昼とは思えぬにぎわい … さかば「ふくろ」(池袋)
昭和28(1953)年ごろにバラックとして創業したという池袋の老舗酒場「ふくろ」にやって来た。実に4年ぶりである。
現在の時刻は午前11時半。まだ昼前である。なのに店内はほぼ満席だ。
バラックのころから、朝から営業していたんだそうな。
ここの焼酎カクテルはおもしろい。
まず焼酎瓶詰(180ml、250円)をもらって、それを割る飲みものを注文するのだ。
その割りものは、ホッピー(ソトのみ、220円)、ハイレモン(200円)、ウーロン茶(200円)、緑茶(200円)、タンサン水(150円)、ミネラルウォーター(150円)、コカコーラ(200円)など。
そして、焼酎と割りものを注文すると、氷入りのジョッキに、それとは別に氷がたっぷりと入ったアイスペールが出される。(複数人でひとつのアイスペールを共有する場合もある。)
これらを使って、自分の好みの濃さの焼酎カクテルを作ることができるのである。
私はたいてい焼酎瓶詰とホッピー(ソト)をもらって、焼酎のホッピー割りを作る。
このセットで、3杯分ぐらいのホッピー割りができるから、かなりお得なのだ。
つまみにはハムエッグ(380円)を注文する。
ここ「ふくろ」はビル1本が、丸ごと1軒の大衆酒場になっている。
1階がカウンター席で朝8時から営業、2階はカウンター席とテーブル席で夕方4時からの営業、3階は座敷席で、2階と同じく夕方4時からの営業。ビル全体では全席132席という人気大箱店だ。
そして厨房は別の階にあって、調理が必要な料理の注文は、すべてその階に通され、カウンター内に設置されている小さな料理専用のエレベーターで運ばれてくる。
ハムエッグは、たまご1玉にハムが2枚。醤油をかけるか、ソースをかけるか。いつも悩ましいところだ。
たいてい醤油をかけるのだが、今日はソースにしてみた。これもいいねえ。
ハムエッグに続いては、前回いただいて気に入った、えんどう豆(250円)を注文する。
4年前と比べると、焼酎は190円から250円に、ホッピー(ソト)は190円から220円に、お通しは200円から250円に、ハムエッグは350円から380円にと、それぞれ値上がりしているものの、えんどう豆は250円のままだ。
「塩が足りなかったらどうぞ」
とアジシオの小瓶が添えられるのも前のまんま。うれしいねえ。
「浜田さん!」
という声にふり返ると、なんと橋本健二先生だ!
「橋本健二の居酒屋考現学」でもおなじみの橋本先生は、早稲田大学所沢キャンパスの教授になられてから、通勤の便のいい池袋にお住まいなんだそうな。
久しぶりの橋本先生との再会に、焼酎とホッピーとをもう1本ずつもらって乾杯だ!
橋本先生は、社会学的な見地から居酒屋を研究していらっしゃる。ただの呑兵衛とは異なるその視点が、とても興味深いのだ。
「焼き物や揚げ物はラストオーダーになります」
と店のおねえさんから声がかかる。
コチの刺身(530円)で飲まれていた橋本先生は、ラストオーダーの声でハムカツ(380円)を追加注文された。
そう言えば、しばらく前に「ふくろ」は午後2時から3時の間が休みになったと聞いた。
今は2時から3時の間、料理の注文を停止するんだけど、そのまま居てもいいらしい。
そのラストオーダーからだいぶたった、午後2時の直前のこと。
「ミックスナッツはまだいい?」
調理しない料理であれば大丈夫かと思っておねえさんに聞いてみると、
「はい。ミックスナッツは大丈夫ですよ」
と、すぐにお皿にいっぱいのミックスナッツ(330円)を出してくれた。
そして午後2時になると「ここでいったんお会計」と、みんなの席に、それぞれの伝票が出されてお勘定だ。
私の分は2,150円。ホッピーをソト2・ナカ6ぐらいの感じで飲んで、お通しも含めて料理4品をもらった割りには安いよね。さすが「ふくろ」だ。
2時を回っても、新しいお客さんがどんどん入ってくるが、料理が3時まで注文できないとわかると、そのまま帰っていく人もいる。
そして、注文していた料理も酒も飲み終えた午後3時前。追加料金なしで「ふくろ」をあとにした。どうもごちそうさま。
「ふくろ」 / ホッピー(ソト)と焼酎瓶詰、お通しなど / ハムエッグ
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