酒場マインドフルネス … 「土風炉(とふろ)」(品川)
「自分ひとりで飲みに行くことは絶対にない。」
と語るのは同行のSさん。
「酒場に行くのは、こうしてみんなでワイワイと話をすることが最大の目的。独身なので、家に帰ると自分ひとり。わざわざ酒場にひとりで行く意味がないと思ってるんです。」
というのがその理由。
う~む。
私は、ひとりで飲みに行くのが好きなんだけどなぁ。
拙著「ひとり呑み ~大衆酒場の楽しみ~」(2008年7月、WAVE出版)の冒頭、「はじめに」でも、
最初のうちは、ひとりでの呑み方にも慣れていないので、なにしろ間が持たない。ひたすら飲んだり、食べたりする他はすることもなくて、とても楽しむなんて心の余裕はありません。
そういうことを何度か繰り返しているうちに、あるとき「そうか。何もしなければいいんだ」という、あたり前のような簡単なことに気が付いた。まさに温泉に浸かっているのと同じで、どっぷりと酒場の雰囲気に浸かればいいのです。
そう気づいてからは、酒にも料理にも、ときどき手を伸ばしながら、のーんびりと時を過ごすことができるようになってきました。
そうやって、心に余裕ができてくると、酒場で他のお客さんたちが話している会話も心地よく耳に響いてきたり、カウンターの中で調理が進んでいる様子を見ているだけでも楽しかったり、壁にずらりと並んだメニューを眺めながら「一体どんな料理なんだろうなぁ」と想像してみたりと、ますますのーんびりと過ごすことができるようになってきたのです。
まさに「くつろぎの好循環スパイラル」といった感じです。
と紹介させていただき、これを『酒場浴』と称した。森林浴や温泉浴などと同じようなリラックス効果が得られるのだ。
一昨年、Apple Watch(スマートウォッチの一種)を購入したところ、その中に「深呼吸アプリ」というのが付いていた。
iPhone側の「ヘルスケアアプリ」を見てみると、これで「マインドフルネス」が行えるんだという。
「マインドフルネス」というのは、「今現在していることにだけ集中すること」なんだそうな。
「深呼吸アプリ」の場合は、「息を吸う」「息を吐く」ということだけに集中することによって「マインドフルネス」を実現しようとしているわけですね。
この「マインドフルネス」を行うことで、「ストレス軽減」「集中力アップ」「自律神経回復」などの効果が実証されているそうで、米国では企業の研修などでも採用されているらしい。
「マインドフルネス」は深呼吸で得られるだけではなくて、他にも「ジャーナリング」といって、頭の中に浮かんだことをひたすら書き出していく方法や、「マインドフル・イーティング」という、時間をかけてゆっくり集中して食事をする方法があるそうな。
これだ!
この「マインドフル・イーティング」というのが、まさに『酒場浴』そのものなんじゃないかと最近思っています。
じっくりとつまみに向き合い、じっくりとお酒に向き合う。
ひとりで酒場に行って、の~んびりと飲むことで、ストレスが軽減されてるんだろうなぁ。
この店で飲み食いしたあとは、お店自慢の手打ち幌加内蕎麦で締めくくることが多いんだけど、今夜は「鍋焼きうどん」(780円)で〆とした。
たっぷりと4時間以上楽しんで、今夜のお勘定は4人で19,731円。ひとり当たり4,933円でした。どうもごちそうさま。
「土風炉」品川店 / キリン一番搾り生ビール / お通し(海鮮漬け)
真牡蠣(三重県桃取産)炙り / 冬の刺身五種盛り(2~3人前) / 手造り炙り厚揚げ
かぼちゃの黒糖焼き / 大長なすのホイル焼き / 鮭ハラス焼き
出来たてあったか豆冨 / 赤海老のふわふわ海老真丈フライ(1本) / ゴボウの牛肉巻き
黒霧島(一升瓶) / 最中アイス(抹茶) / とろろせいろ蕎麦
(次回)20.02.23 気軽に個室で楽しめる … 「土風炉(とふろ)」(品川)
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