ソース焼きそばの老舗 … 焼そば「花の家(はなのや)」(千駄木)
「いま73歳の私が生まれた時には、もう焼きそば屋として営業してたから、少なくとも73年以上は続いてるわね」
カウンター内、入口のすぐ横に設置された大きな鉄板で焼きそばを焼きながら、そう話してくれる女将さん。
今日は「メシコレ」公認キュレーターの塩崎省吾さん(個人ブログ:「焼きそば名店探訪録」)にお誘いいただいて、同じく「メシコレ」の公認キュレーターでもある塩見なゆさん(情報サイト:「Syupo」)と私の3人で、戦前からソース焼きそばを出していたという千駄木の老舗焼きそば屋「花の家」に来ている。
蒸し麺を、じっくりと時間をかけて焼きあげてくれた焼きそばは、それ自体がいい酒の
73年前ということは昭和18(1943)年。それより前からやってたってことだ。
「昔はね、屋台だったのよ」
屋台の焼きそば屋として創業した店は、そのうち屋台を固定化し、まわりを
その後、この地に店舗を構えたときに、常連さんたちから開店記念の贈り物として1枚の
その暖簾には、『花ちゃん(←今の女将さんのお母様)の店だから』ということで、「花の家」と染め抜かれていた。これがそのまま今に続く屋号になったというんだから面白いよねえ。
店は昭和52(1977)年に建て替えたが、焼きそばのメニューは、そのときに書いたもの。
それ以降、『値上げをしてないよ』ということを示すという目的もあって、そのメニューをそのまま張り続けている(値段も変わっていない!)ので、紙はすっかり茶色に変色してしまっている。
だから焼きそばは(小)が350円、(大)なら400円、玉子または肉が入ると(小)450円、(大)500円、玉子と肉の両方が入ると(小)500円、(大)550円と安い。
そんな「花の家」に我われがやってきたのは午後7時。この店は5時から9時までの4時間だけの営業なので、残り時間は2時間だ。
まずは瓶ビール(サッポロ黒ラベル大びん、600円)をもらって乾杯すると、お通し(たぶん100円)として「しらたきのたらこ和え」を出してくれた。
酒のつまみは、カウンター内の黒板に手書きされている。
「なんにしようかねえ?」と黒板を眺めていたら、
「そら豆(500円)でもゆでましょうか?」と女将さんが声をかけてくれて、すぐにそれにのった。お店のおすすめには従っておくのが一番なのだ。
さらには「銀ダラ煮」(800円)もお願いすると、「20分ほどかかりますが、いいですか?」と女将さん。これから煮てくれるんですね。いいですとも。
そうしてできたてのフワフワで出てきた銀ダラ煮は、とろりと脂がのっていて、口の中でとろけるようだ。
このお店、本来は女将さんとご主人の二人で切り盛りされていて、そのときは昼間も営業していた。ところがご主人が体調を崩されて、いまは女将さんひとりで、夜だけやってるそうだ。(焼きそばは、お持ち帰りも可能。)
大びんビールを3人で3本いただいたところで、飲みものを生レモンハイ(400円)に切り替える。
そしていよいよ焼きそばだ。肉玉の小(500円)3人前を注文した。
焼きそばを焼いてる横に、生卵を落として丸く伸ばしながら焼き、その上に焼きそばをのせて、くるりとひっくり返して仕上げる様子は、広島風お好み焼きのようでもある。
できあがった焼きそばをつまみながら、3人とも、生レモンハイをおかわりした。
9時直前まで、2時間ほどの酒場浴。今夜のお勘定は3人で7,300円(ひとり当たり2,433円)でした。どうもごちそうさま。
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