10月末に女将が引退 … おでん「魚菜や(ぎょさいや)」(呉)
「魚菜や」にやってくると食べたいのが自慢のおでん。
ここのおでんは、透きとおった出汁の関西風の味付けと、真っ黒で甘みが強い関東風の味付けの両方が楽しめるのだ。
特におすすめなのはスジ(牛スジ)とガンス。
スジは近くの花本肉店から、ガンスは広(ひろ)の岡本蒲鉾店から仕入れたものだ。
どちらも原価率が高く、売れれば売れるほど損をするぐらいの品。
店主であり女将の小栗良江さんは、味にこだわり、仕入れにこだわる。
高くても「これじゃなきゃダメ」というものは、それを仕入れるのだ。
たとえば岡本蒲鉾店のガンスはあっという間に売り切れる人気の品。それを予約して受け取りに行く。
「がんす」という名前は、広島市内の水産会社が商標登録しているが、最初に「がんす」という名前を付けたのは、その岡本蒲鉾店、もしくは今は閉店している広島市内の蒲鉾屋・網節商店だろうと言われている。
そんな元祖と言ってもいい味わいのガンスなのだ。
牛スジのほうも、しっかりと硬くて旨みが強い。
今日は「魚菜や」のお客さんとして、花本肉店の女将さんも来ている。店に来られるといつも、大量の牛スジのおでんを食べて帰らるんだそうな。
自分のところで販売した牛スジが、美味しく仕上がっているのが嬉しいんだろうな。
ところがである!
「魚菜や」の女将の小栗さんが、10月末をもって引退されるという。
お店自体は、「魚菜や」の常連さんでもある女性が引き継いでくれるとのこと。
材料の仕入れ先なども、すべて今の状態のまま引き継いで、おでんの味付けも、しばらくの間は小栗さんも手伝いに来られて、今の状態を継続していく予定なんだそうだ。
「今の材料は高いものを使ってるから、そのまま引き継いだら儲からんよ、という話はしたんだけど、それでも『今のままがいい』と言ってくれてるのよ」
「魚菜や」の味がそのまま引き継がれるのはありがたいが、創業店主でもある小栗さんの引退はなんとも残念だ。
できれば10月中にもう一度うかがいたいなあ。
生ビールとお通し / 今日のお品書き / 華鳩(はなはと)冷酒
| 固定リンク | 0
コメント