初めてのカウンター席 … 「串しん坊(くししんぼう)」(阿佐ヶ谷)

都内での仕事を終えて、阿佐ヶ谷駅から徒歩2分ほどのところにある「串しん坊」に着いたのは、午後5時10分。
開店時刻からまだ10分しかたっていないが、入ってすぐのL字のカウンター席には、一番奥にご常連さんと思しき先客がひとり。

私はその対角にあたるL字の右下端に座り、まずは「生ビール(中)」(450円)をもらうと、あわせて出された「お通し」(280円)は、肉だんごなんだけど、モチッとしててネチッとしてて、脂っぽい旨みが強い。しかも肉の部分が、しっかりと噛みごたえがある。
なんていう料理名かはわからないけど、最初のつまみとしてとてもいいなぁ。

「お通し」に続くつまみとして注文したのは「もつ煮込み」(350円)。
「もつ煮込み」は、注文してから温めて仕上げてくれるタイプで、具材として大根やコンニャクも入ってる。

生ビールを飲み干して注文したのは「ホイス」(350円)である。
「ホイス」は、焼酎を、後藤商店が製造・販売している割り材、「ホイス」で割ったもの。正確に言うと『焼酎のホイス割り』だ。
でも「ホッピー」が、割り材も、割ったものも「ホッピー」と呼ばれるのと同じように、「ホイス」もまた、割り材も、割ったものも「ホイス」と呼ばれることが多いのだ。
「ホッピー」が発売されたのが1948(昭和23)年なのに対して、「ホイス」の発売は1949(昭和24)年と、わずか1年の違い。

「ホッピー」がビールの代用品を目指して作られたのに対して、「ホイス」はウイスキーの代用品を目指して作られた。だからその名称もWHISKYの頭4文字「WHIS」を文字って「ホイス」になったようだ。(→詳細は『意外と知らない焼酎の噺10』をご覧ください。)
ビールの代用品を目指して作られた「ホッピー」ながら、今やそのすっきりとした美味しさで、最初から「ホッピー」を名指しで注文する人が多いのと同じように、「ホイス」もまた、ウイスキーとはまるで別物の、ホイス独自の飲みものになってますよねぇ。

次なるつまみとして、今日の手書きメニューの中でかなり気になった「豚のあたりめ」(480円)を注文した。
「あたりめ」というのは「するめ」の別称。つまりはイカである。それが「豚」とはこれいかに。

出てきた「豚のあたりめ」は、焼いた豚肉の赤身を細く切って、マヨネーズを添えたもの。
どーれどれ。
なるほどなぁ。いしっかりとした弾力感があって美味しい。
「豚のあたりめ」かぁ。これは他ではお目にかかったことがない、面白いつまみですね。

「ホイス」に続いては、「バイス」(420円)をもらう。
「バイス」は、焼酎を、コダマ飲料が販売しているバイスサワーで割ったもの。
『梅酢』にちなんだ名称ではあるが、実際には酢は入ってなくて、シソエキスとリンゴ果汁で作られているそうだ。
「バイス」は、割り材である「外(ソト)」(単品250円)と、焼酎「中(ナカ)」(単品210円)をセットで出してくれるので、自分の好きな濃さに割ることができる。
スッキリサッパリと飲みやすいのがいいよね。

つまみとして「辛みそキャベツ」(150円)を注文すると、丸ごとのキャベツを八等分にざく切りしたものに串を刺して、辛みそを添えて出してくれた。

1杯めの「バイス」を飲み干して、「中(ナカ)」(210円)をもらう。
これで外(バイスサワー)もなくなるかと思いきや、焼酎の量がけっこう多かったので、まだ残った。

つまみには「モツ焼きポン酢」(420円)を注文。
これは、注文を受けてから焼き上げた2本の「シロ」(1本120円)を小鉢にばらし、ワカメとキュウリを盛り合わせてポン酢をかけたもの。
仕上げに刻みネギがトッピングされ、小鉢のふちには練り辛子も添えられている。
『もつ焼きにこういう楽しみ方もあるんだなぁ』ということを再認識させてくれる逸品だ。
ここのシロは、シロ(腸)と言いつつも実際にはテッポウ(直腸)なので、食感がいい。
次の機会には、普通のもつ焼きの「シロ」も食べてみたいなぁ。

3杯めとなる「中(ナカ)」(210円)をもらって、ソト1ナカ3で「バイス」を飲み終えた。
この店に来たのは今日で3回めなんだけど、これまで2回はグループだったので、奥の座敷席で飲んでいた。
ひとりでやって来て、カウンター席に座ったのは今回が初めてだ。
こうして見える景色が違うと、同じ店なのに、なんだか違う店に感じるなぁ。

ゆっくりと2時間ほど楽しんで、今夜のお勘定は3,320円。Suicaでピッと支払って店を後にした。
どうもごちそうさま。
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