長年の課題店でフグ鍋 … 市民酒場「常盤木(ときわぎ)」(高島町)
冬場のフグ鍋が名物の市民酒場「常盤木」。横浜に単身赴任しているとき(2001~2010年&2013~2014年)から、ずっと来たかった課題店なのに、いつも満席で予約必須の店だったこともあって、今まで来ることができていなかったのだ。
ここ「常盤木」は大正13(1924)年に、今と同じこの場所で、酒屋として創業した。関東大震災の翌年のことである。
その17年後、昭和16(1941)年ごろに、市民酒場に転向したそうだ。昭和12(1937)年の日中戦争勃発、さらには昭和14(1939)年からの第二次世界大戦の勃発などの影響で、酒屋だけではやっていけなくなったんだろうなぁ。
今はなき野毛の「武蔵屋」でも、同じような話を聞いたことがある。「武蔵屋」が酒屋から市民酒場に転向したのは、昭和21(1946)年のことだったらしい。
「常盤木」の店内に飾られている、昔の店舗の模型(上の写真)は、終戦後の店の様子を表したものなんだそうな。
現在は創業者のお孫さん(三代目)の萩原哲郎さん・久美子さんご夫妻が切り盛りされている。
今日は6人で予約して、この店にやって来た。まずは「生ビール」(480円)をもらって乾杯である。
すぐに出される小鉢のお通し(サービス)は、ミニサラダ。最初の一品として、スルッといただくのにちょうどいい。
予約時に「ふぐ豆腐(=フグ鍋)」(2,000円)のみ注文してくれているとのことで、店内のメニューを見ながら、鍋前のつまみを選ぶ。
「ふぐ唐揚げ」(900円)。東京湾でもよくとれるショウサイフグの唐揚げだ。身のプリプリ感がすばらしい。
この店の名物のひとつ、「ねぎチャーシュウ」(450円)。刻んだシャーシューが、刻んだたっぷりの白ネギと一緒にお皿に盛られ、海苔が添えられている。
この海苔に、チャーシューとネギをくるんでいただくのだ。
ほほぉ~っ。ピリッと効いてるラー油がいいね。
たっぷりのピリ辛ネギチャーシューに、海苔も生ビールもおかわりだ。
店主オススメの「自家製シューマイ」(400円)もいいね。
他にも、「あなご天」(300円)、「チクワサラダフライ」(450円)、「春捲」(300円)などなど、気になる料理はたくさんあるのだが、「ふぐ豆腐」が食べられなくなったらいけないので、ここで予約しておいた「ふぐ豆腐」を出してもらうことにした。
この「ふぐ豆腐」を食べ終えてもなお、お腹に余裕があれば、改めて他の料理もいただくことにしよう。
横浜・本牧沖では、昔からショウサイフグがよくとれたんだそうな。
「市民酒場組合」が中心となって、「神奈川県ふぐ協会」が設立されたのは昭和25(1950)年のこと。「ふぐ包丁師」という、フグ取扱いの資格制度を設けて指導することで、各市民酒場で安価にフグを提供できるようになったのだ。
「ふぐ鍋」と呼ばずに、今でも「ふぐ豆腐」という名称を使っているのは、その当時、各市民酒場で「たら豆腐」と同じ感じで、湯豆腐にちょいとフグを入れて提供していたことの名残らしい。
たっぷりとフグが盛られた今の姿は、りっぱに「ふぐ鍋」で通用するけどね。
鍋が沸いてきたところで、各人に「ふぐ豆腐」を取り分けるための小鉢が配られる。
その中には大根おろし、刻みネギ、醤油と七味唐辛子、そしてくし切りのダイダイが入っている。
このダイダイをしぼっていただくのだ。
熱々の「ふぐ豆腐」に合わせて、飲みものも「ホッピー」(セット450円、ナカ250円)に移行した。
「ふぐ豆腐」の〆は、雑炊にしてくれる。
この「ふぐ雑炊」が、これまたいい味に仕上がっている。たっぷりの鍋で、かなりお腹いっぱいになったのに、みんな「美味しい、美味しい」と食べている。
あっという間に、二つの鍋がからっぽになった。でも、もうこれ以上は食べられない。満足、満腹だ。
たっぷりと3時間ほど楽しんで、今夜のお勘定は6人で28,760円(ひとり当たり4,793円)でした。どうもごちそうさま。
最後は店の入口で、店主ご夫妻と一緒に写真を撮らせていただいた。(ご常連さんが撮影してくれました。ありがとうございます。)
いやぁ、10年以上の課題になっていたお店に、やっと来ることができて、今夜は本当に良かった。
噂にたがわぬ居心地のいい、そして料理の美味しいお店でした。ぜひまた来たいと思います。
・店情報
(次回)20.04.29 今夜はここでひとり酒 … 市民酒場「常盤木(ときわぎ)」(高島町)
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