地元の食材を手料理で … 遊食広場「まごころ亭」(三次)

三次(広島県)にやって来た。
呉で過ごした新入社員のころ(40年ほど前)、山陰方面に遊びに行くのに通過したことはあったけれど、この地に宿泊するのは今回が初めてだ。
『どこかいい酒場はないかなぁ?』と事前にネットで検索していて心引かれたのが遊食広場「まごころ亭」だ。
2003年10月創業の居酒屋を、2015年に現在の二代目女将が引き継いだ。

メニューは多彩で、日替わりの手書きホワイトボードメニューもあって、いつ来ても違う料理が食べられる。
しかもそのホワイトボードメニューの品が200円からという安さなので、毎日のように通う常連さんも多いそうだ。
日本中どこの土地に行っても、『毎日のように通う常連さんが多い酒場』に間違いはない。
三次駅からは歩いて15分(1.2km)ほどとちょっと遠いが、ここにしよう!
店内は、入口を入って左側が厨房で、その前に6席ほどのカウンター席がある。他に座敷が2部屋あって、全体では30人ほどが入れるようだ。
その店内を女将さんと、女性店員さんのお二人で切り盛りされている。

午後6時前のこの時間、先客はおらず、同行のAさんと二人で入った我われは、カウンター席のいちばん奥の席に座り、Aさんは「生ビール(中)」(600円)、私は「生ビール(大)」(900円)をもらって乾杯した。
「生ビール(大)」はあまり出ないそうだが、値段は(中)の1.5倍なのに、量は倍ぐらいある。ビール好きの方には、絶対に(大)をおすすめします!

その生ビールを追いかけるようにお通しとして出してくれたのは、日替わりの手書きホワイトボードメニューにも載っている「広島菜白和え」(200円)。広島菜って、白和えにしても美味しいんですね!

そしてもう一品は「もやしナムル」(200円)だ。
野菜料理が多いのもこの店の特長のひとつ。しかもその野菜は、自家栽培や三次町の産直市で仕入れたものばかりなんだそうな。

続いては、これまたホワイトボードメニューから「ホタテ稚貝」(480円)をバター焼きで注文すると、なんと20個ほどものホタテ稚貝がやって来た。
干したホタテ貝柱も好物なんだけど、こうして生のホタテ稚貝をサッと炒めたものも美味しいねぇ!

さらにホワイトボードメニューから「ハチノス天ぷら」(480円)ももらう。
牛モツの天ぷらというと、広島は福島町電停近くでよく見かけるが、三次でも牛モツの天ぷらを食べるんですねぇ!

生中を飲み切ったAさんは、「清酒(1合)」(500円)を燗酒で注文した。清酒は三次の地酒、「美和桜」とのこと。
私たちの後からカウンター席に入ってきたのは、地元のご常連らしき男女二人連れ。キープしている芋焼酎「木挽ブルー」の900mlパックを出してもらって飲み始めた。

メニューには焼酎のボトルやパックは載っていないのだが、「我われもあのパックを注文することはできますか?」と聞いてみると、「大丈夫ですよ」とのことだったので、それをもらってお湯割りでいただくことにすると、「清酒(1合)」を飲み終えたAさんも、焼酎のお湯割りに移行した。

とそこへ、「これ卵だけの茶碗蒸しですけど、よろしければどうぞ」と茶碗蒸しを出してくれた。
ほんとだ! 卵以外の具材は、刻んだ白ネギのみ。
ど~れどれと、スプーンですくっていただくと、出汁の味がものすごく旨い!
普通のだし巻き卵にすると、出汁がたっぷり過ぎて固まらないかもしれないけれど、茶碗蒸しなら大丈夫。こんなにも美味しくいただけるんですねぇ。新発見だ。

続いて出てきたのは、メニューにはない「フキノトウとネギの天ぷら」。
フキノトウのほろ苦さに春を感じ、ネギの芯の熱さに春ならではの、ほんわりと甘い旨みを感じることができる。地元の野菜、美味しいねぇ。

天ぷらもさることながら、お店特製の天つゆが、地元の野菜にぴったりだ!

さらには、これまたメニューにない「白菜古漬け」。
一緒に漬けられている唐辛子がピリッと効いているのがいいなぁ。
芋焼酎のお湯割りがグイグイと進んで仕方がない。

「これもどうぞ」と出してくれたのは「ヤリイカのバター焼き」。
これもメニューには載っていない品だ。
その日その日の仕入れで、ホワイトボードにも日替わりのおすすめのメニューを書き出しているが、それ以外にも、こんなにもたくさんの料理ができるんですね。これぞまさに女将さんの手料理だ。

いろんな話題で盛り上がり、定番メニューからは「ポテトフライ」(450円)を注文する。
ちょいとつまんで食べることができる「ポテトフライ」は、話が弾んでいるときのつまみとして、とてもいい。

そして最後は、『子どもから大人までに人気の一品』という、三次市君田町産のコシヒカリを使用した「焼きめし」(550円)で締めくくる。
出てきた「焼きめし」。最初はちょっと薄めの味付けかと思ったんだけど、食べれば食べるほど、ちょうどいい味わいになってきた。
いやぁ美味しい。女将さんの料理にはハズレがないですねぇ!
ものすごく居心地がいいので、ゆっくりとたっぷりと、気がつくと芋焼酎「木挽ブルー」の900mlパックもすっかり飲み切って、なんと3時間半も長居してしまっていた。
こちらの注文以外の、お店からの料理もたくさん出してもらったので、高いかなぁと思いきや、お勘定はなんと二人で7,060円(ひとり当たり3,530円)という安さ。PayPayで支払った。
お店の名前が「まごころ亭」だけに、途中で「これもどうぞ」と出してくれた料理は、すべて『まごころ』(サービス)だったのかなぁ。

とにかくすべての料理が美味しくて安い。改めて『毎日のように通う常連さんが多い』ことが十分に納得できる素晴らしい酒場でした。
「どうもごちそうさま」と店を出ると、店のお二人が、わざわざ店の外まで出てきて見送ってくれました。本当にありがとうございます。
三次に来る機会があれば、ぜひまた訪問したい酒場です。
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