多くの種類を少しずつ … 鮨「波やし(はやし)」(高円寺)
呑兵衛にとって、一番うれしいのは、ごく少量の料理が、次から次からたくさん出てくること。
だから大衆酒場の料理も、1品1品の量が少なくて、値段も安いところが多い。
もつ焼きだって、1本1本の量が少ないから、ひとりで行っても、いろんな種類のもつ焼きをつまみにすることができて、お酒も進むのだ。
高円寺にある鮨「波やし」は、まさにその『多くの種類を少しずつ』の典型のようなお店。
「おつまみからでよろしいでしょうか?」
という問いかけに「はい」と答えたら、それでもう大丈夫。
最初の茶碗蒸しから始まって、つぶ貝、刺身盛り合せ(イカ、赤貝、エビ、マグロ、〆サバがそれぞれ1切れ分ずつ)、焼きもの盛り合せ(稚アユ、マグロ脳天、イカゲソがそれぞれ1切れずつ)、金目鯛のお椀、毛蟹、牛ロース、……と、まさに少量ずつ、食べたら次、食べたら次といった感じでやってくる。
飲みものはというと、最初に生ビールをもらって乾杯したあと、「次は日本酒が飲みたい」と申し出ると、まずおすすめの日本酒の一升瓶を3本並べて、小さいグラスでテイスティングさせてくれた。
「まずは、これから」
とその内の1本を選んだものの、少量ずつのつまみのオンパレードに、お酒もどんどん進んでしまい、けっきょくはその3種類のお酒を、すべていただいた。(選んだお酒は、1合程度のガラス酒器で、和らぎ水と共に出してくれます。)
「次のお酒を」
とお願いすると、次なる2本を出してくれて、またテイスティングの用意をしてくれてたんだけれど、
「たぶん、どちらもいただくので、テイスティングはなしでいいです。こっちからください」
と、そのうちの1本を指定した。なにしろ今日、この店でご一緒させていただいているのは、「古典酒場」編集長・倉嶋紀和子さんだもの。
ここ鮨「波やし」は、2年先まで予約で埋まっている大人気店。倉嶋さんが、その予約を2席分分けていただいたということで、ラッキーにもご一緒させていただくことができたのでした。
その後もサラダ(茗荷、胡瓜、沢庵)、酢飯と鮑肝のリゾット、ばくだん、べったら漬け、骨煎餅、スモークサーモンのハラス、岩牡蠣、煮蛸、穴子の肝煮、鮑と塩水雲丹、穴子とアボカド巻きと、次々に繰り出されてくるつまみに、日本酒がもう、まったく止まらない。
11種類の日本酒をいただいたところで、今日のつまみ16品が終了した。
「このあとは、にぎりになりますが、ひとまず10個ほどにぎりましょうか」
ということで、にぎりに進んだ。
あまりお酒を飲まずに、にぎりに進みたい人は、おつまみが出てきている途中で、「そろそろ、にぎりにしてください」と申し出れば、その時点でつまみは終了して、にぎりに移行することができるらしい。
食べも食べたり、飲みも飲んだり。じっくりと4時間半も楽しんで、今夜のお勘定は二人で33,700円(ひとり当たり16,850円)なり。
通常の場合、あまり飲まない人で1万円ほど、飲む人でも14,000円ほどのらしいので、我われ二人が、今宵いかにたくさん飲んだかということがわかるってもんだ。
「どうもごちそうさま!」
大満足で店を後にした。機会があれば、ぜひまた行きたいお店です。2年先まで予約で埋まるほどの大人気店なのも、十分に納得できますねえ。
今夜は本当にありがとうございました。>倉嶋さん
・店情報
| 固定リンク | 0
コメント