めはりを肴に三重の酒 … 居酒屋「八の巣(はちのす)」(津)
津駅東出口から徒歩2分ほどの居酒屋「八の巣」。
のれんの下から垣間見える午後6時過ぎの店内には、いかにも地元のサラリーマンらしき男性ひとり客が何人か、アクリル板で仕切られたL字のカウンター席に、飛び飛びに座って飲んでいる。
入口横には「新型コロナウイルス対策としてオゾン発生器を設置しました」という張り紙もあり、感染症対策に力を入れている店であることがわかる。
よしっ。今夜の晩酌はここにしよう。
「ひとりです」と店に入り、空いていたカウンター席の中央部あたりに腰を下ろした。
となりの席との間を仕切るアクリル板は、ブックエンドとダブルクリップを利用した手作りのもの。
なるほどなぁ。この手があったか!
この仕切りは、カウンターの2席ごとに置かれていて、その2席分の空間に、それぞれ一人ずつの客が座っている状態だ。
カウンターの上段には、大皿に盛られた料理が、ずらっと15皿ぐらい並んでいるのだが、そのカウンター上段と、お客が座っているカウンター席との間には、天井からビニールのシートが吊り下げられていて、大皿料理は見えるけど、お客さんがしゃべっても、飛沫は防止できる仕組みになっている。
ビニールシートの向こう側、カウンターの中には、女将さんやアルバイトの学生がいるのだが、彼らはマスクを着用しているから大丈夫なのだ。
まずは瓶ビールを注文すると、アサヒスーパードライ中瓶が出され、追いかけるようにお通しの「まぐろ角煮」を、ビニールシートの下側をちょっとめくって出してくれた。
天井から吊り下げられたビニールシートの丈が、長過ぎず、短か過ぎずで、大皿料理は守るけど、カウンターの中から料理を出すのには、あまり邪魔にならないという絶妙な長さなのである。
この位置に収まるまで、いろいろと試行錯誤をされたんだろうなぁ。
この店のメニューは、卓上には置かれておらず、カウンターの上部や、まわりの壁の上部に短冊でぶら下げられている。
その数はかなり多くて、全体を把握するのは大変そう。
店の奥の壁に掲示された黒板には、今日のメニューがチョークで手書きされている。
お客さんたちのほとんどは、予想どおり常連さんの様子で、ひとり客か、ふたり連れ。
ひとり客は、みんなカウンター席に座っていて、ふたり連れは後ろのテーブル席や、小上がりの座敷席で談笑しながら飲んでいる。
「まぐろ角煮」(お通し)と中瓶ビールが残り少なくなったところで、次なる肴と飲みものを選ぶ。
店の名物は「ロールキャベツ」(600円)や「とんかく(豚の角煮)」(750円)などのようだ。「あさり」(600円)の注文もよく入っているようだ。
「うつぼ」(400円)や「赤モク(海藻)」(400円)なども並んでいる。
「鮪ハーモニカ」(450円)って何だろう? ちょっと気になるなぁ。
そんな中に、好物の「タコ天」(450円)を発見。これにしよう!
「タコ天」を注文しておいて、飲みものは「酒1合」(350円)を熱燗でいただく。
お酒の銘柄は「寒紅梅」。このすぐ近く(三重県津市)で造られている三重の地酒だそうな。
「寒紅梅酒造は、三重大学の近くにあるんですよ」と女将さん。
女将さんをサポートしている、二人の若い男子アルバイトは、二人とも三重大生なんだそうな。キビキビとした接客がいいですねぇ!
そして「タコ天」もできあがってきた。
熱々の出来たてが、天つゆと一緒に供される。
この弾力感と、噛みしめたときの旨みが「タコ天」の良さなんだなぁ。
「タコ刺身」や「タコブツ」も好きなんだけど、熱い「タコ天」のほうが、より旨みを感じやすいように思うのだ。
ックゥ~~ッ。燗酒にもよく合うのぉ~っ!
「タコ天」で1本めの燗酒を飲み干して、2本めの燗酒をもらうと共に、つまみ兼シメの一品として、初めて目にする「めはり」(600円)をいただいた。
「めはり」というのは、和歌山県と三重県にまたがる熊野地方や、奈良県の吉野地方の郷土料理である「めはり寿司」のこと。
本来は、おにぎりを高菜の葉の浅漬けでくるんだものらしいが、この店の「めはり」には、熊野産の芥子菜を使っているとのこと。
ピリッとした味わいが、とてもいいつまみになる。
ゆっくりと2時間ほどの酒場浴。今宵のお勘定は2,970円でした。
このお勘定から逆算してみると、最初の中瓶ビールとお通しで950円(中瓶ビールが550円でお通しが400円、あるいは中瓶ビールが500円でお通しが450円)で、価格はすべて税別表記のようだ。
メニューに「伊勢うどん」(500円)も、ちょっと気になった一品だった。
どうもごちそうさま。
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