
3泊4日の出張で行った、はじめての八戸、はじめての青森県。
自分自身の国内での北限は、これまでずっと、30年近く前に課内旅行で行った会津・喜多方地方(福島県)のままだったので、今回、ぐんと更新である。

東北新幹線「はやぶさ」にも初めて乗った。
「『はやぶさ』はすぐに満席になるから、早く指定席を予約しておいたほうがいいよ」
今回の出張が決まった瞬間に、職場の先輩からそう教えられて、その場ですぐにインターネット予約をした。
たしかに「はやぶさ」の車内は、行も帰りもギッシリと満席状態。東海道・山陽新幹線よりも混んでいる。
なんでこんなにお客が多いのかと思ったら、東京から八戸(最終的には函館)まで行く新幹線は、1時間に1本程度しか走ってないんですね。
そんな八戸で、すっかりツボにはまったのが「せんべい汁」だった。
冒頭でご紹介している写真は、宿泊先のホテルの「朝食バイキング」に必ず並んでいた「せんべい汁」。
大ぶりのお椀に、少量の鶏肉などの具材(調理済み)と、パリッと割った南部せんべいが、あらかじめ入った状態で積み重ねられていて、その横の大鍋に保温されている汁(つゆ)を自分でついだらできあがり。
しばらく待って、せんべいがアルデンテ状態までふやけてきたら食べごろだ。
夜の酒場で出してくれる「せんべい汁」は具だくさんで、これはこれでとても美味しいものなのだが、朝食の「せんべい汁」は汁が主体で、とってもシンプル。
まるであっさりとした「素うどん(かけうどん)」をいただいているようで、うどん好きの私には、とてもうれしかった。

ホテルの朝食バイキングの中には、郷土料理が並ぶ一角があって、「せんべい汁」の他にも、「バラ焼き」、「イカごろ煮」、「長芋のしそ漬け」などが並んでいる。
「バラ焼き」は、タマネギと牛バラ肉を醤油ベースの甘辛いタレで炒めたもの。米軍三沢基地近くの食堂『赤のれん』で60年ほど前に始まり、南部地方に広まって、ご当地グルメとなった。これも美味しくて、毎朝いただきましたねえ。
「イカごろ煮」は、コクのある新鮮なイカのゴロ(ワタ・腑)と身を絡めて煮たもの。東京の酒場でもときどき見かけるポピュラーなものだ。八戸港はイカの水揚げ日本一なので、まさにご当地の味なのである。

夜は同行の方々との飲み会が予定されているので、その前にちょっと界隈を散策する。
ホテルの筋向かいのビルの地下1階にある「こだわり酒房 とんでん兵」。北海道出身の店主が、2002年に開業した酒場だ。
地元・八戸テレビ放送の「はちのへ酒場百選」でも紹介されていたのを、事前に見ていたのでした。

八戸に来たら、ぜひ行ってみたかったのが太田和彦
さんや、吉田類
さんも訪れた創業50年の老舗酒場、「ばんや」なんだけど、残念ながら店頭には臨時休業の張り紙が出ていて、お休みだった。

その「ばんや」のすぐ近くのビルの1階にあるのが、八戸沖で獲れるブランド鯖、「八戸沖前さば」が自慢の、寿司と地魚料理の店、「サバの駅」(公式サイト、はちのへ酒場百選)だ。その八戸前沖銀サバの切り身を串に刺して焼いた「サバの塩焼き」(1本470円)が、見るからに美味しそうだ。


「サバの駅」の横の細い通り(ビルの中)を抜けると、そこが「八戸屋台村 みろく横丁」。
ここは平成14(2002)年末に、それまで盛岡駅が終点だった東北新幹線が、八戸駅、新青森駅まで延伸されたのに合わせて、オープンした屋台村で、いまや八戸の観光名所の一つとなっているそうだ。
表通りの三日町と、裏通りの六日町を屋台街で繋いでいるので、両町の頭文字「三」と「六」から「みろく横丁」と名付けられた。横丁は三日町側の「おんで市」と、六日町側「やぁんせ市」に分かれていて、両方合わせると、八戸観光キャンペーン「おんでやぁんせ八戸」の「おんでやぁんせ(=いらっしゃいませ)」という言葉になる。

「みろく横丁」をちょっと見学して、ビルとビルのすき間をもう一度「ばんや」の方向へ戻ると、そこが旬菜料理「らぷらざ亭」(公式サイト)の裏側の入口。「はちのへ酒場百選」の中でも、「いま少なくなった八戸らしい居酒屋です」と紹介されているお店で、三陸名物の浜焼きが食べられる。

その先、味ビル合衆国というビルの中に入ると、「桃川の酒蔵」(はちのへ酒場百選)が現れる。店頭に「本日おすすめ品」として書き出されているマグロブツ、天然アジ刺、ホタテ刺、ホタテ焼、ばくらい、こまい丸干し焼などが、それぞれ400円! これは安いなあ。
Facebookでは、「南部もぐり」、「おが咲(おがしょう)」、「浅坂(あさざか)」なども、おすすめいただいたが、残念ながら今回は足を延ばすことができなかった。
今回、同行者たちと一緒に楽しませてもらったのは次の3軒でした。
初日の夜は、串と季節料理の店「おはな」。五戸の「菊駒」を燗酒でいただきながら、八戸料理のコース料理。なかでもヒラメの薄造りと、魚介類のブイヤベース風鍋が美味しかったなあ。八戸では毎年2~3月に「八戸ブイヤベースフェスタ」というイベントを開催しているんだそうな。
二日めは、すでにブログでもご紹介した南部民芸料理「蔵」。「ねぶた」の燗酒とともにいただいた、「いちご煮」や「いかそうめん」、〆の「せんべい汁」が良かったなあ。

最終、三日めは、お料理「七草」。「亀吉(特別純米 辛口)」の燗酒、「桃川(寒造り 吟醸純米生原酒)」の燗酒、さらに「陸奥八仙(季節限定酒)」を冷酒でいただいて、〆の1品は、手打ち中太平麺のラーメン。
八戸はラーメンもうまいと聞いていたので、ぜひ1度、ラーメンは食べてみたかった。
そして〆にいただいたこのラーメンがうまかったなあ。せんべい汁や、ひっつみが美味いのも、結局はこの汁(つゆ)が決め手なんだな。日本酒が進むラーメンスープであった。
あっという間の3泊4日。ぜひまた行きたい街だなあ、八戸。
いろいろとありがとうございました。>お世話になったみなさま
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