鯛のかぶと煮で熱燗を … 安芸路「酔心(すいしん)」(新宿三丁目)
同期入社で呉に配属となったメンバーのうち4人に、同時期に呉にいた先輩ひとりを含めた5人で、新宿の安芸路「酔心」で忘年会である。
入社したのが今から33年前(昭和58年)のことだから、ずいぶん長い付き合いだ。
みんなの帰宅経路を勘案すると新宿あたりがいいということだったので、何軒かの候補店を挙げたところ、みなさん「広島の料理が食べたい」という希望で、この店になったもの。
「酔心」が広島で創業したのは昭和25(1950)年のこと。創業66年の老舗である。
東京には昭和40(1965)年に進出し、ここ新宿店はその翌年に開店した。つまり新宿店は今年でちょうど創業50年ということだ。
予約と同時にお願いしておいたのは、ひとり6千円の、飲み放題付き忘年会コース。
料理は酒肴3種盛り、お造り3種盛り、かきのたたき、鯛のかぶと煮、小いわしの天ぷら、名物釜飯、デザートという7品だ。
中でも、かきのたたき、鯛のかぶと煮、小いわしの天ぷらの3品が広島らしいよね。
「酔心」では生のカキは出さないそうで、焼きガキほど火を通していない「たたき」という状態のカキを出してくれた。
そして大好物の「鯛のかぶと煮」だ。瀬戸内といえば、やっぱり鯛だよね。
合わせるのはもちろん燗酒だ。
店のメニューには、賀茂鶴、賀茂泉、誠鏡、富久長といった広島の地酒が並んでいるんだけれど、飲み放題で選べる日本酒は「酔心 辛口醸造」(冷・温)か「酔心 生貯蔵酒」(冷酒)のみ。でも、酔心の燗酒もうまいので、私としては問題ない。
小いわしの天ぷらも、広島の名物料理。普通に1尾丸ごとを天ぷらにしたものもさることながら、小いわしを大葉に包んで揚げたものが、とても美味しくて驚いた。
釜飯のことを、わざわざ「名物釜飯」と表記しているのは、これが「酔心」の目玉料理だから。
「酔心」は、いつの頃からか、「広島料理専門 酔心」とか、「安芸路 酔心」と名乗るようになった(現在の会社名は「株式会社酔心」)が、元々は「釜飯酔心」という社名だった。釜飯は創業当初からの「酔心」の名物なのである。
ひとりに1つずつ出される釜飯は、「じゃこ釜飯」(単品価格は950円)。釜の内側にできた「おこげ」が香ばしくていいねえ。これでもう、すっかり満腹だ。
最後のシメに出されたのは、デザートの柿(かき)とお茶。これもうれしい。
とてもおいしい料理に大満足だったんだけれど、惜しむらくは飲みものの出が遅いこと。空っぽの酒器を前に、じっと待ってる時間がすごく長くて、「飲み放題」というよりは、「待ち放題」みたいな状態だった。
このところ、「飲み放題」をうたっている居酒屋大箱店の多くで、「はーい。少々お待ちください」と言われるだけで、飲みものの注文をすることすらできなかったり、やっと注文が通っても、品物がなかなか出てこないといった経験をすることが多い。
人手不足なのか、経費削減のためにあえて少人数で切り盛りするようにしているのか。
少なくとも飲みものは遅滞なく出すような工夫をしてもらいたいなあ、と思う今日この頃なのでした。
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