ニコタマの濃厚なコク … やきとん「弐ノ十(にのじゅう)」(都立家政)
豚もつ煮込みは、牛もつ煮込みと比べるとコクが少ないものが多い。
もっとも、もつ煮込み自体がコクのかたまりのようなものだから、基本的には豚もつ煮込みも牛もつ煮込みも、どちらもコクが強い。
あくまでも、その両者を比較した場合に、相対的に豚のほうがコクが少ないというだけであって、レーシングカー同士の戦いのようなもの。時速300キロと280キロの違いぐらいでしかない。
そんな豚もつ煮込みの世界にあって、ここ「弐ノ十」の豚もつ煮込みはかなり濃厚で、牛もつ煮込みのコクに近い。時速290キロぐらいかも!
コクの決め手は、「糖」と「脂肪」と「ダシのうま味」の三要素。
これらは生命維持のための「血糖維持」、「カロリー補給」、「タンパク質合成」に直接つながる重要な栄養素なので、それらが最もおいしいと感じるのは動物の本能なんだそうな。
今日も今日とて、「弐ノ十」に着くなり「ホッピー」(セットで380円、以下すべて税抜表記)と「もつ煮」(350円)を注文した。
「煮込みは、玉子も入れますか?」
という、店のおにいいさん問いかけに答えて「煮たまご」(100円)も入れてもらい、「にこたま」(煮込み・玉子入り、450円)にした。
小鉢にあふれんばかりにつがれる煮込みは、煮汁がこぼれても大丈夫なように受け皿付きで供される。
その煮汁がもう、見るからにギットリと脂ギッシュなんだけど、食べると不思議としつこくないんだよなあ。そしてその濃厚なコクに酔いしれる。
この店の煮込みは、「もつ煮」、「煮たまご」の他に、「煮豆腐」(200円)と、冬場だけ「煮大根」(200円)がある。
「もつ煮」には煮込んだ豚もつと豆腐が入っている。豚もつ以外に、豚バラ肉の切れっぱしみたいなのも入っているのが、よその豚もつ煮込みよりもコクが強い理由のひとつなのかもしれない。
「煮豆腐」は、煮込み鍋の中で一緒に煮込まれている豆腐だけをついでもらうもの。
特筆すべきは「煮大根」。その名のとおり、煮込みの鍋の中で、大根をグツグツと煮込んだものである。
この大根が、もつ煮込みの旨みをたっぷりと吸い込んでいて、モツ以上にモツらしい味わい。ホッピーがどんどん進むのだ。
残念ながら今季は2月末をもって「煮大根」は終了したとのこと。次の冬を待つしかない。
ホッピーのナカ(250円)をもらって、焼きものは「レバ塩ねぎ」、「テッポー正油」、「チレみそ」の3種(各100円)を1本ずつ焼いてもらう。
ここの焼きものは、基本的に1皿に1本ずつで出されるのもうれしいところ。女性店主ならではの細やかな気配りなんだろうなあ。
再びナカをもらって、ソト1・ナカ3でホッピーを飲み終えたあと、〆に「豆乳コーヒー割」(400円)をもらう。
ここのは焼酎にコーヒー豆を浸け込むタイプではなくて、焼酎+コーヒー+豆乳の3種を混合して作るタイプだ。
これを残しておいた「にこたま」の玉子をつまみにいただく。豆乳コーヒー割りには、「煮たまご」がよく合うね。
2時間ちょっとの酒場浴。今夜のお勘定は2,190円(2,030円+消費税)なり。どうもごちそうさま。
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