酒場であり食堂であり … 「信濃路(しなのじ)」(鶯谷)
「昭和の時代には、男尊女卑なんてことも言われてたけど、いまは逆。女のほうが上。
「本当にそう思うよ。オレなんかいつも、カミさんの3歩後ろじゃなくて、3メートルぐらい後ろを歩いてるもんなあ……」
左どなりの男性二人連れがそんな話で盛り上がっているなか、右どなりの男性ひとり客はというと、左手でスマホを操りながら、右手には箸を持って酢豚(350円)をつまみながら黒ホッピー(370円)を飲んでいる。
この酢豚が、350円という値段からは想像できないほど、豚肉のボリュームもたっぷりで、ホカホカと立ち上る湯気の甘酸っぱい香りが、まわりの人たちの食欲まで刺激する。
『次にこの店に来たら、絶対に酢豚を食べよう』
私自身も、早くも次の来店のことを考え始めている。
ここはJR山手線・鶯谷駅のすぐ近くにある、24時間営業・年中無休の食堂(兼)酒場、「信濃路」だ。
金曜日ということもあるのか客は多くて、今も3人連れでやってきたグループ客が、「ごめんなさい、満席です」と断られたところだ。
飛び飛びに1席ずつ、数席分ぐらいは空いてるみたいなんだけれど、まとまって3席分は空いてないんだろうな。
私は、シメサバ(500円)をつまみにホッピー(370円)を飲んでいる。
本当はカツオタタキ(500円)を注文したんだけど、残念ながら売り切れていて、シメサバになったのだった。
刺身系の500円というのは、この店ではけっこう高価なつまみだ。マグロ、タコ、イカとシメサバの4品(いずれも500円)が定番で用意されている他に、カツオタタキのような、日替わりの刺身が何品か加わるようだ。
「すみません! ナカとアジフライね!」
背後の、壁に作り付けのカウンター席に座っているお客さんから注文が飛ぶ。
ナカ(ホッピーの焼酎おかわり)は250円で、アジフライは180円。コロッケ130円、メンチカツ190円なんてのも安いよね。
ちなみに私の近くに4~5人ほどいる店員さんは、すべてアジア系の外国人。
ブラジルの酒場で飲んでたときは、我われ日本人がたどたどしいポルトガル語で注文してたけど、ここ「信濃路」では、店員さんたちがたどたどしい日本語で注文を受けてくれる。立場は逆だけど、なんだかブラジルの酒場に戻ったようで、すごく親近感を感じるなあ。
そのおねえさん同士も、たどたどしい日本語で会話したりしてるのがおもしろい。きっとお国(母国)が違ってて、それぞれにネイティブな言語が違うんだろうな。(ちなみに同じ母国語のおねえさん同士は、その母国語で会話しているようです。)
ホッピーのナカをもらって、カレイの煮つけ(400円)を追加注文する。
カレイの煮つけは、あらかじめ調理されているものを電子レンジで温めなおして、「お皿、熱いので気をつけてくださいね」と言いながら出してくれた。
グイッと醤油辛い味つけが下町風か。これはまた酒が進むのぉ。
このカレイ。それほど大きくはないものの、頭だけ落とした、丸ごと1尾の煮つけである。
ちょうど半身を食べ終えたところで、さらにナカをもらう。ナカと同時に、氷もたっぷりと足してくれるので、ソト(瓶のホッピー)の入るすき間はほとんどない。濃いねぇ~っ!
ところで、ここ「信濃路」の看板には、「お食事と呑み処 信濃路 鶯谷店」と書いてある。
わざわざ「鶯谷店」と書いているところを見ると、他にも「信濃路」があるのかなと思って探してみると、どうやら平和島、蒲田、大森などにも店舗があるようだ。
平和島も蒲田も大森も、すべて大田区内で、それぞれ近い。だとすると、ここ鶯谷店だけがそれら3店舗からは離れて、ポツンと台東区にあるということなのか。他の3店にも行ってみなきゃね。
1時間40分ほどの酒場浴。ホッピー・ソト1ナカ3に料理2品で、今日のお勘定は1,770円でした。どうもごちそうさま。
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コメント
上京した時は必ず行きます。
あの雰囲気、いいですね。
投稿: 60代のヒロシです | 2016.05.25 07:31