戦後の闇市跡のビルで … 酒房「灘(なだ)さんプラザ店」(神戸三宮)

神戸への出張で、夕食にやって来たのは「酒房 灘 さんプラザ店」である。
「酒房 灘」は、「神戸さんちか」が誕生した、1965年に創業。
それ以来、55年間、酒好きに愛され続けてきた老舗大衆居酒屋である。
現在は、「さんちか店」と「さんプラザ店」の2店舗を展開している。
ここ「さんプラザ」が竣工したのは1970年なので、「さんプラザ店」のほうは、今年で創業50年ということだろうか。

午後4時半の店内は、さすがにすいていて、どこにでも座れる状態。
ひとりの私は、カウンター席に座るか、その後ろのテーブル席に座るか、ちょっと考えて、二人用のテーブル席を選んだ。
まずはアサヒドライとキリンラガーが選べる中瓶ビール(520円)を、キリンでもらって、喉を潤す。

そして、ゆっくりとメニューを確認する。
揚げ物、一品、おでん。裏面には焼鳥、串揚げ、刺身、定食などもあって、品数はすごく多い。
定食類の種類も多く、居酒屋と言いつつも、大衆食堂的な要素も持ち合わせているようである。

そんな品書きの中から、最初に注文したのは「おでん」。
「とうふ」(150円)と「ちくわ」(150円)、そして「牛すじ」(270円)をもらった。
この店は、お通しは出されないようなので、さっと出てくる「おでん」は、最初のつまみとしてぴったりである。
関西風のあっさりおでんは、この店の看板メニューでもあるらしい。

「酒房 灘」という店名を付けるだけあって、メニューにも地元・灘の地酒がずらりと並んでいる。
「菊正宗」、「白鹿」、「白鶴」、「櫻正宗」、「月桂冠」、そして「白鷹」、「剣菱」などなど。
昔から長く愛され続ける有名ブランドが勢ぞろいだ。

そんな中から「月桂冠」(期間限定450円)を熱燗で注文した。
合わせるつまみは「鯛刺身」(600円)だ。
なにしろ明石も鯛の産地ですからねぇ。
地元の酒に地元の魚。間違いなしだ。

すぐ近くの4人用テーブルに、常連さんらしき二人連れがやって来て、注文したのは「おすすめメニュー」の冒頭に出ている「生セット」(850円)。
生ビール中(単品500円)に、枝豆、鶏唐揚げ、餃子、玉子焼き、キャベツの千切りが盛り合されたワンプレートが付いてくる。
これはお得だ。この店でのスタートは絶対これだな! 次からはそうしよう。

食事のお客さんに人気があるのは、「粕汁定食」(980円/上1,200円)のようだ。
定食と一緒に生ビールを注文して、軽めの晩酌を楽しんでいるお客さんも多い。

「月桂冠」の熱燗をお代わりして、次にもらったのが「塩辛炒り卵」(320円)。
初めて食べた料理だけれど、塩辛の旨味に、炒り卵のコクが加わって、素晴らしくいいつまみである。
東京でも、どっかの店で出して欲しいなぁ!

ゆっくりと2時間半ほど楽しませてもらって、今宵のお勘定は2,910円。
ホテルでもらった、「GOTOトラベル地域共通クーポン」(1,000円分)と、残りは交通系カード(Suica)で支払って、どうもごちそうさま。

ここ「さんプラザ」は、第二次大戦後に自然発生的にできた『じゃんじゃん市場』という闇市だった場所なんだそうな。
だから地下1階の食堂街にも、いかにも呑兵衛好みする店が、軒を連ねている。

新橋の「ニュー新橋ビル」の地下と同じような空気を感じますねぇ。
これまでガード下の酒場で飲むことが多かった神戸三宮。地下にもいい酒場があることを知った、いい日になりました。
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