返ってきた。
「いいえ。予約はしてないんですが…」
「じゃあ、奥のテーブルを使ってください。小上がりは予約が入ってるんです」
と言いながら、一番奥の2人用テーブルの横に補助イスをひとつ出してくれた。
店内は奥に向かって細長い造りで、入って右手にカウンター8席。左手壁際には2人用テーブルが3つ、店の奥に向かって並んでいる。右手奥が小上がりになっていて、ここに4人掛けの座卓が2つ。
合わせて22人が入れる計算になるが、こうして補助イスも使うと、さらにもうちょっと入る。
2人用のテーブルは、そもそもが2人用というには小さいサイズ。それを男3人で使うもんだから、とっても狭い。でもまあ、話が弾んでいいだろう。
「飲みものは、まずはビールをお願いします」
飲みたいお酒だけを注文すれば、料理は勝手に出されるのがこの店の仕組み。
だから店内にはメニューもない。
いや、正確に言うと、壁に1枚の、とても古びたメニューが張られているんだけれど、そこには、ミルクワンタン(700円)、焼飯(700円)、もつライス(700円)、焼飯半もつ(800円)の4品しか書かれていない。
これは以前、ランチ営業をしていたときのもののようだが、夜も注文できるようだ。その場合は、店に入ったらまずまっ先に「コースではなくて、ミルクワンタンだけください」といった注文をしないといけないようだ。
基本は勝手に出てくるコース。あえて注文しない限りそれが出る。
値段はどこにも書かれていないが、食べた量、飲んだ量によって、ひとり3~5千円ぐらい。かなりアバウトな計算なんだけど、不公平感を感じたことはない。飲んだら飲んだなりに高くなっていく。
最初にビールを何本かいただいたあとは、芋焼酎のお湯割りに切り替える。焼酎はボトルごと出されて、飲んだ量で清算される仕組みのようだ。
今日の料理は次のような流れで、全13品(最後のフルーツまで加えると14品)が出された。
- 鶏スープ(透明であっさり、具は刻みネギのみとシンプルで、すきっ腹にやさしい)
- みょうが酢味噌でいただく冷やっこ
- 白菜漬け
- さんま丸干焼き
- とろろ芋(このねっとり感は自然薯か?)
- 竹の子とじゃが芋の煮物
- 生野菜(紫タマネギ、キュウリ、レタス、プチトマト。レーズンの混ざった甘めのドレッシング。紫タマネギがビリビリと強烈に辛くて、芋焼酎の湯割りが進む進む)
- やきとり、獅子唐添え
- 酢の物(イカゲソ、ワカメ、キュウリ)
- おでん(大根、こんにゃく、さつま揚げ、こんぶ)
- ミルクスープ with パン(「パンを浸けて食べてください」とのことだったが、パンをちぎって具材にすると、よりスープが浸み込んでうまし!)
- 納豆+焼飯(納豆を焼飯の上にかけて、一緒に食べるのが鳥藤流。ここならではの名物料理のひとつだ)
- 〆はやっぱりミルクワンタン
- フルーツ(今日はオレンジ)とお茶
チマチマとした料理がたくさん出てくるのが実に呑兵衛向きだ。
私たちが入った時点(午後6時過ぎ)では、店内の客は、カウンターに座る3人(それぞれひとり客)ぐらいだったが、7時までに完全に満席になった。
昭和26(1951)年に有楽町ガード下に開店したこのお店。今年で創業65年となる。
カウンターの中で料理を作っていた店主・藤波正規さんが、平成23(2011)年11月28日に、57歳の若さで逝去され、今はその場所で、女将さんが料理を作っている。
勝手に料理が出てくるシステムや、ミルクワンタン、納豆焼飯などの味も継承されていて、とても安心した。
狭いテーブル席を囲んで話も盛り上がり、3時間ほど、ゆっくりと楽しませてもらった。
焼酎のボトルも空いて、お勘定はひとり5千円なり。
あ~ぁ、よく飲んだ。そして超満腹! どうもごちそうさま。
ミルクワンタン「鳥藤」 / 鶏スープ、冷やっこ、白菜漬 / さんま丸干焼き
納豆を焼飯にのせて食べるのが鳥藤流 / ミルクワンタン / フルーツ(オレンジ)
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