懐かしの三冷ホッピー … 「河本(かわもと)」(木場)
江東区への出張の帰りにやって来たのは木場の「河本」だ。
亡くなった女将の眞寿美さんに代わり、現在は義妹の政子さんがお一人で切り盛りしている。
料理を担当されていたあんちゃん(眞寿美さんの弟さん)の目の調子は、相変わらず良くなくて、今夜も奥の厨房の上がり框(かまち)のところに座っているだけだった。でも、そこにあんちゃんがいると思うと、安心だね。
そんなわけで、メニューもとってもシンプルになった。
飲みものは、ホッピー400円、ビール500円、炭酸300円、お茶200円、コカコーラ200円、ジンジャーエール200円、カルピス200円の7品。
食べもの(各100円)は、やさい煮、鳥手羽煮、ちくわ、さつまあげ、ソーセージ、じゃがいも、たまご、柿の種、とうふ、しゅうまいの10品だ。
まずは「ホッピー」を白でもらって、つまみには「鳥手羽煮」を注文した。
ここのホッピーは、冷したジョッキに、冷したキンミヤ焼酎、そして冷した瓶入りホッピーを出してくれる三冷(さんれい)スタイル。
ナカ(おかわり焼酎)の設定はないので、瓶入りホッピーは1本丸ごと、ホッピージョッキに入れて飲むのが基本。ちょうどジョッキに満杯になる量だ。
この店のことを最初に知ったのは、なぎら健壱さんの「東京酒場漂流記」(1995年8月1日、筑摩書房)だった。
『この店の変わっているところはツマミの種類が少ないってこと。十種類ぐらいしかないし、しかもそのツマミの大半が手の込んでない、トマトとかモロキューとかトコロ天とかのツマミ。ニコミが売り物の店だから、それでいいんだろうね。だけど安いことは安い。一番高いものでも350円止まり。だからなんていうのかな、飲屋というより、酒屋の立ち飲み的な感じでみんな飲っている。』
と書かれていたのに引かれて、2000年11月に、当時の勤務先だった豊洲から、トコトコと歩いて、この店にやって来たのが始まりだった。
このときに、当時は深川方面に住んでいた吉田類さんのとなりの席で飲んでたらしいんだけれど、それはずっと後になってから知ったことだった。
店内では常連さんらしきお客さんが4人ほど飲んでいるんだけど、見覚えのある顔はなくて、4人の内、お二人は三十代ぐらいと若い。もしかすると、政子さん時代になってからの常連さんなのかな。
2杯めの「ホッピー」をもらって、つまみは「とうふ」にする。
いま出されているつまみの中で、昔ながらの「河本」のつまみを思い起こさせてくれるのが、この「とうふ」だ。
眞寿美さん時代には、夏場は「やっこさん」(大200円・小100円)、冬場は「ゆどうふ」(大200円・小100円)が楽しみだった。
いまの「とうふ」は、以前で言うと「やっこさん小」ですね。
そう言えば、以前の「河本」では、冬場になるとおでんも登場し、その中の豆腐にするか、「ゆどうふ」にするか、迷ったものだった。おでんも美味しかったよなぁ。
メニューに「たまご」とあるのは、おでんの玉子のような、煮玉子なんだろうか。
そんなことを思っていたら、となりに新しく入ってきた男性客が、その「たまご」を注文した。出てきた「たまご」は、殻付きのゆで卵だった。
3杯めの「ホッピー」は、黒でいただく。
ジョッキに注いだ後のホッピーの空瓶は、そのままカウンター上に並べて置くのがここのやり方。これでホッピーを何杯飲んだかわかるようになっているのだ。
そしてつまみは「ちくわ」を選択。
これもまたシンプルに、ひと口大にカットしたちくわ4切れと、わさび醤油だけなんだけど、これがとっても旨いんだから面白い。しっかりとしたちくわの弾力感がいいね!
ゆっくりと2時間弱の酒場浴。お勘定は1,500円でした。どうもごちそうさま。
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