Aセットの存在を知る … 洋食・おでん「自由軒(じゆうけん)」(福山)

長かった10連休も、残すところあと3日。ここから松山(愛媛県)に帰省である。
が、その前に!
今回も立ち寄りますよねぇ、福山の「自由軒」。
福山駅で新幹線を降りて、「自由軒」に到着したのは、午後2時前。
いつもはこの新幹線で来ると、すんなりと入ることができるんだけれど、さすがにゴールデンウイーク中の土曜日。店内はまだほぼ満席で、かろうじておでん鍋前が1席分だけ空いていた。
いつもは瓶ビールから飲み始めるのだが、今日はいきなり『麦水』を注文した。
『麦水』というのは、「麦焼酎の水割り」(350円)のこと。
「麦焼酎の水割り」を注文すると、カウンターの中で注文を受けてくれる女性から、カウンター奥の飲みものを注いでくれる女性に、「麦水ひとつね!」と注文が通されるのを聞いていて、最初から『麦水』と注文する常連さんが多いようなのだ。
いつもなら、そのままスッと通るのに、今日の鍋前のおねえさんは、いつものおねえさんではない人で、「レモンは入れますか?」と聞かれた。
「あ、お願いします」と反射的に答えると、くし切りのレモンが入った『麦水』が出された。(お勘定額から逆算すると、このレモンは50円のようである。)
こんな飲み方もあったんだなぁ。はじめて知った。
つまみは、これまたいつものように、「豆腐」(100円)と「すじ」(300円)からスタートする。
これらは両方とも、おでんの具材で、「豆腐」はお皿に盛って、「すじ」は小鉢に盛って、それぞれ店特製の味噌ダレをかけてくれる。
この味噌ダレに、七味唐辛子を振りかけて食べるのが旨いんだな。
そのうちに、私の右どなりの人が席を立ち、かわりにいかにも大常連さんと思しき年配の男性客が入ってきて、腰を下ろしながら「Aセットね」と注文した。
なに? Aセット? 初めて聞く言葉だなぁ。
横目で観察していると、おじさんの前には、チロリに入った焼酎と、氷入りのグラス、そして缶の烏龍茶が出された。
「この組み合わせを『Aセット』っていうんですか?」
ついつい気になってそう聞いてみる。
「そう。このセットで2~3杯飲めるから、これが一番安いんだ」
とおじさん。値段は聞かなかったけど、たぶん焼酎が350円で、缶の烏龍茶が150円ぐらいだろうから、合計500円ほどだろうと思う。これで2~3杯飲めたら、たしかに安いよね。
横浜「第一亭」のセットと同じようなもんなんだろうな。
「豆腐」と「すじ」で、もう1杯『麦水』をもらうと、レモンを残したまま、麦焼酎の水割りと氷を足してくれた。
Aセットのおじさんは30年来の常連さんなんだそうで、ほぼ毎日、午後2時から5時の間ぐらいにやって来ているんだそうな。
2時から5時というのは、昼めしの時間が終わって、仕事が終わった会社員たちが来るまでの間。1日の中では、店がもっとも静かな時間帯なんだそうな。そのときをねらって、長年の常連さんたちがやって来るんだって。
「豆腐」と「すじ」を食べきって、次は「ねぶと」(テンジクダイ、400円)を注文してみる。
「ネブト? 今日はおったかなぁ。ちょっと待ってよ」
と言いながら、おねえさんは奥の厨房に「今日はネブトおる?」と確認してくれたところ、「おるよ」という返事。やったね。
そのやり取りを聞いていた別のお客さんが、「こっちもネブトください」と注文したところ、「ごめん。さっきの1人前で終わった」だって。なんとまぁ、ギリギリでしたか。
そのネブトができあがってきたところで、3杯めの『麦水』をもらう。
するとAセットのおじさんも、つまみは何も注文しないまま最初のAセットを飲み終えて、2セットめのAセットを注文した。
このAセット。すべてをおかわりする必要はなくて、焼酎だけ、烏龍茶だけ、あるいは氷だけのおかわりもできるんだって。
3杯めの『麦水』も飲み干して、1時間ほどの滞在。お勘定は1,900円でした。どうもごちそうさま。
「それじゃ、お先に」
と、Aセットのおじさんに声をかけて席を立つと、
「これから面白い常連さんたちがやって来るのになぁ」
と残念がられた。またこの時間帯に、じっくりと来てみたいですね。
(次回)19.08.28 宿題だったAセットを … 洋食・おでん「自由軒(じゆうけん)」(福山)
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