八戸料理を地酒と共に … 南部民芸料理「蔵(くら)」(本八戸)
本八戸駅から徒歩10分ほどの街なかにある、南部民芸料理の店、「蔵」にやってきた。
『350年前の蔵を使った店内は、南部地方の民家を訪れたような落ち着いた空間。「せんべい汁」や「そばかっけ」、「いちご煮」といった八戸の郷土料理や、ホヤやイカなどの新鮮な魚介がいただける』
というのが、ぐるなびでの謳い文句だ。
今日は3人で、「料理4,000円+飲み放題2,000円」という、合計6,000円のコースを予約すると、2階にある、まさに『古い蔵の屋根裏』といった風情の、板張りの広間に案内された。
席にはすでに「とんぶり」や「うるい」、食用菊「阿房宮」が入った酢の物など、5種の郷土料理の小鉢が並べられており、まずは生ビールをもらって、八戸での宴会スタートである。
カチッと固形燃料に火がつけられたのは、「ホタテの貝焼き」。そして出てきた「刺身三種盛り」は、キチジ、メバル、スズキだそうな。
ここで飲みものを燗酒に切り替える。
日本酒は、青森の地酒3種の中から選ぶようになっていて、辛口が「ねぶた」、中辛が「如空」、甘口が「桃川」。
「お燗にするなら辛口がいいんじゃないかしら」
という女将さんのすすめに従って、「ねぶた」をいただいた。
その燗酒と一緒に出てきたのが、八戸をはじめとする三陸海岸の伝統料理、「いちご煮」だ。
これはウニと、薄切りにしたアワビの吸物。お汁のなかのウニが、野イチゴのように見えることから「いちご煮」と呼ばれるようになった。
とってもシンプルな吸物なのに、なにしろその具材がうまい。
とろりと軟らかいウニと、コリッと弾力感があるアワビの対比もいいね。
続いては「いかそうめん」。八戸はイカの水揚げ日本一。イカ料理が自慢の立ち飲み店、「やきや」(荻窪)のスルメイカも、ここ八戸から直送されたものである。
添えられた麺つゆに、ワサビ、刻みネギ、そしてウズラの卵(生)を入れてかき混ぜ、細く切られたイカを絡ませるように、ズズッとすすり込む。
う~ん。いいね。燗酒が進むね。飲み放題で良かったよ。
次に出てきたのは、2枚の「そばかっけ」でチーズをはさみ、海苔を巻いて揚げたもの。
「冷めると硬くなるので、熱いうちにお召し上がりください」とのこと。
「そばかっけ」というのは、そばを切った後に残る「かけら」が語源なんだそうだが、今は「そばかっけ」の形になるように、そばの生地を三角(店によっては四角)に切って、それ用に作ったものだ。
最後の〆は、女将さん自らが鍋からつぎ分けてくれる「せんべい汁」だ。
鶏だし(店によってはサバだし)の中に、「南部せんべい」を入れて作る、八戸で古くから食べられてきた郷土料理だ。
実は今日の昼食のときに、八戸市内の和食店「やま文」で、「寿司+すいとん」のランチセット(1,080円)をいただいた。
「この辺では『すいとん』のことを『ひっつみ』とか『とってなげ』と言って、昔からよく食べてたんですよ。今ももちろんよく食べるんですがね」
同行していた地元の方が、そう教えてくれた。そのときに、
「八戸名物の『せんべい汁』も、もともとは同じようなものなんじゃないかと思うんですよ。小麦粉を練って『すいとん』の具を作る代わりに、『南部せんべい』を割って放り込んだ。そのほうが準備が楽ですもんね」
という話も聞かせてくれたのだった。ここ「蔵」の「せんべい汁」をいただいて、
『なるほど! 「せんべい汁」と「ひっつみ」とは、同じような料理なんだなあ!』
と改めて認識した。
この「せんべい汁」。〆の料理なんだけど、汁がうまいので、ついついこの汁で、また燗酒をグイグイと飲んでしまった。すばらしい料理だ(笑)。
魚介類も野菜類も美味しいのが八戸の料理の大きな特徴なんだなあ。
今夜はそんな八戸料理をたっぷりと堪能することができた。どうもごちそうさま。
南部民芸料理「蔵」の2階席 / 前菜5種盛り / ほたて貝焼き
そばかっけチーズ揚げ / 女将さんについでもらって / 八戸せんべい汁
・店情報
(次回) 22.04.05 八戸地酒をたっぷりと … 南部民芸料理「蔵(くら)」(本八戸)他
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