ギャンブル街の名酒場 … 「赤ひげ 姉妹店」(新開地)

公営ギャンブル場がある街には、早い時間から飲める大衆酒場あり。
新開地駅のまわりにも、いい大衆酒場が多いなぁと思っていたら、駅のすぐ近くに競艇場外発売場「ボートピア神戸新開地」があった!
ここ「赤ひげ 姉妹店」も、そんな新開地で大人気の大衆酒場の1軒だ。
その営業時間は午前10時59分から、午後11時01分までの12時間02分。わずか2分ではあるが、半日を超える営業時間である。
奥に向かって細長~い店内は、その細長い空間を縦に二つに分けるように、店の奥に向かって伸びるカウンター席があり、その右側が、これまた奥に向かって細長~い厨房スペースになっている。カウンター席の背後にあたる左手壁際にも、壁に向かうカウンター席が作り付けられている。
カウンター席は店の奥行方向に3分の2ぐらいのところまで伸びていて、その先はテーブル席になっている。グループ客はそちらに通されるようだ。

ひとりの私は、右手カウンターの1席に座り、まずは「瓶ビール(大)」(490円)をもらって、のどを潤しながら1品目のつまみを選ぶ。

壁全面に張り付けられた膨大な数の短冊メニューも、この店の特徴のひとつ。
すべてのメニューが異なっているわけではなくて、一連のメニューのかたまりが繰り返して張られているので、どの席に座ってもメニューの全体像を把握することができるのだ。
それにしても、そのひとかたまりですら、すごく多くて、全体を確認するにはある程度の時間が必要だ。

焼鳥や関東煮(おでん)などの定番メニューはいつも変わらないのだが、造り(刺身)などの魚介類や野菜のメニューなどは仕入れによって変わっていて、いつも同じものというわけではないようなのだ。
ほとんどのメニューが300円未満というのもうれしいところ。
いちばん高いのが「本マグロのとろ造り」で、それでも450円だ。

そんな中から、今日は「さばきずし」(280円)を注文した。
「きずし」は、漢字では「生寿司」または「生鮨」と書き、魚を酢締めしたもののことをいう関西の言葉。「さばきずし」は、関東だと「〆鯖(しめさば)」ですね。
この店のカウンター席には、常連のひとり客が多いようで、みんな静かに飲んでいる。
かといって店内が静まり返っているわけではなくて、奥のほうにいるグループで来たお客さんたちは、ワイワイと楽しそうにしゃべっているので、店全体としてはちょうどいい感じのにぎやかさになっているのだ。

「さばきずし」に続いては、冬場に神戸に来たら、あちこちの酒場でよく見かける「粕汁」(250円)をもらう。
「粕汁」は、出汁に酒粕を溶かし味噌や醤油などで味を整えた、具だくさんの汁もの。
神戸には酒造会社が多いので、栄養価が高く、身体も温まる「粕汁」が一般的な料理になったんだろうな。
関東でも、冬場には「けんちん汁」や「さつま汁」を出してくれる酒場があるが、「粕汁」はあまり見かけないなぁ。

「粕汁」をつまみに大瓶ビールも飲み切って、芋焼酎「金黒」(340円)をお湯割りでもらうと同時に、近くのお客さんがたのんで気になっていた「たまごのフライ」(90円)を注文した。

注文を受けてから作られる「たまごのフライ」は、ゆで卵1個を二つに切り分けて、その両方に衣をつけて揚げたもの。ゆでモヤシの上にのせ、ウスターソースをかけて出してくれる。

あはは! これは安くて簡単で、いいつまみだねぇ!
串カツに、うずらの卵があるけれど、あれを普通のゆで玉子で作ったようなもんだ。
モヤシもたくさんあるので、これだけでジョッキのお湯割りを飲みきることができました。

芋焼酎お湯割りをおかわりして、続いては、まわりのほとんどのお客さんが注文している「湯豆腐」(160円)をもらう。
これはもう「湯豆腐」というより、スープ豆腐ですね。
とろろ昆布と刻みネギがトッピングされていて、見た目は呉「森田食堂」の湯豆腐とよく似ている。
「森田食堂」のには一片の柚子が入っているのに対して、こっちは一片のレモンだな。
添えられたレンゲで、スープごと豆腐をすくうようにしていただくと、出汁の味わいが濃いのがいいですねぇ。
大人気であることがすぐに納得できる、すばらしい酒の肴だ。

ゆっくりと2時間近く楽しんで、今宵のお勘定は1,950円でした。どうもごちそうさま。
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