高知に来て2日めの昨夜は、こちらの会社の方々と、大正6(1917)年創業の土佐料理「司」本店で会食。
「鰹たたき」や「土佐ポーク」、四万十川の「青さのり」などをつまみに、「土佐鶴 承平」の燗酒や、「土佐鶴 司ラベル(純米酒)」の冷酒などを美味しくいただきました。
3夜めの今宵は、同行のKさんと二人で、はりまや橋の近くにある、昭和27(1952)年創業の老舗酒場「葉牡丹」にやってきた。
一昨日の「魚貴」や、昨夜の「司」からも近い場所である。
老舗大衆酒場の割にはモダンなのれんをくぐって、入口引き戸を開けると、店内にはド~ンと大きいカウンター席が広がっていて、午後6時半の店内はすでに大にぎわいだ。
「お二人さま、こちらにどうぞ」
と店員さんに案内されて着いていくと、カウンター席の奥にはさらに別の空間が広がっていて、テーブル席や小上がりの席がずらりと並んでいる。
小ぢんまりとした入口の様子からは想像もつかなかったが、店内はカウンター席、テーブル席、座敷席、掘りごたつ席、個室などがあって、全体で150人も入れるそうだ。
我われ二人は、4人用テーブルのひとつに通された。
熱燗好きのKさんながら、最初はやっぱり「生ビール中」(524円、以下すべて税込表記)をもらって乾杯である。
お通しはないのが潔いね。
卓上に冊子形式のメニューが置かれているほか、まわりの壁にもずらりと短冊メニューが張り出されていて、さらにホワイトボードには日替りのおすすめメニューが並んでいる。
なお、メニュー上の価格はすべて税込表記されているが、どういうわけだかホワイトボードの手書きメニューだけが税別表記。この記事の中では、ホワイトボードの品々も税込価格に換算しています。
なにしろ高知なので、まずはやっぱり「鰹たたき」(1,028円)だな。
「塩ダレかポン酢ダレが選べますが、どちらにしますか?」
と店員さん。昨夜はポン酢ダレでいただいたので、今日は塩ダレにした。
高知では鰹の「塩たたき」というのもよく見かけるが、これは焼きたての温かいたたきに塩をふっていただくスタイル。
この店のは、そういう「塩たたき」ではなくて、店員さんの言葉どおり液体の「塩ダレ」をつけていただくタイプだ。
「鰹たたき」は高知の名物なので、値段もリーズナブルかと思いきや、決してそんなことはない。
この後の、他の料理の値段を見ていただいてもわかるとおり、この店の料理は全般的に安い。『誰でも気軽に立ち寄れる安さとうまさ』が、この店の売りなのだ。
それでも「鰹たたき」は、大きな5切れで1,028円なのである。
初日の「魚貴」では注文していないので量はわからないものの1,620円(塩たたきも同額)、二日目の「司」も単品で注文した場合の量は不明ながら1,404円(塩たたきは1,728円)と、どの店でも「鰹たたき」は軽く千円以上するのだ。
昨日、「司」のコース料理の中でいただいた「鰹たたき」も、ここ「葉牡丹」のものと同様に、ひと切れがけっこう大きかった。そういう地元ならではの大きな鰹を使ってるから、値も張るんだろうか?
そんな高級「鰹たたき」に加えて、初日に「魚貴」でいただいて抜群に美味しかった「めひかり串焼」(369円)が、この店にもあったので、店員さんオススメの「グレ(メジナ)刺身」(1,080円)と一緒に注文した。
そしてお酒も、いよいよ燗酒に突入。
燗酒は「松翁」(1合216円)、「司牡丹 佳撰」(1合291円)、「土佐鶴」(1合291円)、「桂月」(1合291円)が選べる中、今夜は店員さんオススメの「桂月」にした。
「めひかり串焼」は、ここでもやっぱり美味いのぉ!
『高知と言えば!』の「酒盗」(257円)と「どろめ」(410円)も追加注文。
「酒盗」は鰹の内臓で作った塩辛、「どろめ」は生シラス(カタクチイワシの稚魚)のことだ。
さっきの「グレ刺身」もそうだったけど、「酒盗」や「どろめ」にも、『酢みかん』と呼ばれる、「絞りかけて使う柑橘類」が添えられている。これもまた高知の食文化の一端なんだそうな。
柚子、ブシュカン、直七、ダイダイなど、いろんな香酸柑橘類が使われるんだって。
燗酒もおかわりしながら、この店の名物らしい串焼(焼き鳥)も注文。
「皮串」(102円)、「レバー串焼」(61円)、「砂ぎも串焼」(95円)を、それぞれ2本ずつ焼いてもらった。焼き鳥、安いよね。
さらに気になっていた鍋物メニューの中から、もっとも気になった「寄せ鍋」(648円)を1人前いただいた。
何が気になったかというと、その値段だ。
「塩ちゃんこ鍋」(760円)、「寄せ鍋」(648円)、「はぼたん鍋」(1,028円)と、想像のひと回り下をいく安さなのだ。特に「寄せ鍋」が驚き価格。
そして出てきた「寄せ鍋」は、まさに「寄せ鍋」で、一人用の小さな鍋に、カキ、鶏肉、豆腐、蒲鉾、玉子、野菜類などなどと具だくさん。多種多様な具材が、各種ほぼ1個ずつ、きっちりと盛り合わされてるのがおもしろいではありませんか。
ひとりで来たら、この一品で十分じゃないかという量と質である。
いいねぇ、「葉牡丹」。汁好きの私の琴線に触れまくりだ。
最後は、メニューの中で冬季限定商品になっている「湯麺」(410円)で締めくくる。
メニュー上では「湯麺(冬季)410円」、「冷やし素麺(夏季)410円」と並んで表記されていたので、たぶん「湯麺」も素麺系じゃないかと思って、店員さんに確認してみると、
「にゅうめんですよ」
と教えてくれた。「湯麺」と書いても「タンメン」ではないんですね。
出てきた「湯麺」が、これまた美味しいこと!
ゆっくりと2時間ほど楽しんで、お勘定は二人で7,259円(ひとり当たり3,630円)でした。どうもごちそうさま。
帰り道に、はりまや橋(なんと地下に観光施設があった!)を観光しつつ宿へと戻ったのでした。

居酒屋「葉牡丹」 / 生ビール中 / 鰹たたき(塩ダレ)

めひかり串焼 / グレ(メジナ)刺身 / 「桂月」熱燗1合

酒盗 / どろめ / 皮串、レバー串焼

「桂月」熱燗2合 / 砂ぎも串焼 / 寄せ鍋

「桂月」熱燗2合おかわり / 湯麺 / はりまや橋
・店情報
《平成31(2019)年2月26日(火)の記録》
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