極上の洋食で飲む燗酒 … BISTRO「TARUYA(樽や)」(神田)
神田駅近くのガード下に、おいしいくて、高くない洋食屋があるという話を、一緒にブラジルに赴任していたT内さんから伺った。
「それは行かねば!」ということで、さっそくご家族でご常連というT内さんに予約していただいて、T内さんご夫妻、同じ職場のO川さんと4人で、ビストロ「樽や」にやってきた。
T内さんの奥さまは、ブラジルでお会いして以来だ。
店内に入ると目の前がレジカウンターで、ここで右に進むと1階席。左手の階段を上がると2階席となっている。
JRのガード下なのに、2階席もあるというのが驚きだ。
我われ4人は1階席へ。ここには2人用のテーブルが4卓。今夜はそれを二つずつつなげて、4人用テーブル×2卓のようにして使っている。
そのひとつにはサラリーマンらしき男性3人連れが座り、我われ4人はもうひとつの卓を囲んだ。
このテーブル席の奥が厨房スペースになっている。
3名の女性従業員が接客を担当していて、ちょっと合図をするぐらいですぐに来てくれるのが心地よい。
定番のメニューや、壁の黒板に手書きされている今日のメニューを見ながら、T内さんが、おすすめの料理を何品か注文してくれる。
生ビール(550円)をもらって乾杯すると、お通しのカナッペと、1品めの料理である「たまごのコンソメゼリーよせ」(500円)が出される。とろりと半熟のゆで卵がいいねえ。
ちょうど1品めの料理を食べ終えたタイミングで、「パイ料理・キッシュ」(500円)と「タコ水菜さっぱりサラダ」(780円)が出てきた。
温かいキッシュに、冷たいサラダ。自家製ドレッシングは、文字どおり“さっぱり”とした味わいで、水菜のシャキシャキ感とよく合っている。
「家で水菜のサラダを作ると、なんとなく草っぽい感じがするんだけど、ここのは本当にサラダよねえ」
女性二人が妙なところに感心しているのもおもしろい。
そして「タラバガニクリームコロッケ」(2個で1,000円)。熱々の中身は、クリームコロッケと言いつつも、適度にしっかり感があって、カニの風味がすばらしい。
それにしても、T内さんは料理名だけを(数を言わずに)注文していたのに、小ぶりの「たまごのコンソメゼリーよせ」や「パイ料理・キッシュ」はひとりに1個ずつ。「タコ水菜さっぱりサラダ」は4人で1つ。「タラバガニクリームコロッケ」(1人前はコロッケ2個)は、ひとりに1個ずついきわたるように、2人前分を1個ずつ小皿に分けて出してくれる気配りがうれしい。
ここで最初の生ビールを飲み終えて、女性陣はこのお店の売りのひとつであるワインに進む。この店の名刺には『美味しいワインと手作り料理をお楽しみ下さいませ』と書かれているのだ。
いろいろと種類がある中から、店員さんのおすすめに従って注文したのはポルトガル産の白ワイン、「カステロ・ダルバ・ドウロ」(ボトル3,490円)。
男性陣も1杯ずつ飲ませてもらったが、メニューに辛口と書かれている割りには、とってもフルーティ。ぶどうジュースのようなフレッシュさが味わえる。
20品近くあるワイン(白・赤それぞれ10品程度)は、ほぼ3千円台。それより高いのは4千円台の2品と、5千円台の1品(5,400円)の3品だけ。
ハウスワインならば、赤・白ともにグラスで600円。500mlのデカンタなら2,000円と、さらにリーズナブルだ。
我われ男性陣は、「菊正宗」の燗酒(二合徳利が630円)をいただく。
『なんでビストロで燗酒なんだ!』
というご意見もあるでしょうが、思い出してみてください。夏らしいタコと水菜のサラダに、熱々できたてのタラバガニのコロッケ。洋風に調理はされているものの、その食材は思いっきり“和”。これが燗酒に合わないはずがない。
この店の飲みものメニューには、酎ハイやレモンサワー(各450円)、麦焼酎や芋焼酎(各480円)、さらには各種カクテル類(550~650円)まで並んでいるのだ。
そして出てきたのは、この店が創業したとき以来の名物品という「ジャンボオムレツ」(680円)だ。
店内には「樽やオムレツ、作り続けて30年が過ぎました」というポスターが張り出されている。(2014年6月ごろのもの)
ということは、このジャンボオムレツを作り始めたには1984(昭和59)年ごろってことか。
表の電灯看板には.「SINCE 1991」と書かれているので、この店の創業は1991(平成3)年だと思うんだけど、オムレツはその7年ぐらい前からあったってことか。
具がどっさりと詰まったオムレツは、なにやら懐かしさを感じる。今はオムレツと言えば、卵だけでとろとろに仕上げたプレーンオムレツのイメージが強いが、昔のオムレツって、こんな感じだったよなあ。
ここのオムレツは、ものすごく洗練された具入りオムレツなんだけれど、根っこはきっと同じだね。
『当店人気No.1』と書かれた「牛タンストロガノフ」(900円)は、トーストの上に盛りつけてくれているので、パンごといただく。これがいい。トーストが、ストロガノフの味わいを引き立てている。
さらには「焼きたてのローストチキン」(880円)。
この店のご主人は、「山の上ホテル」で修業されたあと、パリのホテルでも修業を重ね、「美味しいものを安く」という精神で、神田ガード下にこの店を創業。ほとんどの料理の値段が3ケタ(千円未満)というのがうれしいですよね。
もうお腹はいっぱいなんだけど、どうしても〆の食事メニューも食べてみたくて、「高菜チャーハン」(950円)と「スパゲティナポリタン」(950円)を、それぞれ1人前ずつもらって4人でシェアする。
うぅ~っ、満腹。もうこれ以上、食べられない。
ゆっくりと、本当にゆっくりと、3時間以上も楽しんで、今日のお勘定は4人で21,250円(ひとり5,300円ほど)と、居酒屋で宴会をするのとあまり変わらない。
どうもごちそうさま。大満足、大満腹で家路についた。
いいお店をご紹介いただき、本当にありがとうございました。ひとりでも来てみたいと思う店でした。
BISTRO TARUYA 樽や / 生ビールで乾杯 / お通しのカナッペ
今日の黒板メニュー / たまごのコンソメゼリーよせ / パイ料理・キッシュ
タコ水菜さっぱりサラダ / タラバガニクリームコロッケ / ワインの黒板メニュー
ポルトガル産白ワイン / 「菊正宗」燗酒二合 / 牛タンストロガノフ
焼きたてのローストチキン / 高菜チャーハン / スパゲティナポリタン
・店情報
(次回)19.08.17 限定!ローストビーフ … ビストロ「樽や(たるや)」(神田)
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