おでん以外もおすすめ … おでん「平澤かまぼこ(ひらさわかまぼこ)」(王子)
JR王子駅北口を西側に出ると、すぐ右側。森下通り商店会の入口近くにあるのが、立ち飲みのおでん屋、「平澤かまぼこ」だ。
平日の午後1時過ぎにもかかわらず、すでに何人ものお客さんたちが店内で立ち飲んでいる。
「奥へどうぞ」という、店のおにいさん(パティさん)の声に従って、カウンター中央部の、ちょうどひとり分だけ空いているすき間にすべりこむ。
すると、ちょうど目の前に大女将・平澤京子(ひらさわ・きょうこ)さんが座ってた。今は午前中から、午後の比較的早い時間帯にだけ、お店に出ているそうだ。
その代わりに、メーンとなって店を切り盛りしているのが、さっきのパティさんだ。
パティさんはネパールの出身。4年前にアルバイト店員として、この店を手伝うようになり、その後、ここの正社員として採用された。日本語も達者である。
そんなパティさんに、地元・北区の「丸眞正宗」の燗酒を徳利(600円)でもらい、つまみには「にこごり」(350円)と「鳥煮込み」(大山地鶏の鳥皮、300円)を注文する。
すぐに出される燗酒とつまみ。お通し(サービス)の大根の漬物も出してくれた。
お勘定は品物と引き換えにその場で支払う仕組み。キャッシュ・オン・デリバリーだ。
「丸眞正宗」は、生酒(300ml瓶、750円)、徳利(2合、600円)、コップ酒(1合、350円)という3タイプから選べる。
この店の母体は、昭和37(1962)年創業の老舗「平澤蒲鉾店」(北区神谷2-28-15)。築地から仕入れた新鮮な魚で作る練りものが自慢のお店である。
その平澤蒲鉾店のおでん種で作ったおでんを、お酒とともに提供できるようにと、平成11(1999)年にオープンしたのが、ここ王子駅前の「平澤かまぼこ」なのだ。
平澤蒲鉾店は今年で創業55年となるが、「平澤かまぼこ」だって、今年で創業18年。王子を代表する酒場の1軒として、広く知られる存在になっている。
そんな経緯なので、看板メニューはもちろん「おでん」。30種類以上の品を、50円(1種)、100円(9種)、150円(12種)、200円(8種)、250円(2種)という、5つの価格で提供してくれる。全体として安い。
が、しかし!
ここの常連さんたちは、おでんよりも、むしろそれ以外の一品料理を注文することも多いのだ。
私が注文した「にこごり」と「鳥煮込み」もそう。他にも「国産牛の牛すじ」(300円)や「じっくり煮込んだ焼豚」(300円)などが人気が高い。
「うちはおでん屋なんで、煮るのはプロですから」
何年か前に、牛すじの取材をさせていただいたときに、社長の平澤慶彦(ひらさわ・よしひこ)さんが、そう話してくれたことを思い出す。
そこへ、女性のひとり客が入ってきて、私と、左どなりの男性との間の、小さなすき間にすっぽりと収まった。
大女将さんと話しているのを聞くと、どうやら左どなりの男性の奥さまらしい。
「今朝、退院したばかりなのに、家に帰ってこないで、先にここに来ちゃうんだから! もう!」
と言いながら、ご主人の背中をペチンとぶつ。でも、そんなに怒っているわけではなくて、退院したことがとてもうれしそう。
「いやあ、入院中は酒もたばこもダメだったから、出所(なのか?!)したら真っ先にここに来たかったんだよ」
ご主人もうれしそうである。しかし、退院されていきなりの立ち飲みはすごいなあ。
燗酒(2合、600円)をおかわりした頃合いで、大女将がみんなに玉子焼きをサービスしてくれた。
そして大女将は午後2時半ごろに店を後にされ、パティさんひとりでの切り盛りとなった。夕方の忙しい時間帯になると、また別の人が加わるらしい。
最後にもう1杯、今度は梅サワー(300円)をもらって、たっぷりと2時間半ちょっとの立ち飲みタイム。その場払いでの支払い総額は2,150円でした。
どうもごちそうさま! って、今日はおでんをひとつも食べなかったなあ……。
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