準備中に飲むのも楽し … やきとん「すっぴん酒場」(野方)

野方「すっぴん酒場」の開店時刻は午後4時だが、これはまさに『店の入口が開く時刻』であって、すべての準備が整う時刻ではない。
店主による朝からの仕込みが終わる頃に、ママもお店にやってきて、午後4時の開店時刻を迎えるのだ。
ここから準備の最終段階である炭熾(おこ)しなどが始まるので、「やきとん」の注文がOKとなるのは、午後5時を回ってからになる。
店のご常連さんたちも、そこはよく把握していて、多くの方たちは午後5時以降、スタンバイを終えた頃にやってくる。
午後4時台にやってくるのは、大常連のSさんや私のように、「つまみはなくても、まず飲みたい」という呑兵衛たちだろうか(爆)。

「黒ホッピー」(450円)を飲み、「お通し」(200円)のお新香をチマチマとつまみながら、準備をしている店主ご夫妻とおしゃべりしたり、テレビで流れるニュースにチャチャを入れたりしている時間が、これまた楽しいのである。

今日もまた、そんな楽しい過ごし方をしているところへ、ママから「らっきょうもあるけど、食べる?」と声がかかり、即座に「食べる!」と返事をした。
ラッキー。まだ「らっきょう」(200円)が残ってましたか。
ここ「すっぴん酒場」では、毎年6月ごろに「らっきょう」を漬ける。7月ごろに食べられるようになるんだけれど、これが大人気で、8月には、もう無くなってることもあるのだ。
いやぁ、今年は「らっきょう」を食べることができて良かった。
黒ホッピーの「ナカ」(250円)をもらったところで、大将から「注文どうぞ」と声がかかる。

最初の注文は決まっている。いつもの「れば」(150円)、「ちれ」(150円)、「しろ」(150円)の3点セットである。私の「すっぴん酒場」は、必ずこの3種3本からのスタートなのだ。

他のもつ焼き店と同じように、「やきとん」はタレ、塩の味付けが選べるのだが、この店の多くの常連さんは、味付けは指定しない。大将におまかせなのだ。

私もそう。いつも味付けは指定しないで注文すると、「れば」と「しろ」はタレ焼き、「ちれ」は塩焼きで出来上がってくるのでした。
炭火が熾こったことを知っていたかのように、ひとり、またひとりとお客さんも入ってきて、焼き台の上にも、多くの「やきとん」が並び始めた。

私も2巡めの注文として、「さがり」(150円)、「はつみみ」(150円)、「あぶらにんにく」(150円)の3種3本を注文した。

「さがり」は豚の横隔膜、「はつみみ」は豚の心臓のフチ(耳)あたりの部分、「あぶらにんにく」はサクッとした食感に焼き上がる脂身の間に、ニンニクを挟んだ串だ。
この3種も人気が高くて、遅い時間には売り切れていることが多いのだ。

さらに今日は「ピーマン肉詰」(250円)も焼いてもらった。
「秋元屋」の「生ピーつくね」のように、生のピーマンの中に、つくねを入れて食べるのも美味しいが、この「ピーマン肉詰」のように、ピーマンの中に生のつくねを、ぎっしりと詰めて、外のピーマンごと、しっかりと焼き上げたものも、これまた旨いのだ。

「練りガラシをちょっとつけて食べても美味しいですよ」と教えてもらって、さっそくやってみた。なるほどぉ! たれの甘さと練りガラシの対比効果で、すごく美味しい!

最後は「もつ煮込み」(450円)で締めくくる。
「もつ煮込み」というと、カウンター内の大鍋で煮込まれていて、注文するとすぐに、そこから小鉢についでくれる、という店が多い。
多くの大衆酒場では、お通しがないことも多いので、飲み始めの1品めのつまみとして、サッと出てくる「もつ煮込み」がちょうどいいのである。
ところが!
「すっぴん酒場」では、煮込み終えた「もつ煮込み」は、冷蔵庫の中に保管されていて、注文を受けてから、必要な量を小鍋にとって再加熱し、豆腐などの具材を足して仕上げていくのである。
だから、「すっぴん酒場」の「もつ煮込み」は、注文してから出てくるまでに、ある程度の時間がかかるのだ。
今回も「ピーマン肉詰」を焼いてもらっているところで、すでに「もつ煮込み」を注文していたのでした。
ずっと煮込み続けている「もつ煮込み」の場合、開店直後と閉店前とでは、「もつ煮込み」の味わいや、具材の食感が異なることもあったりするが、こうして注文を受けてから仕上げる「すっぴん酒場」では、営業時間中はいつでも、ほぼ同じクオリティーの「もつ煮込み」をいただくことができるのだ。

ゆっくりと2時間40分ほど立ち飲んで、黒ホッピーはソト1・ナカ4。
品物と引き換え払いでの支払合計は3,200円でした。どうもごちそうさま。
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