サクッと7本、30分 … うなぎ「カブト」(新宿)
久しぶりの新宿、久しぶりの思い出横丁で、やってきたのは鰻串焼きの「カブト」である。
入口に扉はなくて、まるで屋台のような店内は、横に長いコの字カウンター15席のみ。
その1席に腰をおろすと、すぐに店のおにいさんから「飲みものは?」と声がかかる。
「焼酎(370円)をお願いします」と返事すると、
「焼くのは一通りでいいですか?」とおにいさん。
コクンとうなずくと、これですべての注文が終了である。
メニューに並んでいる「うなぎ串焼き」は、「えり焼」(2本340円)、「ひれ焼」(2本340円)、「きも焼」(1本300円)、「一口蒲焼」(1本330円)、「れば焼」(1本300円)の5種類。
この5種類すべてを、一通り焼いてもらうのが「うなぎ串焼き一通り」(5種7本で1,610円)。さっきおにいさんが聞いた「一通りでいいですか?」というのは、このことなのだ。
一通りにしたからといって割引価格になるわけではなくて、単に注文が楽なだけである。
もちろん一通りにせずに、1品ごとに注文することも可能である。1品ずつ注文すると、自分のペースで飲み食いすることができるので、そうしている常連さんも多い。(ただし「れば焼」は、単品で注文することはできない。)
すぐに出されるお通し(サービス)のキャベツ漬けと、キンミヤ焼酎。
カウンター上に置かれた醤油刺しに梅シロップが入っているので、これを好みで追加する。(間違えないように、醤油刺しには「梅シロップ」と書かれたシールが貼ってある。)
その焼酎をひと口飲んだところで、あっという間に1品めの「えり焼」が焼けてきた。
「えり焼」は、うなぎの首周りの肉を焼いたもの。カブトという名前で出してくれる店も多い。ここは店の名前は「カブト」なんだけど、カブトとは呼ばずに「えり焼」と呼ぶのだ。
続いては「ひれ焼」。これはうなぎの背びれ、胸びれを集めて、串に巻いて焼いたもの。うなぎの串焼きの中では、私は「ひれ焼」がいちばん好きだなあ。
「きも焼」は、ずらりとつながった、うなぎの内臓一式を焼いたもの。ほろりと苦いのと、内臓らしい弾力感がいい。焼酎がすすむ一品だ。
「カブト」の創業は昭和23(1948)年。今年で創業69年を迎える老舗酒場である。
そして出てきた「一口蒲焼」は、うなぎの身をひと口大にカットして、串に刺して蒲焼きにしたもの。うなぎの蒲焼きの串焼き版だ。ただし、蒸さずに焼き上げるので、うなぎの脂分も楽しめるのがいい。
「かば塩」といって、同じものを塩焼きにしてもらうこともできる。こちらはうなぎの白焼きの串焼き版といったところか。
そして最後に出されるのが「れば焼」だ。これは、うなぎの肝臓(レバー)を串焼きにしたもの。この1串に、なんと13尾分ものうなぎの肝が使われている。だから単品での注文ができないし、売り切れるのが早いのだ。
「れば焼」が売り切れたあとは、「れば焼」抜きの一通りとなり、値段も4種6本分(1,310円)となる。
今回もまた、さっくりと30分ほどの酒場浴。とにかく回転が速いのがこの店の特徴だ。だからいつも満席なんだけど、ちょっと待てば入れる。
一通りと焼酎1杯で、お勘定は1,980円なり。どうもごちそうさま。
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