鳥酢と湯豆腐もう1軒 … 「成田家(なりたや)下石井店」(岡山)

岡山の呑兵衛たちに人気の大衆酒場「成田家」。
岡山市内を中心に20軒ほどの店舗があるらしいのだが、それらはチェーン店ではなくて、暖簾分けして独立する形で広がっていったそうだ。
各店舗に共通する「成田家」ならではの名物料理は、「鳥酢」と「湯豆腐」の2品なのだが、その2品にしても、各店舗で内容が違うらしい。
「成田家」と同じように、都内に暖簾分けで広がった「三州屋」にも「鳥豆腐」という名物料理があるが、これも店によって内容が違っている。それと同じようなものなんだろうな。

今日はまず、「成田家 西口店」を訪問した。
以前の記事でもご紹介したとおり、その「成田家 西口店」で、お酒も料理もたっぷりといただいたのだが、せっかくの機会なので、もう1軒、違う「成田家」を訪問して、その違いを確かめておきたい。
そんな思いで向かったのは、「成田家 西口店」の次に岡山駅に近い、「成田家 下石井店」だ。

入口引戸をガラリと開けて、暖簾を分けて入った店内はカウンター席のみ9席ほど。2階には座敷席もあるようだ。
そんなカウンター席の、中央やや手前側が空いていたので、そこに座らせてもらい、「アサヒスーパードライ(大)」(600円)と「キリンラガー(大)」(600円)が選べる瓶ビールを、西口店でアサヒを飲んだので、今度はキリンをもらった。

すぐに出されたビールを飲みながらメニューを確認する。
なるほど、たしかに西口店とは並んでいる料理も値段も違うなぁ。
しかしながら「成田家」共通の名物である「鳥酢」(220円)と「ゆどうふ」(250円)は、この店のメニューでも、いちばん最初のところに載っている。

まずは「鳥酢」から。
出てきた「鳥酢」は、小鉢に春雨と、細かく切った蒸し鶏(カシワ)、刻み青ネギが盛られ、味付けはポン酢醤油と、小鉢のフチに練りガラシ。
外見的には西口店のものとあまり変わらないが、こちらのほうが春雨が多くて、蒸し鶏の刻み方がより細かいかな。

グルグルッとかき混ぜると、蒸し鶏が完全に混ざりこんで、ほぼ春雨といった外観になった。
さっぱりとした味わいは「鳥酢」ならでは。1品めのつまみとして、ちょうどいいですね。

メニューには、今日の日付が記入された日替りメニューのページもあり、同じ内容のものが、カウンター内部のホワイトボードにも書き出されている。
西口店でいただいた「刺身盛合せ」も680円と安かったが、こちら下石井店でも750円。
「イカチチ煮」(350円)、「ベカ酢みそ」(350円)、「ベカ沖づけ」(250円)なんてのも並んでいる。
『イカチチ』は紋甲イカの包卵腺(ほうらんせん)で、『ベカ』は体長6~10cmぐらいの小さいイカ、『ベイカ』の岡山での呼び方なんだそうな。
ちなみに西口店のメニューにあった『ヒラ』というのも、全国でとれるのに、なぜか岡山県でしか食されていないという不思議な魚なんだって。しかも、岡山では縄文の昔から『ヒラ』を食べていたとのこと。
岡山の食文化、なにやら奥が深そうだなぁ。

ビールの後は日本酒をもらう。
西口店が地元・岡山の「御前酒(ごぜんしゅ)」だったのに対し、こちら下石井店の日本酒も、やはり地元・岡山の「加茂五葉(かもいつは)」。
銘柄は違えど、1合が300円という値段は変わらない。
その「加茂五葉」を冷酒でもらって、「ゆどうふ」(250円)も注文した。

おぉ。西口店のが、透明感があるスープだったのに対して、こちら下石井店のスープは白濁した鶏白湯スープ。店によって違いがあるのが面白いね。
予想どおり「三州屋」の「鳥豆腐」と同じような感じだ。どっちもうまし!
冷酒をおかわりして、下石井店でも2時間ほどゆっくりと楽しんで、今夜のお勘定は1,670円。支払いは現金のみでした。どうもごちそうさま。
こうなると、次の機会にはまた別の「成田家」にも行ってみたいなぁ。岡山に来る楽しみが増えたぞ!
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